運転中、危険な場面に遭遇した時、ブレーキを踏む前にハンドル操作をしてしまいがちですが、それが事故を大きくすることがあります。
さる6月14日午前8時頃、川崎市の市道交差点で右折矢印信号が青に変わったとき交差点に直進してきた乗用車と右折しようとした乗用車が衝突する事故が発生しました。
このとき直進車は衝突を避けようと左に急ハンドルを切り、衝突後に左側の歩道に突っ込んで歩道上の中学生5人に重軽傷を負わせました。右折車の運転者は軽傷ですみ、直進車の運転者に怪我はありませんでした。
この事故は、信号が変わったにもかかわらず、無理に直進しようとした運転者の信号無視が原因です。右折車が右折を始める前に通過できるだろうと甘い考えでいたものと思われますが、衝突を避けようと急ハンドルを切ったので結果的に全く関係のない歩行者に被害を負わせています。
状況にもよりますが、歩行者などの多い場所で歩道側にハンドルを切るのは危険です。まずは急ブレーキで衝突の衝撃を少しでも小さくすることに努め、回避できる安全な方向を選ぶ余裕がある場合に、ハンドル操作をするようにしましょう。
ハンドルだけで避けられると考えるのは禁物です。
(シンク出版株式会社 2016.6.23更新)
──監修:杉原厚吉(「計算錯覚学の構築」チームリーダー)
小冊子「錯視・錯覚に注意して事故を防ごう」は、下り坂が上り坂に見えるなど、運転中におこる錯視・錯覚を具体的に紹介した、事故防止教育教材です。
5つの問題に回答を記入したのち、解説を読んでいただくと、「運転中の錯視・錯覚」について簡単に理解していただくことができます。
巻末には、「錯視・錯覚」をどれだけ意識して運転しているかを確認できるチェックリストを設けています。