平成27年4月1日から、国土交通省の省令改正(※)により、車両総重量7トン以上8トン未満(最大積載量4トン以上5トン未満)のトラックについても、運行記録計の装着が義務付けられます(ただし、新車のみ。使用過程車は平成29年4月以降に適用)。
長距離トラックの事故多発傾向になかなか歯止めがかかっておらず、とりわけ7トン以上8トン未満のトラックの死亡事故率・重傷事故率が高いことがあり、国土交通省では運行管理の徹底を求めています。
さらに、今後は道路交通法の改正で準中型免許制度が生まれ、高卒の若者でも7トンクラスの運転免許が取得できるようになる(平成29年春に実施)ことも踏まえて、改善基準告示違反などへの規制を強化するための措置と考えられています。
(※貨物自動車運送事業輸送安全規則 第9条第1号)
新車に装着される記録計はほぼデジタル化され、運行管理のシステム化に役立つものの、過去の運行経過がわかりやすくなり、乗務時間などをごまかすことは難しく、監査などでの処分も厳しくなることが予想されます。
27年1月28日には、改善基準告示を繰り返し違反していた札幌市に本社を置く運送事業者に対し、初めて「30日間」の事業停止処分という厳しい行政処分が科せられました(北海道運輸局)。
今回の処分では、過去に労働基準監督署に長時間の拘束時間を改善するように指導されていたにも関わらず、これを軽視して、乗務時間の基準に著しく違反していた(改善基準告示違反を繰り返していた)ことが、処分の大きな理由となっています。
また、札幌の運送事業者だけでなく、業務を依頼していた元請け(京都の大手運送会社)にも強化された荷主勧告制度に基づき「警告書」を即時発行している点が注目されます。
今後は、警察の交通事故捜査や運輸支局の監査が実施される際には、運行記録計や労働時間の調査が厳しく行われ、長時間運転・長時間労働に対するペナルティがより厳格に科されていくものと考えられます。
【国土交通省の参考リンク】
※「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の一部改正──平成26年12月1日
※「運送事業者に対する行政処分基準の関連通達」について
※ 貨物自動車運送事業法における荷主勧告の運用通達を改正──平成26年4月1日