新しい道路ができると、歩道や車道が広くガードレールも新しいので「安全に走れていい」と感じることがあります。しかし、このような道路の改善が、新たな事故の危険を生むこともあるのはご存じですか?
「リスク・ホメオスタシス理論」という考え方があり、危険回避の手段・対策をとって安全性を高めても、人は安全になった分だけ利益を期待してより大胆な行動をとるようになるため、結果として危険が発生する確率は一定の範囲内に保たれる可能性が高いというのです。
つまり、道路を改善して走りやすくすると、「スピードを出せる」とドライバーが感じて、今まで以上に実勢速度が速くなり交通量も増えるため、衝突事故が発生する危険は変わらないとも言えるのです。
同じように、赤外線暗視装置などのついた車は、暗い夜道で歩行者や動物などを発見するのに役立つかもしれませんが、装置がないときと同様のスピードと注意深さで運転しなければ、装置が付加した安全性の向上にはつながりません。
「夜目が効くようになる」と気が大きくなって車のスピードを速くしたときに歩行者が横断した場合、死亡事故に結びつく可能性は高くなるとも言えるのです。
道路が改善された場合も、以前と同じような危険意識をもって速度を控えて走行することが大切です。
(シンク出版株式会社 2015.1.19更新)
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