平成28年6月27日(月)に岡山市北区のアークホテル岡山において、「これからの安全な交通社会を目指して」をテーマに、第20回交通大学が開かれました。
交通大学は「マイクロメイト岡山株式会社」、「NPO法人安全と安心心のまなびば」が主催する講座で、今回は20回目となり記念大会として開催されました。
今回の交通大学は、約140名が受講し、以下に紹介する特別講演ならびに3つの講座を熱心に受講されました。
まず、交通大学のコーディネーターである川崎医療福祉大学名誉教授の金光義弘先生が、交通大学20年間のあゆみを紹介しました。
交通大学は平成7年11月に初開催され、自動車学校や警察、安全協会、企業の安全運転管理者、運行管理者、交通行政担当者、一般市民の方を対象に岡山で毎年開催されてきました。
交通大学では、「誰もが安心して暮らせる快適な交通社会を実現したい」という共通の願いのもとに、これまで130余名の方が登壇されて有効な情報を提供されました。
学術的知見に基づいた情報提供のほか、交通死亡事故の遺族の方、視覚機能や運動機能を失われた方などから当事者のお話を聞く機会も持ちました。
こうした取り組みは、交通事故を第三者的な視点でとらえるのではなく、交通事故を自らの課題として受け止める役割を果たしたものと考えています。
おかげ様で交通大学は20回目を迎えることができました。この岡山後で蒔いた「安全で安心できる交通社会実現の種」は、いずれ全国各地で実となり花を咲かせるものと期待しています。
※過去の交通大学について詳しくはマイクロメイト岡山㈱のWEBサイトへ
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──鈴木春男(千葉大学名誉教授)
鈴木教授は交通事故削減のためにはこれまでの、歩車道などの整備といった「モノ対策」、参加・体験・実践型交通安全教育といった「ヒト対策」に加え、ドライバーがモノとしての車にどう働きかけるかといった「モノとヒトの関係性の追求」を第三の処方箋としていくべきだと訴えました。また、高齢者の交通事故防止についても基本的な考え方を述べました。
──大谷 亮(一般財団法人日本自動車研究所安全研究部)
大谷氏は、「失敗が見えず、失敗が味わえない」現代の子どもに対する交通安全教育の方策を紹介しました。低学年と高学年に向けた安全への動機づけの手法や、具体的な交通場面における対処方法など、子どもに交通安全教育を実施するにあたっての有益な情報を提供しました。
──原田 千花子(マツダ株式会社商品戦略本部技術企画部)
原田氏はマツダ車の特徴である「走る歓び」を提供し続けるために、交通事故防止の取り組みにおいて、機械中心ではなく、あくまでも人間が認知・判断・操作を行い、万が一の際には機械が介入して交通事故を防止するといったコンセプトを説明しました。
──金泉浩二(一般社団法人日本損害保険協会)
金泉氏は交通事故の損害状況や保険金の支払状況を説明した後、各種自動車保険について解説しました。また、近年関心が高まっている自転車事故の現状や、いざというときのための保険の加入方法などを紹介しました。
──小橋勇二(岡山市立市民病院 産婦人科診療部長)
小橋医師は妊娠から出産に至るまでに発生する、あらゆる障害や異常について具体的に説明しました。染色体や遺伝子の異常で、どんなカップルでも3~5%の先天性疾患のある児を出産する可能性があるなど、子どもが元気に生まれてくることがいかに稀有なことであるかを解説し、交通事故によって命の伝承が途切れる重大性を訴えました。
第20回交通大学データ
・日時 平成28年6月27日(火)10:20~17:10
・会場 アークホテル岡山
・主催 マイクロメイト岡山株式会社(木村憙從代表取締役会長)
・コーディネーター 金光義弘(川崎医療福祉大学名誉教授・NPO法人 安全と安心 心のまなびば 理事長)
・プログラム
基調講演 「安全な交通社会を築くために~ヒトを動機づけるための処方箋~」
──鈴木春男(千葉大学名誉教授)
第1講座 「昔の子どもから学ぶ将来の交通安全教育」
──大谷 亮(一般財団法人 日本自動車研究所安全研究部)
第2講座 「マツダの安全への取り組み」
──原田 千花子(マツダ株式会社商品戦略本部技術企画部)
第3講座 「命の尊厳と事故による損失」
・第一部 <保険業界の立場より>
──金泉浩二(一般社団法人日本損害保険協会)
・第二部 <医師の立場より>
──小橋勇二(岡山市立市民病院産婦人科診療部長)