2015年から2016年にかけてバス火災事故が多発したことを受けて、国土交通省はバス火災予防の資料を作成しました。
日本自動車工業会や日本バス協会など関係諸団体の協力を得て、バス火災事故防止のために重要な点検整備のポイントをわかりやすく解説した「バス火災事故防止のための点検整備のポイント」をとりまとめたもので、全てのバス事業者に対して通知しました。
※この資料は、同省のWEBサイトのほか、一般社団法人日本自動車工業会
のサイトからもダウンロードできます。
バス火災防止のポイントは次の4点です。
★1 点検整備のポイント
火災発生部位となり得る4つの装置(原動機、制動装置、走行装置、電気装置)毎に、火災防止のために重要な、主な点検整備のポイント(見方/交換目安)を示すとともに、点検整備を行わなかった場合の火災発生メカニズムを示しています。
★2 運転操作ミスや整備作業ミスなどの防止の
ためのポイント
火災発生部位となり得る4つの装置(原動機、制動装置、走行装置、電気装置)毎に、火災防止のために重要な主たる点検整備のポイント(見方/交換目安)を示すとともに、点検整備を行わなかった場合の火災発生メカニズムを示しています。
★3 バス火災事故の前兆、予兆
走行時に感じるさまざまな異状の中には、バス火災事故の前兆や予兆を示すものがあり、その症状や現象、火災につながる代表事例を示しています。
★4 バス火災事故発生時の対処
バス火災事故が発生した場合の避難誘導などに関する留意点についても示しています。
なお、平成21年に公益社団法人日本バス協会が車両火災発生時の避難誘導などについてとりまとめた「車両火災発生等緊急時における統一マニュアル」についても併せて紹介しています。
なお、定期点検整備記録簿の保存期間は1年間ですが、観光バスや貸切バスの場合は車両購入後独自の電気配線などを施すことがありますので、整備や後付設備の記録を遡って調べておくと、法定点検箇所以外の不具合も、早期に発見することが容易になります。
大手バス会社の場合は、新車で購入したりグループ間で融通して入手した車両を、同じ整備工場に続けて任せているケースが多いので、車両ごとに点検・整備の履歴が残り、注意ポイントをつかみやすいと思われます。
中古市場でバスを入手した場合は、こうした履歴を調べることは難しいでしょうが、とくに、「後付電気機器の取り付け」や「独自の電気配線」などが施されていないか購入時に出来る限り調査し、修理の記録や注意ポイントを調べておくことが大切です。
↑「バス火災事故防止のための点検整備のポイント」(国土交通省)より
【関連記事】
■ バス事業者に『バス火災事故防止のための点検整備のポイント』を通知 → (2016年4月22日)
■ 事業用バス火災事故の防止の徹底について → 国土交通省のサイト記事(2016年2月19日)
■ デファレンシャル・オイルの不足等に注意 (2016年3月4日更新)
■ バスの車両火災を防止しましょう (2016年1月29日更新)
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