■集中力を高めて確認ミスを防ぎましょう
・声を出し集中力を高めよう
夏場は、暑い屋外とエアコンのきいた車内の温度差からくる疲労感や、強い日差しによる目の疲れ、水分のとりすぎによる夏バテなど体調を崩しやすい時期です。
どうしても運転に集中力を欠きがちになりますので、自分の運転のパフォーマンスが「8割程度に落ちている」と自覚し、いつもより意識的に集中力を高めるように努力することが大切です。
たとえば、呼称運転(コメンタリー運転)を実行してみてはいかがでしょう?普段は何気なく通過している交差点でも「青信号よし」と声を出して接近すると、信号への注意が高まります。
また、「高齢者の自転車、注意」と声を出して相手を確認すると、相手が進路変更するかもしれないな……といった危険予測をしやすくなります。
・「危機感」で集中力を高めよう
人間だれしも、「危機感」が欠如するとぼんやりしがちです。暑いとき、早くエアコンの効いた快適なオフィスに戻って、のんびりしたいなといった意識だけでいると運転に集中できません。
危機意識を高めるために、毎朝、新聞を読むときには「交通事故」のニュースを探して記事を切り抜き、手帳やフォルダにはさんで携帯してはいかがでしょう。
夏休みは事故が多い時期です。事故について「どんな原因だろう、誰の不注意だったのだろう、被害者はどんなに苦しかっただろうか…」と考えることで危機意識が働きます。
夏場にタオルで額の汗を拭きながら運転していたトラックドライバーが、交差点右折時にタオルの死角で横断歩道の歩行者を見落としたという事故例がありました。
首にかけたタオル1枚でも油断したら死亡事故に繋がるという事例を知ることで、運転に支障をきたすものを取り除かねば……という危機意識が生まれます。
■夏休みの子どもに注意しよう
・「子ども飛出し注意」シールで意識喚起を
夏休みに入ると、普段、登下校時間帯以外はあまり遭遇しなかった子どもの歩行者・自転車の姿をよく見かけるようになります。子どもとの事故防止を意識して運転しましょう。
ある事業所では夏の交通事故防止県民運動が始まると、右のようなステッカーを配布して、ダッシュボードに張っています。
子どもの飛出しを意識することで、運動公園やプール、生活道路などの近くでの交通事故を防止しようという狙いがあります。
【こんな事故が起こっています!】
・「ボールを追って飛出し」
2014年8月1日、山形県天童市で小学校6年生の男の子が乗用車と衝突し腰を打撲するなどのけがを負いました。事故現場は、横断歩道がない直線道路です。
男の子はサッカーボールを追いかけて道路に出た際、左から来た車と衝突しました。
公園や空き地などの付近では「子どもがボール等を追いかけて出てくる」危険を予測しましょう。
■居眠り運転防止の徹底
居眠り運転の多くは運転者の長時間運転や長時間労働が背景にあり、運転者が過労のため正常に運転できない状態で事故に至っています。
過労運転が確認された場合は、運転者だけでなく使用者が下命・容認の責任を問われることもあります。
しかし、トラックやバスなどによる徹夜の長時間運転といった過酷な労働の場合ではなくても、この時期、暑さによる疲れなどから、運転者が眠気を催す危険は少なくありません。
【こんな事故が起こっています!】
介護施設の車が一瞬の居眠りで衝突
2015年7月4日午後2時半ごろ、富山市の国道で介護福祉施設のワゴン車が住宅の車庫に衝突し、乗っていた94歳の男性2人が死亡、70代の女性2人が重体となりました。
警察は車を運転していた女性を過失運転致死傷の疑いで逮捕しました。
現場は山あいの緩やかなカーブ道路で、車を運転していた介護福祉施設の女性職員(44歳)は、「運転中に眠気を感じていた」と話していて、一瞬の居眠りをしたかボーっとなって操作を誤り対向車線にはみ出して道路外の住宅に衝突したものと思われます。
この日は午後2時ごろから高齢者約20人が車3台に分乗し、連らなって町内をドライブしていました。
・昼食後1~2時間は魔の時間帯
居眠り運転事故が起こりやすいピークの時間帯は、夜半から明け方にかけてですが、もう一つのピークが、昼間の午後2時から4時の時間帯です。
時間帯によって眠気が発生する要因は人間の生体リズム(サーカディアンリズム/または概日・概半日リズム)と関係があります。
夜間は体温が低下していくとともに眠気が増大し、早朝の最低体温付近では眠気が最も強く、居眠り事故もこの時間帯に多発することになります。そして、体温が上昇する午前9時以降は居眠り運転が起こりにくくなっています。
しかし、午後の2時以降は体温が高いにもかかわらず眠気が発生しやすくなります。理由は明確ではありませんが、人間の生体リズムと関連し昼食も一つの要因ではないかと言われています。
運転者には、この時間帯に眠気が発生し居眠り運転事故が起こりやすいことを指導し、無理をしないで少しでも眠気を感じたら休憩をとることを意識づけましょう。
(※図の出典:高速道路での居眠り運転防止に向けた効果的な対策に関する調査研究(中間報告)/公益財団法人高速道路調査会 より)
・過労運転防止対策を強化しよう
プロドライバーの居眠り運転は、午後の生理的眠気といった甘いものではなく、長時間労働がその背景にあります。
厚生労働省の調査によると(トラック運転者813人から回答)、睡眠時間5時間未満の運転者を100とした場合、5時間以上の運転者は、居眠運転をした経験のある人が約30%、事故寸前のヒヤリハット体験をした人が43%にとどまっています。
長時間労働などによる睡眠不足が原因で居眠運転事故を引き起こす確率が3倍以上になるということがわかります。
また、最近の研究から1か月の残業時間が100時間を超える運転者は、平均の睡眠時間が5時間を下回ることになり、心疾患や脳血管障害を起こしたり過労死する確率が顕著に高くなると言われています。
過労運転防止にはまず、拘束時間管理が必要ですが、荷主に対して改善基準告示の遵守を理解してもらうようアピールし続けることも重要です。そして、点呼を確実に実施し、無理をしている運転者がいないか、何時間程度の睡眠をとっているかなどを確認しておきましょう。
■バイク事故防止指導
・交差点での事故防止徹底を
8月19日は「バイクの日」。二輪車や原付自転車を使用している事業所ではライダーの運転指導に取り組むよい機会です。四輪運転者に対しても、対二輪車事故防止の指導に取り組んでください。
四輪対原付・二輪の事故では、交差点での出会い頭事故や右直事故が多発しています。二輪ライダーには、四輪の運転者から自分が見落とされやすいということを意識させましょう。
また、四輪運転者に対しては、二輪だからといって相手を軽視しないで、交差点で右折するときなどは直進車優先を順守するように指導してください。
・速度が低い場合でも安全確認ミスが大事故に
なお、出会い頭事故では、交差点での四輪車の危険認知速度が低くても二輪車の速度が高いために重大事故に発展するケースが多くなっています(交通事故総合分析センターの分析による)。
四輪車側の事故要因としては、安全確認を全くしなかったか十分に確認しなかったための発見の遅れが多く、二輪車側としては、発見遅れもありますが、「相手(四輪車)が譲ってくれるだろう」といった判断の誤りも目立っています。
四輪運転者は速度が低い状態でも油断しないで、確実に安全を確認して対二輪車事故を防ぎましょう。
※図は、イタルダ・インフォメーション№105(交通事故総合分析センター)より
■夏バテを防ごう
暑い日が続くと、汗が出る状態が続いたり、食欲がなくなって栄養不足になったり、外に出て運動する機会が減って運動不足になりがちです。このため、体調をコントロールしている自律神経の働きも乱れて、夏バテになってきます。
これを防ぐには、まず運動が重要です。運動習慣がある人は、暑くなっても運動の機会を減らさないことです。早朝など涼しい時間帯を選んで活動すると効果的です。運動習慣のない人は、水泳など全身運動をする機会を設けるとよいでしょう。
また、食事も重要です。食欲がないからといって食品の品数を減らすと栄養が偏ります。なるべく、野菜やミネラルの多い海藻などの食品、そして肉・魚をたっぷり摂りましょう。
■夏場の肩こり・腰痛を防止
「腰痛」や「肩こり」は身体の冷える冬場のものと考えがちですが、意外に発症が多いのは暑い時期です。
その理由のひとつは、やはり、夏バテによる自律神経の不調が関係しています。
自律神経は血管の収縮・拡張に関係していますので、自律神経の働きが乱れると血行が悪くなります。血行悪化が、筋肉内の老廃物や疲労物質蓄積につながり、筋肉硬直などのため、腰痛・肩こりが起こりやすくなると言われています。さらに神経細胞への栄養供給が滞り、末梢神経の障害から痛みやしびれを生みやすくなります。
また、冷房などで腰や肩などを局部的に冷やしたり、冷たい清涼飲料水やビールなどを飲み過ぎて内臓を冷やしすぎるのも、腰痛・肩こりを悪化させる要因となります。
こうした夏場の腰痛予防には、筋肉の硬直を防ぐため、やはりストレッチなどの運動を習慣づけることが重要です。
また、「重い荷物を長時間持たない」「長い間振動する座席に座っていない」といった腰痛予防の基本も忘れずに。とくに、長時間の振動刺激は腰痛の大きな要因となります。
車に長時間乗るドライバーは、エンジンをかけた車内で休憩せずに、車を降りて涼しい木陰などで身体をゆったりとさせることを心がけましょう。
【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】
■高速道路における停止車両に注意
高速道路上での事故・故障で、本線車道や路側帯に降車した人が、後続車にはねられるといった事故が依然として多発しています。
8月はレジャーや帰省などで高速道路を走行する車が増えますので、運転者に対して
「高速道路でも歩行者のいる可能性があること」
「停止車両の近くにいる乗員に注意すること」
などを再度、指導しておきましょう。
また、自社の運転者が本線車道で故障・事故などのトラブルに見舞われた場合を想定し、次の3点も確認しておきます。
■秋の全国交通安全運動の準備
9月の全国交通安全運動(21日~30日)について準備を進めておきましょう。
交通安全運動では「高齢者の事故防止」が重要テーマとなります。重点項目を参考にして、職場や営業所ごとの安全運転目標を考え、配布物・掲示物などを準備しておきましょう。
運動期間中には、交通安全ボランティア活動として、地元の高齢者交通安全教室の開催などに協力すると効果的です。
運送会社などがトラックドライバーを交通安全教室に派遣して、実車で内輪差の大きさを実演したり、運転席からみた死角の大きさや高齢者による斜め横断の危険などを説明して事故防止効果を上げている例があります。
高齢者に知識を広めるだけでなく、運転者の安全運転意識の向上に役立ちます。早めに地域の交通安全協会などと相談しておくとよいでしょう。
また、上半期に違反や事故のあったドライバー・職場には、積極的に交通安全運動への参加を促しましょう。
【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】
■猛暑日は作業計画を見直し、熱中症を予防
35℃度以上の猛暑日には、WBGT値(★)について計測を行い、熱中症予防のため作業計画などを再検討しましょう。
炎天下での荷の積込み等はできるだけ避け、やむを得ない場合は、簡易な屋根・日除けテントの設置、スポットクーラーの使用、グループ作業の導入を検討します。
猛暑になると、管理部門スタッフは涼しい事務所から出るのを嫌い現場のチェックを疎かにしがちです。暑い日こそ、管理者が頻繁に現場の巡視を行い作業者の立場に立って暑さを感じることで、熱中症を防止しましょう。
WBGTが25度を超えると「警戒」領域と言われ、激しい労働・運動などでは、30分に1回は休憩をとるべきとされています。28度以上で「厳重警戒」、31度以上は「危険」領域で特別の理由がない場合は運動、重労働を避けるべきとされています。
■「報連相」を徹底しよう
8月は、多くの人が交替で長期休暇をとるため、管理者が従業員と直接顔をあわせる機会が減る時期です。
管理者やベテラン配車担当者が不在のときに限って、荷主や得意先から重要案件で問い合せがあったり、事故や誤配などのトラブルが発生するケースが少なくありません。現場と管理部門の事前の「報・連・相」が重要な時期です。
ある運送会社では情報を待つだけの受け身の報・連・相を捨て、管理者から情報を取りに行く姿勢を示して、コミュニケーションを深めることに成功しています。
具体的には、まず下のようなランク付け管理リストを作って優先順位をつけています。
Aランク = 新規荷主が含まれる配送ルート/新人ドライバーの配送ルート
Bランク = コンビニエンスストア系の配送ルート/指定時間に遅れると荷受を拒否する配送先
Cランク = 1運行の配送先件数が多いルート/2運行目が予定される運転ルート
そして、トラブルが無くても、毎日、優先順位の高いルート順に管理部門から全ドライバーにヒアリング電話をかけて、少しでも気になる情報がないか事前調査を徹底しているのです。
この取り組みの結果、ドライバーが相談しようかどうか迷っていたような案件や以前なら自己判断で行ってしまうようなケースもすべて察知でき、配送ルートの組み換え判断やトラブルが発生する前の事前防止ができるようになりました。
得意先情報の共有も徹底できました。管理者・配車係とドライバーの人間関係も深まり、いざというときの対応が迅速になって、安全度が増しているという話です。
日 付 | 行 事 等 |
1日(土)~ 31日(月) |
・道路ふれあい月間──国土交通省では、毎年8月を「道路ふれあい月間」として、道路の正しい利用や道路愛護活動の推進に努めています。 |
1日(土)~ 31日(月) |
・食品衛生月間──厚生労働省では、毎年食中毒の発生しやすい8月に食品衛生管理の徹底を呼びかけています。 |
1日(土) |
・夏の省エネ総点検の日 |
1日(土)~ 2日(日) |
・第48回 二輪車安全運転全国大会(全日本交通安全協会)──全国47都道府県代表の二輪ライダーが三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットも集まり、安全運転技能と交通マナーを競います。 |
5日(水) |
・第50回 交通安全子供自転車全国大会──児童・生徒の自転車事故防止活動の一環として全日本交通安全協会が主催。都道府県代表が安全運転を競い合います。於:東京ビッグサイト |
5日(水) |
・タクシーの日──大正元年(1912年)のこの日、東京有楽町で日本初のタクシー会社が設立され、メーターを装備したT型フォードで営業を開始しました。 |
8日(土) |
・立秋 |
10日(月) |
・道の日──大正9年の同日にわが国で最初の道路整備の長期計画がスタートしました。 |
10日(月) |
・健康ハートの日──「ハー(8)ト(10)」の語呂合わせから日本心臓財団などが制定。心臓病に対する予防知識を啓蒙します。夏の間に心と体のチェックをして、心臓病の多発する冬に備えましょう。 |
11日(火) |
・8月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等についての情報提供・注意喚起を行っています。 |
19日(水) |
・バイクの日──政府の交通安全対策本部が二輪車の交通事故撲滅を目的に制定しました。この日を中心に、全国で二輪車の安全運転講習会等が展開されます。 |
20日(木) |
・交通信号の日──昭和6年(1931)のこの日、東京銀座と京橋に3色の交通信号機が設置されました。 |
23日(日) |
・処暑 |
23日(日) |
・平成27年度 第1回 運行管理者試験────詳しくは、(公財)運行管理者試験センターのWEBサイトまで |
25日(火)~ |
・道路防災週間──道路防災に関する広報活動が行われ、道路施設・設備点検、防災訓練などを行います。 |
30日(日)~ 9月5日(土) |
・防災週間──防災に対する知識を普及・啓発するとともに、防災行動へと結びつける取組みが全国各地で行われ、異常気象時における通行規制図などが自治体から配布されます。 |
~ 9月30日
|
・夏の省エネキャンペーン──エネルギー消費の大きなピークの季節を迎え、6月から省エネキャンペーンが行われています。 |
8月中旬 |
・平成27年7月末における交通事故発生状況の公表(警察庁) |
8月下旬 |
・お盆時期10日間の交通事故発生状況(警察庁) ・「自動車点検整備推進運動(9~10月実施)」の広報 |
◆8月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(水) | 福岡 19:19 | 大阪 19:01 | 東京 18:46 |
15日(水) | 福岡 19:06 | 大阪 18:47 | 東京 18:31 |
31日(金) | 福岡 18:46 |
大阪 18:27 |
東京 18:11 |
「早めにつけよう おもいやりライト」
運動に取り組みましょう!
暦のうえでは、すでに秋。日没時刻も日に日に早まっていきます。関東では5時台に入ったら、九州でも6時台には点灯しましょう!
早めに点灯する配慮が交通事故を減らすことに結びつきます。遅くても日没の30分前にはぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどに警戒することを習慣としてください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する動きが出ています。
※詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開し、JAFインターネットWEBサイトでライト点灯に関して様々な情報提供をしています。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください