3月はまだ寒い日も残りますが、春が近づき、子どもや高齢者の姿が増加しますので、歩行者の安全に特に留意すべき時期です。
管理面では年度末としての整理が重要です。さらに新年度を控えて新入社員教育や安全運転管理計画の準備をすすめましょう。
計画や目標設定には事故・違反の実態を調べることが不可欠です。データをもとに社内を説得していきましょう。
■「完全停止」を励行しましょう
違反をする運転者は事故が多いという話をよく聞くと思いますが、とくに、一時不停止や信号無視など
「止まれない」違反をよくする運転者は事故当事者となる危険性が高くなる……ということが自動車安全運転センターの調査で明らかになっています。
交通事故を防ぐためには、まず「止まる」ことが重要です。
死角の多い交差点や見通しの悪い場所で、少しでも不安を感じたら、「動きながら確認する」のではなく、完全に止まることです。
この「完全停止」ができていない人が意外に多いのです。あなたは、交差点の停止線や横断歩道の前で完全にタイヤを止めていますか?少し減速した程度で止まった気持ちになっているのではないでしょうか?確実にタイヤを止めることを意識すると、「ながら確認」するクセがなくなり、落ち着いて周りを安全確認する余裕が生まれ、確認をするクセがつきます。
また、フォークリフトなどの運転でも、次の動作に移るときには、まず一旦リフトを止めて、完全停止してから次の作業をするクセをつけましょう。チルトしながらの移動や、旋回しながらの荷降ろしといった動作に危険があります。
■新年度の交通安全計画の策定
平成26年度の実態を踏まえて、安全運転目標・交通事故削減目標を立て、発表しておきましょう。
月別の安全運転目標や年間の各種行事などに配慮して安全活動の計画を立てます。
・春の全国交通安全運動(5月)
・秋の全国交通安全運動(9月)
・全国安全週間(7 月)
・夏の事故防止運動(7月)
・全国労働衛生週間(10月)
・年末年始事故防止運動 (12~1月)
・省エネルギー月間(2月)
・月例の実施例 危険予測訓練/交通安全委員会/一斉車両点検/管理者会議
・季節の実施例 デジタコチェック/危険箇所パトロール/ヒヤリ・ハット報告会
※ 年間の安全運転管理計画は →
こちらからダウンロードできます。
■事故や違反の実態を分析する
新年度の交通安全目標を制定するうえでは、自社の交通事故と違反の実態を分析しておく必要があります。
事故に関しては、損害額が大きい事故や人身事故などに目がいき、軽微な物損事故を軽視しがちですが、物損でも同じようなパターンの事故が続いていれば、いずれ人身事故に結びつきますので、物損事故についてもきちんと分析をしておきましょう。
また、違反の傾向を事故実態と結び付けてとらえておくことが重要です。
事故を分析する項目としては、
・事故原因別 ・事故形態別
・違反別 ・発生場所別
・年齢層別 ・運転経験別
などさまざまな要素にわけて調べておく必要があります。
また、違反実態については運転経歴証明書などを自動車安全運転センターに申請しておく必要があります。
これらの情報を詳細に記録し、分析するのは多くの時間・労力がかかると思いがちですが、無料で活用できる交通事故分析ソフトがインターネット上で公開されています。
エクセルで簡単に記録できて、まめに入力をしておけば事故防止のための貴重な情報が得られますので、活用してみましょう。
■運動する習慣をつけよう
健康増進のためには、日常的な運動が重要と言われています。特に運転を業務とする人は、運動不足になりがちで、メタボリック症候群などになりやすいので、日頃から、運動する時間を設けるように工夫してください。
ただし、トラックドライバーやバスドライバーなど勤務の拘束時間が長い方は、自宅に戻っても、まず睡眠時間などの休憩をとるのが先決で、なかなかスポーツなどの趣味に時間をとるのは難しいかも知れません。そうした方は、
・事務所にあがるときは、エレベータを使わずに階段を使う
・通勤時は、マイカー通勤をやめて公共交通機関や自転車を利用する
・事業所の最寄り駅より1駅手前で降りて、早足で出勤する
・サービスエリアなどで休憩した都度に、5分間ほどストレッチ体操をする
といった小まめな努力が大切です。
生活習慣病に陥るのを防ぎ、健康で安全な生活を確保しましょう。
■薬の副作用を警戒しよう
花粉症などに悩まされる季節です。鼻炎カプセルを利用するドライバーも多いのではないでしょうか。
鼻炎薬や風邪薬はアレルギー症状を緩和してくれます。鼻炎は運転の妨げになりますから、正しく薬を服用すべきですが、眠くなる成分を含んでいますので、人によっては急激に集中力が落ちたり、一時的に居眠りをしてしまうおそれもあります。運転業務をする人は、自分が使用する薬の副作用に注意しましょう。
薬剤師に「運転しても支障が少ない」と思われる薬を薦めてもらいましょう。ただし、念のために運転をしない日に服用して、眠くなる度合いを試しておくことが重要です。また、次のようなとき鼻炎薬などを飲むと眠気を誘う副作用が増幅されると言われていますので、薬の選択はとくに慎重に判断してください。
・昼食後の午後1時半から2時すぎの時間帯
・前夜の睡眠時間が6時間未満であり、長時間の勤務を続けているとき
・身体に熱などがあり、体調が悪いとき
【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】
■総重量7トン以上のトラックにもタコグラフを義務付け
4月1日から、国土交通省の省令改正(※)により、車両総重量7トン以上8トン未満(最大積載量4トン以上5トン未満)のトラックについても、運行記録計の装着が義務付けられます(ただし、新車のみ。使用過程車は29年4月以降に適用)。
長距離トラックの事故多発傾向になかなか歯止めがかかっておらず、とりわけ7トン以上8トン未満のトラックの死亡事故率が高いという背景と、中型免許証の一部が今後取得しやすくなる(平成29年度に予定)ことを踏まえた措置です。
改正により事業用貨物自動車の約70%超に装着義務が課せられることになります。運送事業者、運行管理者にとって重要なポイントは、運行記録計のついた車が大半となれば、運行時間の管理について、これまで以上にごまかしができなくなるため、改善基準告示等の遵守に努める必要があるということです。
今後新車に装着される記録計はほぼデジタル化され、運行管理のシステム化に役立つものの、過去の運行経過がわかりやすくなり、隠しようがありません。
先月、改善基準告示を繰り返し違反していた悪質な運送事業者に、初めて「30日間」の事業停止処分という厳しい行政処分が科せられました(北海道運輸局)。
今後は、警察の交通事故捜査や運輸支局の監査が実施される際には、運行記録計や労働時間の調査が厳しく行われ、長時間運転・長時間労働に対するペナルティがより厳格に科されていくものと考えられます。
※「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の一部改正──平成26年12月1日
日 付 | 行事等 |
1日(日) ~31日(火) |
・車両火災予防運動(春季全国火災予防運動)────消防庁と国土交通省の共同主唱。車両交通の関係者や利用者の火災予防意識の高揚と車両火災防止のため、全国火災予防運動とあわせて同期間に実施されます(車両火災原因をみると、排気管が全体の3割をしめてトップですが、放火と放火の疑いによる火災も多発していますので、駐車場の管理も重要です)。 |
1日(日) ~31日(火) |
・自殺対策強化月間──政府では、毎年3月を自殺対策強化月間に設定し、啓発活動や支援策を重点的に実施しています。悩みを抱えた人たちに広く支援の手を差し伸べていくことにより「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を目指しています。 |
1日(日) |
・運行管理者試験(平成26年度第2回試験) ──詳細は公益財団法人 運行管理者試験センターのWEBサイトを参照 |
3日(火) |
・雛祭り(桃の節句)/耳の日 |
6日(金) |
・啓蟄 |
7日(土) |
・消防記念日──昭和23年の「消防組織法」が施行されたことを記念して設定。全国の消防本部等で消防訓練、記念式典など様々な行事が行われます。 |
10日(火) |
・3月の製品安全点検日 ──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
11日(水) |
・東日本大震災の日──政府主催の追悼式典のほか、合同追悼式などが被災地などで行われます。今後、記念日として法制化される見込みがあります。 |
14日(土) | ・ホワイトデー |
21日(土) |
・春分の日 |
23日(月) |
・世界気象デー ──1950年のこの日に世界気象機関条約が発効したことを記念して制定(World Meteorological Day)。 |
3月中旬 | ・平成26年中の30日以内交通事故死者統計の発表(警察庁) |
3月中旬 | ・平成26年使用の交通安全スローガンポスターデザイン入選作の発表(毎日新聞社) |
3月下旬 |
・平成26年12月分 トラック輸送情報(国土交通省) |
◆3月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(日) | 福岡 18:14 | 大阪 17:53 | 東京 17:36 |
15日(日) | 福岡 18:26 | 大阪 18:05 | 東京 17:48 |
31日(火) | 福岡 18:38 |
大阪 18:18 |
東京 18:01 |
「早めにつけよう おもいやりライト」
運動に取り組みましょう!
運転者の皆さん!早めの点灯を意識しましょう。少しだけの配慮で交通事故を減らすことができます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯することを習慣にしてください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する動きが出ています。
※詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください