先日、センターラインをはみ出した車が直進してきた対向車と衝突し、はみ出した側の助手席に乗っていた男性が死亡した事故で、福井地裁は対向車側にも賠償責任を認める判決を言い渡しました。
同様の事故で、直進対向車側の責任を認めたのは全国で初めてということで話題を集めましたが、一般的な感覚では、センターラインを越えた車側に一方的に責任があるように思いますが、なぜ対向車側にも責任があるとなったのか不思議な感じがします。
この判決が妥当であるかないかは判断が分かれると思いますが、その背景には、遺族救済という側面があったような気がします。
というのは、センターラインをはみ出した車の所有者は、助手席に乗っていて死亡した男性で、運転していたのは家族ではない大学生でした。
この車の任意保険は、家族以外の運転者が起こした事故については補償しないという内容であったために、死亡した人や遺族に対する損害賠償がされない状態でした。今回の事故ではこうした判決が出ましたが、これから控訴される可能性もありますし、いつもこうした判決が出るわけではありません。
肝心なことは、運転者を限定している車の任意保険に入っているときには、限定している人以外は絶対に運転させないということです。
(シンク出版株式会社 2015.5.1更新)
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