今年は暖冬とはいっても2月になると寒気が日本全体をおおうため降雪地帯だけでなく、雪の少ない地域でも積雪を見る機会が多くなると思われます。
また、凍結の影響によるスリップ事故が起こりやすい時期ですので、1月に引き続き冬型事故防止のための指導をしてください。
運行経路の選択や降雪による通行止め情報などの収集も必要です。
なお、健康面では風邪・インフルエンザ等の感染症予防も重要ですが、総合的な健康維持などに配慮しましょう。
■慎重に予測、早めの対処
雪道では普段以上に危険予測が重要
雪道や凍結路では、通常の路面状態以上に先の交通状況に対する危険予測が重要です。
というのは、
「強いブレーキを踏んでスリップした」
「急にハンドルを切ってスピンした」
といった冬型事故の多くが、急な飛出しや前車の停止に驚いて慌てて操作してしまったというケースが目立つからです。
しかし、こうしたケースも前方の交通状況によく目を配り、危険を予測していれば冷静に対処できる可能性があります。
たとえば、下のような原因で事故が発生した事例がありますが、危険を予測する姿勢があれば、車間距離をとったり早めに減速するなど対処が可能です。
路肩に雪がたまっているような朝は、
雪かきのために、人が出てくる危険を
予測しましょう。
【こんな事故が起こっています!】
■木の枝から雪が落ちて
前車が急停止
通勤時に木の枝から落ちてきた雪の塊に驚いた車が急に停止したため、車間距離を詰めていた後続車が停止できずに追突しました。
!降雪した翌朝、気温が上がってきたら、雪の落下を予測し、前車との車間距離を多めにとりましょう。
■雪かきの人が道路に出て
きたのに驚きスリップ
早朝、玄関の前の雪を道路にかき出そうとして出てきた人に驚き、ブレーキを踏んだ車がスリップしました。
!降雪が多い朝は、車道に雪かきの人が出てくる可能性が高いことを常に予測しながら、走行しましょう。
■自転車が車道に出たのに
驚き対向車線に逸脱
路肩走行をしていた自転車が、雪山を避けるため車道に出てきたことに驚き、慌ててハンドルを切った車が対向車線にはみ出し正面衝突しました。
!自転車がいつ車道に出てきても対応できるように走行しましょう。
■道路・気象情報の入手と周知徹底
2月は各地で大雪や異常気象のために、通行止めや通行規制が実施される恐れがあり、管理者は早めの情報提供と運転者への指導が重要となる時期です。
本社事務所のある地域は好天であっても、目的地の天気予報を必ずチェックし豪雪などの危険があれば、現地の道路情報を入手して、通行止めが発生していないか確認しておきましょう。
経路上にスタッドレスタイヤでもチェーン装着が必要な箇所がある場合、チェーンを搭載していないと通行できないこともあります。
■経路変更、運行停止の判断
なお、スタッドレスタイヤでもチェーン規制のかかるような道路状況では、スリップする車が続出して大渋滞が発生する危険もありますので、可能であれば経路の変更を検討するほうが得策です。
とくに、峠道などではいくらチェーンを装着していてもスピードを出しすぎた車が事故を起こして前をふさぐ危険があるので、近道でも選択するのは危険です。
経路が変更できない場合は、運行停止を決断することも必要でしょう。
■明るい笑顔で人と接し、健康を維持しよう
2月は「全国生活習慣病予防月間」です。日本生活習慣病予防協会が提唱しているものですが、今年の健康標語は、「多接」となっています。
多接とは「多くの人・事・物に接する」ことで、活動的な生活を維持して、健康を確保しようという考え方です。
とくに、親しい人と接して笑顔でいること、楽しい活動でよく笑うことが脳を刺激し、免疫力を高めるホルモンが分泌されるなど、生活習慣病の予防に効果的だと言われています(ちょうど2月5日は笑顔の日です)。
生活習慣病のなかでも糖尿病の予防は大きな課題です。
糖尿病の予備群ではがんリスクが上昇することが、国立がん研究センターなどによる日本人約3万人を対象とした大規模研究で明らかになりました。
たとえ、糖尿病の診断を受けていなくても、慢性的に高血糖の人は酸化ストレスが高いため、発がんにつながるということです。がん予防のためにも糖尿病予防に努めましょう。
■糖尿病予防の3ポイント
★1 食事
食べ過ぎない。バランスのよい食事をする。とくに野菜を1日に350g以上とることを意識する
★2 運動
適度な運動を続けることで体内の中性脂肪を減らし、筋肉をつけて基礎代謝の多い体を維持できる
★3 睡眠
糖尿病患者の多くが睡眠障害を併発している。できれば毎日6時間以上の睡眠をとるように努める
【こんな事故が起こっています!】
・糖尿病でぼーっとして料金所に衝突!
平成24年1月某日の午前1時半ごろ、個人タクシーが神奈川県の自動車専用道路をお客を乗せて運行中、制限速度20 km/h のところを70km/h 速度超過のまま料金所ETC レーンに進入しようとしたため、運転操作を誤り、料金所手前の土台に乗り上げて転覆、料金所施設を破壊しながら滑走し停車しました。
この事故でタクシーの乗客1人が重傷を負っています。タクシーの運転者(60代)は当日、「眠りが浅く、ぼーっとしていた」状態で「最近、疲れやすい」と供述しました。
この運転者は定期健康診断を全く受けていないことがわかり、運輸局が健康診断と精密検査を実施したところ、「糖尿病、心機能低下および網膜症で治療が必要」という診断結果となりました。
運転者は治療を受け、最終的には8か月後に完治したことから運転を再開できることになりました。
(※事例分析は、「自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会報告書(平成24年度)
──国土交通省自動車局」より引用)
【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】
■スタッドレスタイヤの全輪装着を徹底しましょう
スタッドレスタイヤへの全車輪装着など当たり前、知らない運転者はいないだろうと考えていると、思わぬ落とし穴があります。
チェーンと同じように考えて、「駆動輪のみに装着すればよい」と勘違いしている運転者がまれにいますので、雪道走行に不慣れな運転者には念のため確認してください。
駆動輪のみの装着では、車両の挙動が安定しないなど、十分な滑り止め効果が得られません。
また、スタッドレスタイヤでも、路面状況や速度によってはスリップするということを強調しておきましょう。
なお、国土交通省がスタッドレスタイヤに関する啓蒙ビデオを公開していますので、参考にしてください。
【※資料出処→ 国土交通省自動車局審査・リコール課 youtube公式アカウント】
■車の登録、検査事務の調査と更新
年度末に向けて、社有車の検査、新車登録事務が必要かどうか早目に調査し、2月中に手配・実施しておくことが重要です。
3月は車を購入する人が多いため例年、運輸支局の検査・登録窓口が大混雑を極めて、非常に時間がかかります。
なお、車検の検査予約はインターネットでも可能です。
【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】
■輸送安全自主点検の結果を報告しましょう
昨年12月10日から1月10日まで、年末年始の輸送等に関する安全総点検を実施したと思います。
国土交通省では総点検実施状況の把握のため、トラック・バス・タクシーなど業態別に自主点検表(国交省のホームページからダウンロード)でチェックし、所管運輸支局の安全総点検自動車運送事業者等担当宛に提出を求めています。
社内的な課題を明らかにするためにも、点検結果を総括しておくことは重要です。
自主点検を実施した事業所は平成28年2月12日までに管轄の運輸支局まで送付しましょう。詳しくは同省のWEBサイトを参照してください
■大事故発生!運行管理を再確認しましょう
本年1月15日未明、長野県の軽井沢町で走行中の大型バスが転落する事故が発生し、学生・運転者など15人が死亡(19日現在)、26人が重軽傷を負いました。
群馬県・関越自動車道で2012年に乗客7人が死亡したツアーバス事故以来、自動車運送事業者への監査や輸送の安全にかかわる処分が強化されてきましたが、今後さらに、運輸局、労基署による監査が厳しくなるのは必至です。
バス事業者に限らず、すべての自動車運送事業者では以下のような運行管理の基本を再確認してください。
・改善基準告示に抵触する乗務を指示していないか
・乗務前/運行後点呼を確実に実施し、点呼記録簿を
保存しているか
・運行指示書には、運行経路や休憩時間を明記しているか(貸切バス、48時間超乗務等)
・経路を変更する場合、運転者の独断ではなく運行管理者が確認し指示しているか
・点呼時の健康観察や休憩の指示を徹底し、指導の記録を保存しているか
・運転者の健康診断/適性診断を確実に実施しているか
・健康診断で要観察などの所見があった運転者へのアドバイスは徹底しているか
・中間点呼を確実に実施しているか
日 付 | 行 事 等 |
1日(月) ~29日(月)
|
・省エネルギー月間──政府は、暖房や給湯で電気や石油などのエネルギー消費量が増える2月を「省エネルギー月間」と定め、省エネルギーの推進を呼びかけています。 |
1日(月) ~29日(月) |
・全国生活習慣病予防月間──日本生活習慣病予防協会が制定。過去に2月第1週を政府が「生活習慣病予防週間」と定めていましたが平成20年に廃止したことから、同協会が活動継承を目指して月間を制定し、広く啓発活動を行っています。 |
1日(月) ~ 下旬 |
・平成28年度「全国安全週間 スローガン募集」 ──募集期限平成28年2月中旬(厚生労働省労働基準局安全衛生部) |
2日(火) |
・交番設置記念日──1881(明治14)年のこの日、1つの警察署管内に7つの交番を設置することが定められまし た。その後、全国で「派出所」「駐在所」という名称に統一されましたが、「交番」という呼び名が定着し、国際的にもKOBANとして通用する言葉になって いることから、1994(平成6)年11月1日に「交番」を正式名称とすることになりました。 |
2日(火) |
・バスガールの日──1920(大正9)年、東京市街自動車の乗合バスに初めてバスガール(女車掌)が登場しました。初任給35円、当時としては破格の高給で話題になりました。 |
3日(水) |
・自動車事故防止セミナー(主催/東北運輸局) ──テーマ「事業用自動車運転者の適切な健康管理による事故防止」 於 :仙台サンプラザ 3F「クリスタルルーム」 時間:13時30分~16時30分 講師:順天堂大学大学院 谷川 武教授 他 参加料:無料(但し、事前の申込が必要/定員220名) *詳しくは東北運輸局のWEBサイトを参照してください。 |
4日(木) |
・立春 |
5日(金) |
・笑顔の日──2(二)と5(コ)の語呂合わせで、いつもニコニコと笑顔になっていようという日。 |
6日(土) |
・初午──伏見稲荷大社をはじめ全国の稲荷神社で初午の日には盛大な「初午大祭」(豊穣祈願)が行われます。 |
8日(月) |
・自動車事故防止セミナー(主催/九州運輸局) ──テーマ「安全はひとり一人の力をあわせて」 於 :福岡商工会議所301会議室 時間:13時30分~16時30分 講師:九州大学名誉教授 松永 勝也氏 他 参加料:無料(但し事前申込が必要/定員200名) *詳しくは九州運輸局のWEBサイトを参照してください。 |
9日(火) | ・風の日──「ふ(2)く(9)」(吹く)の語呂合せから。春一番など強い南風が観測され始める季節です。 |
9日(火) |
・2月の製品安全点検日
──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
11日(木) |
・建国記念の日 |
12日(金) |
・過労運転/過労死110番──運輸ドライバーを中心に、全国で弁護士が過労死問題の電話相談を受け付ける。長時間労働で悩むドライバー、管理者などが対象。電話番号は、過労死110番全国ネットワークのWEBサイトで検索できます。当日以外も相談可能。事前問合せ先 03-3813-6999 |
14日(日) | ・聖バレンタインデー |
17日(水) ~23日(火) |
・アレルギー週間──(財)日本アレルギー協会がアレルギーの日をはさむ1週間、東京での中央講演会をはじめ、全国の支部で一般市民を対象に様々な啓蒙的催しを開催しています。 |
19日(金) |
・雨水 |
20日(土) |
・アレルギーの日──1995年のこの日、石坂公成・照子医師夫妻がIgE抗体を発見し、米国アレルギー学会で発表したのを記念して日本アレルギー協会が制定しました。 |
23日(火) |
・平成27年度 交通科学研究会・第1回 研究座談会 ──テーマ「高齢者の社会的関係と交通安全支援」 於 :大阪市立大学梅田サテライト 大講義室101 時間:15時00分~17時00分 講師:木村 年晶(同志社大学こころの科学センター 研究員) 内山伊知郎(同志社大学心理学部 教授) 参加料:無料(但し、出席連絡が必要) *詳しくは同会のWEBサイトを参照してください。 |
23日(火)~ 26日(金) |
・2016 産業安全対策シンポジウム (主催・日本能率協会など 於:東京都港区三田NNホール) ・23日「事故事例研究」「業種に応じだヒューマンエラーへの対策例」 ・24日「自動化と安全 ~自動化に潜むリスクとその対応~」ほか ・25日「産業安全の確保・向上に向けた保安力の評価と強化」ほか ・26日「安全文化の深化とトップの役割り」「現場力向上と安全」等 詳しくはシンポジウムのWEBサイトを参照してください。 |
25日(木) |
・自動車事故防止セミナー(主催・四国運輸局) ──テーマ「健康に起因する事故防止に向けて」 於 :サンメッセ香川2階「サンメッセホール」 時間:13時30分~16時30分 講師:香川大学医学部衛生学 宮武伸行准教授 他 参加料:無料(但し、事前申込が必要/定員130名) *詳しくは四国運輸局のWEBサイトを参照してください。 |
2月下旬 | ・平成27年中の労働災害の動向について(厚生労働省) |
2月下旬~ 3月上旬 |
・平成27年中の交通事故発生状況(警察庁) |
2月下旬 |
・平成27年賃金構造基本統計調査結果=賃金センサスの発表
(厚生労働省) |
◆2月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(月) | 福岡 17:49 | 大阪 17:26 |
東京 17:08 |
15日(月) |
福岡 18:02 | 大阪 17:40 | 東京 17:22 |
29日(月) | 福岡 18:14 |
大阪 17:53 |
東京 17:35 |
「早めにつけよう おもいやりライト」
運動に取り組みましょう!
運転者の皆さん!2月はまだまだ日が短く、早めの点灯が必要です。遅くても日没の30分前(関東地方なら4時半すぎ)には、ぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどを警戒してください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する動きが出ています。
※詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開し、JAFインターネットWEBサイトでライト点灯に関して様々な情報提供をしています。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください