■前車への事故を防ぎましょう
・トラックでは死亡事故も多発!
追突事故は、わき見や漫然運転などのとき起こりやすく、暑い夏場は頭がぼんやりして前方への注意が散漫となりがちですので、要注意です。
帰省などで高速道路が渋滞するときも追突事故が起こりやすいので、気をつけましょう。
人身事故に占める追突の割合は、約36%で、車対車の事故では最も多い事故パターンです(※1)。
とくにトラックでは人身事故のうち、追突事故は全体の5割超を占め、高速道路ではトラック事故全体の約7割を占めています(※2)。
追突が死亡事故に占める割合は一般の事故統計では、5.7%と低くなりますが、トラックでは追突死亡事故の割合は17.6%と高く、さらに高速道路では44.1%と非常に高い数字となっています。しかも、トラックの場合は被追突車だけでなく追突した運転者の死亡率の高いことが特徴です。
自分自身の生命を守るためにも、追突事故は軽視できません。
・追突防止3つの自己管理
全日本トラック協会の「追突防止マニュアル」では、次の3点の自己管理を事故防止の重要ポイントとしてあげています。一般のドライバーにも参考になりますので、ぜひ実践してください(※2)。
■運転中の自己管理
・眠気や疲れを感じたら、いったん休憩する
・高速道に乗ったら1時間以内に休憩する
・渋滞等で遅延が生じても、焦らずに管理者へ連絡
する──焦りやわき見は禁物
■日常の自己管理
・疲労をためないように心がけ、健康管理に気をつける
■周囲と協力した自己管理
・上司、同僚、家族とコミュニケーションをとる
・疲労や健康状態を報告し、日頃から危険場面の情報などに耳を傾け、同僚と情報共有する
※1 交通統計平成26年版(平成27年7月発行/交通事故総合分析センター)
※2 トラック事故追突防止マニュアル(平成28年6月発行/全日本トラック協会)
【こんな事故が起こっています!】
・疲労と睡眠不足で集中力が低下し追突
平成26年11月27日、愛知県犬山市でガソリン等を積載したタンク車が走行中、交差点手前で乗用車に追突したのを発端に計9台がからむ多重追突事故が発生しました。
この事故で9名が軽傷を負い、タンク車のタンクが損傷して、積載していたガソリン等6000リットルが路上に漏洩しました。
運転者が、疲労と睡眠不足で集中力が低下している状態のまま、休憩場所を探しながら走行していて、赤信号で停止しようと減速していた乗用車に気づくのが遅れ、追突したものです。
ドライバーは睡眠不足により、疲労が残っていたことを点呼の際に申告しませんでした。このため、運行管理者が疲労の度合いを把握できないまま運行を決めていたことも、事故につながった原因の一つと考えられています。
※国土交通省「事業用自動車事故調査報告書 №1554207」(平成28年2月8日公表)より
■過労運転事故防止の徹底
・潜在的な過労・居眠事故は約2割?
警察庁の事故統計によると過労・居眠運転による事故は、事故全体の1%、死亡事故の3%程度です。ヨーロッパ各国でも1~4%という数字です。
しかし、欧州では警察発表は過小評価されているとの認識で、警察の事故統計とは別にサンプル調査と思われる居眠運転事故のデータが存在します。
その統計によると、居眠事故や居眠りに近い状態の漫然運転事故が事故全体に占める程度は、約2割はあることが確認されています。
この事実を踏まえ、我が国でも潜在的には交通事故の2割程度が過労・居眠運転と関係していると考えることができます。
※(公財)高速道路調査会「高速道路での居眠り運転防止に向けた効果的な対策に関する調査研究(平成26年度)」より
・効果的な居眠りの防止対策を
過労運転は運転者の長時間運転や長時間労働が背景にあり、運転者が過労のため正常に運転できない状態で事故に至っているもので、管理者に大きな責任があります。
過労運転が確認された場合は、使用者・管理者が下命・容認の責任を問われることになります。
過労運転防止のため、次の3点に努めましょう。
1 適正な運転時間、労働時間を指導する
運転者任せにしていると、どうしても無理をしがちです。
管理者が休憩時間や休息期間、長時間の睡眠を細かく指示して、過労に陥らないような運転計画を指導しましょう。
2 居眠り防止策の指導
労働時間が適正で睡眠をとっていても、暑い時期は疲労がたまりやすいので、効果的な居眠り防止策を指導しましょう。
① 15分程度の短時間の仮眠が効果的──深い眠りに入らな
わかっています。
15分以上の中途半端な長い仮眠は、深い眠りを誘うので、時間に余裕のある場合は4時間以上
の本格的な睡眠をとらせましょう。
② カフェインの摂取は効果的──コーヒーなど、カフェイン含有飲料は20分後に覚醒効果を発揮
します。短時間仮眠の前に飲むと効果的です。
3 遅れなどの連絡は管理者が責任をとる
訪問時間の遅れを気にしたり、延着で顧客に叱られると考えて運転者が無理をする心理に配慮しましょう。疲れているときには休憩を優先し、顧客などへの遅延の連絡は事務所・管理者が責任を持って行うことで、運転者の負担を軽くし臨時の休憩などをとりやすくしましょう。
■暑さに負けない健康増進
①適度な運動の習慣
暑い日が続くと、ついエアコンに頼ってじっとしてしまいがちですが、暑い時期に適度な汗をかくことも大切です。
信州大学(スポーツ医科学)の能勢博教授によると、週3回程度、少し早足で歩くなど汗が出るほどの運動(1日に30分くらいまで)をする習慣をつけると、体内の血液量が増えるので体の熱が外に逃げやすくなって体温調節機能が改善するそうです。筋肉の衰えを防ぎ、代謝機能を高めます。
このため発汗作用も高まり、かえって熱中症の予防になります。
仕事中など無理して冷房を止めるのは熱中症リスクがありますが、運動習慣は暑さに強い身体をつくる必要条件の一つです。
②バランスの取れた食事習慣
食事も重要な暑さ対策となります。食欲がないからと冷やし素麺などばかり食べないで、次のような食品を上手に摂取しましょう。
・タンパク質をしっかり摂る──豚肉・豆腐・枝豆・青魚などを、冷しゃぶ、冷奴、マリネなど食べやすくして沢山食べることが夏バテ防止につながります。
・ビタミンを摂る──ニラ、にんにく、トマト、ピーマン、きゅうり、玉ねぎなどを肉類・魚類と一緒に摂る工夫を。オリーブオイルや梅干しなどを活用します。また、ウナギに含まれるビタミンB1・B2も効果的です。
・クエン酸を摂る──レモン、酢、ワインビネガーなどに含まれるクエン酸は、疲れの元になる乳酸を分解する働きがあり、夏バテ防止につながり、熱中症対策にも効果があります。
③快適な睡眠習慣
睡眠環境を整えてよい睡眠をとることが、夏を乗り切るにはとても重要です。
・エアコンを上手に使って、眠りにつきやすくする──温度が28度を超えると寝付くのが大変になるので、身体を冷やし過ぎない程度に冷房する。25度程度が快適温度。これ以上は下げない
・湿度は50-60%程度に──湿度が低いと、温度はあまり気にならなくなる
・就寝前から部屋の灯りを暗くし、身体がスムーズに眠りにつくようにする
・就寝の1時間ほど前に入浴を済ませて寝汗をかかないようにする。
・風通しのよい寝具を工夫する
・騒音対策をする
【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】
■バイク事故防止指導
8月19日は「バイクの日」です。
二輪車や原付自転車を使用している事業所では、二輪車ライダーの運転指導に取り組むよい機会です。
四輪運転者に対しても、対二輪車事故防止の指導に取り組んでください。
四輪対原付・二輪の事故では、交差点での出会い頭事故や右直事故が多発しています。二輪ライダーには、四輪の運転者から自分が見落とされやすいということを意識させましょう。
また、四輪運転者に対しては、二輪だからといって相手を軽視しないで、交差点で右折するときなどは直進車優先を順守するように指導してください。
■高速道路における停止車両に注意
高速道路上での事故・故障で、本線車道や路側帯に降車した人が、後続車にはねられるといった事故が依然として多発しています。
8月はレジャーや帰省などで高速道路を走行する車が増えますので、運転者に対して
「高速道路でも歩行者のいる可能性があること」
「停止車両の近くにいる乗員に注意すること」
などを再度、指導しておきましょう。
また、自社の運転者が本線車道で故障・事故などのトラブルに見舞われた場合を想定し、次の3点も確認しておきます。
■秋の全国交通安全運動の準備
9月の全国交通安全運動(21日~30日)の準備を進めておきましょう。
交通安全運動では「子どもと高齢者の事故防止」が基本テーマとなります。重点項目を参考にして、職場や営業所ごとの安全運転目標を考え、配布物・掲示物などを準備しておきましょう。
交通事故死ゼロを目指す日は、9月30日(金)です。
重点項目は以下の3点です。
(1) 夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止
(特に,反射材用品 等の着用の推進及び自転車前照灯の点
灯の徹底)
(2) 後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイ
ルドシートの正しい着用の徹底
(3) 飲酒運転の根絶
夕暮時・夜間の事故防止では、対向車・先行車がいない状況ではライトを上向きライト(ハイビーム)にして、危険の早期発見に努めることが強調されています。
また、シートベルト着用も重要テーマです。高速乗合バスや観光バスなど後部座席着用率の低いことが問題視されています。運転者はもちろん、乗員・乗客の安全指導に力をいれましょう。
酒気帯び運転の根絶のため、アルコールの分解には一定の時間が必要なことを理解させて、前日の酒気残りによる酒気帯び運転を防ぎましょう。
最近は、日中の交差点における一時不停止などの交通取締指導を通じて、酒気帯び運転が発覚するケースも増えています。マイカー通勤のドライバーにも注意を促してください。
【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】
【トラック事業者向け】
■荷役災害の防止に取り組もう
荷役時の災害は、その多くが荷主や荷送先の軒先で発生し、転落事故や挟まれ災害などが多いのが特徴です。
このたび、厚生労働省労働基準局から「荷主等における荷役災害防止対策の好事例集」の活用が呼びかけられましたが、こうした荷役災害防止の参考になりますので、ぜひ指導に活かしてください。
事例をみますと、トラックの荷台からの転落を防ぐため、足場を設置したなどの事例が見られます。
工場など製造業の現場ではすでに当たり前のことですが、貨物自動車の事業で働く従業員に対して
は、労災対策が徹底されていないことがわかります。
現場の様子をチェックして荷主にも協力を要請し、改善すべき点はぜひ改善して災害防止にとりくんでください。
【バス事業者向け】
■法令違反防止のため安全総点検を行おう
国土交通省は、貸切バスの法令違反に対する処分基準(通達)を改正し、7月1日から施行しています。
軽井沢スキーバス転落事故を踏まえた対策措置です。
今後は輸送の安全に関わる法令違反を見逃していて人身事故を起こした場合、重大な処分を受けるとともに、運行管理者も資格者証の返納を求められます。
点呼の未実施、運行指示書がないなどの法令違反がないか、事業所で総点検を実施しましょう。
今回改正されたのは、次の2点です(今後、他の規制も厳しくなる予定です)。
1 貸切バス事業許可取消処分の範囲拡大
2 運行管理者の資格者証返納処分の対象拡大
1は、貸切バス事業者が重大な事故を起こし、甚大な人身被害があった場合で、悪質な法令違反があると認められた場合は、累積点数に関わらず即、事業許可取消処分を受けるということです。
2は、貸切バス事業者が「事業許可取消」処分を受けるような甚大な事故を起こした場合で、運行管理に係る悪質違反があると認められる場合は、営業所の全運行管理者の資格者証の返納が命じられるようになるということです。
(当該運行管理者が全く違反に関与していないと証明された場合は返納対象から除かれます)
日 付 | 行 事 等 |
1日(月)~ 31日(水) |
・道路ふれあい月間──国土交通省では、毎年8月を「道路ふれあい月間」として、道路の正しい利用や道路愛護活動の推進に努めています。 「道きれい そんな所は 人きれい」 「ありがとう 生きる力を くれる道」 |
1日(月)~ 31日(水) |
・食品衛生月間──厚生労働省では、毎年食中毒の発生しやすい8月に食品衛生管理の徹底を呼びかけています。 |
1日(月) |
・夏の省エネ総点検の日 |
3日(水) |
・第51回 交通安全子供自転車全国大会──児童・生徒の自転車事故防止活動の一環として全日本交通安全協会が主催。都道府県代表が安全運転を競い合います。於:東京ビッグサイト |
5日(金) |
・タクシーの日──大正元年(1912年)のこの日、東京有楽町で日本初のタクシー会社が設立され、メーターを装備したT型フォードで営業を開始しました。 |
6日(土)~ 7日(日) |
・第49回 二輪車安全運転全国大会(全日本交通安全協会)──全国47都道府県代表の二輪ライダーが三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットに集まり、安全運転技能と交通マナーを競います。 |
7日(日) |
・立秋 |
9日(火) |
・8月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等についての情報提供・注意喚起を行っています。 |
10日(水) |
・道の日──大正9年の同日にわが国で最初の道路整備の長期計画がスタートしました。 |
10日(水) |
・健康ハートの日──「ハー(8)ト(10)」の語呂合わせから日本心臓財団などが制定。心臓病に対する予防知識を啓蒙します。夏の間に心と体のチェックをして、心臓病の多発する冬に備えましょう。 |
11日(木) |
・山の日──2016年1月1日に施行された新しい国民の祝日。山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝するという趣旨。 |
19日(金) |
・バイクの日──政府の交通安全対策本部が二輪車の交通事故撲滅を目的に制定しました。この日を中心に、全国で二輪車の安全運転講習会等が展開されます。 |
20日(土) |
・交通信号の日──昭和6年(1931)のこの日、東京銀座と京橋に3色の交通信号機が設置されました。 |
23日(火) |
・処暑 |
25日(木)~ |
・道路防災週間──道路防災に関する広報活動が行われ、道路施設・設備点検、防災訓練などを行います。 |
28日(日) |
・平成28年度 第1回 運行管理者試験────詳しくは、(公財)運行管理者試験センターのWEBサイトまで |
30日(火)~ 9月5日(月) |
・防災週間──防災に対する知識を普及・啓発するとともに、防災行動へと結びつける取組みが全国各地で行われ、異常気象時における通行規制図などが自治体から配布されます(内閣府)。 |
~ 9月30日
|
・夏の省エネキャンペーン──エネルギー消費の大きなピークの季節を迎え、6月から省エネキャンペーンが行われています。 |
8月中旬 |
・平成28年7月末における交通事故発生状況の公表(警察庁) |
8月下旬 |
・お盆時期10日間の交通事故発生状況(警察庁) ・「自動車点検整備推進運動(9~10月実施)」の広報 |
◆8月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(月) | 福岡 19:18 | 大阪 19:00 | 東京 18:45 |
15日(月) |
福岡 19:05 | 大阪 18:46 | 東京 18:31 |
31日(水) | 福岡 18:45 |
大阪 18:26 |
東京 18:10 |
「早めにつけよう おもいやりライト」
運動に取り組みましょう!
8月は、暦のうえではもう秋です。日没時刻も日に日に早まっていきます。関東では5時台に入ったら、九州でも6時台には点灯しましょう!
早めに点灯する配慮が交通事故を減らすことに結びつきます。遅くても日没の30分前にはぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどに警戒することを習慣としてください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する動きが出ています。
※詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開し、JAFインターネットWEBサイトでライト点灯に関して様々な情報提供をしています。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください