バス事故対策検討委の「中間整理」を公表

 国土交通省は平成28年1月15日に長野県軽井沢町で発生したスキーバス事故を踏まえて、「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」を設置して話し合ってきましたが、このたび再発防止策の「中間整理」をとりまとめて、公表しました。

 

 この中間整理を踏まえて、初任運転者にたいする実技訓練の義務付けなど「指導・監督指針」の見直しのほか、ドライブレコーダーの設置義務づけ、監査の強化、事業停止など行政処分の対象範囲の拡大、旅行業者との取引適正化など、平成28年度中に多角的な対策がとられる予定です。

■「中間整理」の概要

 

 検討委員会はこれまでの安全対策を徹底的に再検証し、貸切バスをめぐる構造問題を踏まえつつ、実効性のある再発防止策の方向性をとりまとめました。

 再検証した内容は主に次の項目です。

 

  • 貸切バス事業者に対する事前及び事後の安全性のチェックの強化
  • 旅行業者を含めた安全確保のための対策強化、取引環境の適正化
  • 運転者の運転技量等のチェック強化
  • ハード面の安全対策の充実
  • 事業参入に関する安全確保、チェックの強化

 

 これらの検討から、「速やかに実施すべき事項」「今後具体化を図る事項」「引き続き、検討すべき事項」に分けて取り組むことになりました。


■1 速やかに実施すべき事項

悪質事業者に対する厳格な処分

新規雇入運転者等への実技訓練や適性診断の義務付け

貸切バスへのドライブレコーダー装着の義務付け

バス事業者と旅行業者間で取り交わす書類の運賃下限額明記など

利用者への貸切バス事業者名の提供、下限割れ運賃等の通報窓口の設置

■2 今後、具体化を図るべき事項

民間団体を活用して監査実務を補完する仕組みの構築

監査の後、30日以内に違反事項を改善したかどうかの確認

貸切バス事業者と旅行業者が連携して、安全情報を提供する仕組みの構築

車体等へ先端安全技術の搭載状況を明記

運行管理者資格の返納、再取得要件の厳格化

■3 引き続き、検討すべき事項

増車の際のチェック強化

罰則の強化、旅行業者への行政処分強化

運転者の労務・健康管理の改善

最低保有車両台数の引き上げ、一定以内の車齢の義務づけ

貸切バスの事業許可更新制度の導入

■「指導・監督の指針」見直しに着手

 

■初任運転者に対する適性診断、指導・監督の見直し、

 実技訓練の義務付け等

 国土交通省は、「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」の下に「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」を設置しました。

 5月11日から「旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針(告示)」の改正のための検討を開始、数回開催した上で、秋までに改正案をとりまとめる予定です。


■「ドライブレコーダー」性能要件の検討開始

 

貸切バスにドライブレコーダーの設置を義務付け

 同省は、「次世代運行管理・支援システムについての検討会」の下に「貸切バスに装着義務化するドライブレコーダーに関するワーキンググループ」を設置しました。

 5月27日からバス事業者がドライバーに対して効果的な指導・監督等に活用することを目的としたドライブレコーダーの性能要件の検討を開始、秋までに性能要件案をとりまとめる予定です。


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