フォークリフトの用途外使用は危険

フォークリフトオペレーターのための安全運転読本

 

 フォークリフトは便利な運搬作業用の機械ですので、多くの倉庫・工場や物流現場のほか、一般企業などでも活用されています。

 

 しかし、フォークリフトは高い場所まで爪を伸ばせることから、つい、ハシゴ代わりに使ったり、高い所に人を移動させるなど、本来の用途とは別の目的で使用していることはないでしょうか?

 

 フォークリフトなど運搬機械の用途外使用は法律で禁止されていますが、実際には安易な使用による事故が発生しています。

 

 特に、作業者が転落したり挟まれたりすると死亡事故に結びつくことが多いので注意しましょう。

【こんな事故が起こっています】

■フォークリフトでバスの整備をしていた運転者が転落して死亡

 平成28年(2016年)6月17日、岩手県盛岡市内のあるバス会社の車庫で、大型バスの整備のために、フォークリフトの荷台の上に乗って作業をしていた運転者の男性(55歳)が誤って荷台から転落し、頭などをつよく打って死亡しました。

 

 亡くなった運転者の男性は、フォークリフトによって2mほどの高さまで上げられた台の上で、バスの窓枠を取り替える作業にあたっていましたが、別の作業員の男性がフォークリフトを動かした時にバランスを崩して転落しました。ヘルメットはかぶっていませんでした。 

 

 このバス会社では、窓枠などの交換作業を行う際にはフォークリフトは使わず、はしごを使うように指示していたということですが、現場では、このような危険な作業が行われていたようです。

■フォークリフト上の台から転落した養鶏場の作業員が死亡

 平成28年(2016年)3月28日、新潟県村上市にある養鶏場従業員の男性(48)が、フォークリフトに乗せた台の上で、ニワトリ100羽が入ったケージを小屋から運び出す作業をしていて、リフトから転落し、ケージの下敷きになって死亡しました。

 

 事故が起こったとき、別の従業員と2人で小屋の2階からケージを降ろす作業をしていたところ、何らかの原因でバランスが崩れ、台ごと2mほどの高さから落下しました。

 

 警察の調べによると、この養鶏場ではふだんからフォークリフトで持ち上げた台に乗って、作業をしていたということです。

■フォークリフトには原則として人を乗せない

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 フォークリフトは、人を乗せて運ぶ機械ではないので、原則として爪で持ち上げたパレットや台の上に人を乗せて作業などをさせることは、労働安全衛生規則で禁止されています。

 

 ただし、例外規程があり、作業者が墜落することを防止するための覆い、囲い等を設けた専用のキャリアなどを使用し、作業者の転落防止用安全フックなどを使用する場合は認められています。

 しかし、これらのキャリアを初めて使用する場合は、業者の言い分を鵜呑みにしないで、ちゃんと検査を通った製品で使用に問題はないのか、作業上で注意点はないかなど、事前に都道府県労働局に確認しておきましょう。

 

 なお、キャリアによって転落は防止できても、爪を急に上昇させると、台の上の作業者の上半身が天井との間に挟まれるといった事故の危険もありますので、フォークリフト上の高所作業は非常に危険であることを忘れないでください。

 

【労働安全衛生規則】

第151条の13(搭乗の制限)

 フォークリフト等の車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、乗車席以外の箇所に労働者を乗せてはならない。

 ただし、墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じたときは、この限りでない。

 

第151条の14(主たる用途以外の使用の制限)

 フォークリフト等の車両系荷役運搬機械の荷の吊り上げ、労働者の昇降等主たる用途以外の用途に使用してはならない。

 ただし、労働者に危険を及ぼすおそれのないときはこの限りでない。

 

関連通達(昭53・2・10 基発第78号/労働省労働基準局長

『労働者に危険を及ぼすおそれのないときとは、フォークリフト等の転倒のおそれがない場合で、パレット等の周囲に十分な高さの手すり若しくはわく等を設け、かつ、パレット等をフォークに固定すること又は労働者に命綱を使用させること等の措置を講じたとき』 

 

■フォークリフトの安全指導を忘れないようにしましょう

 労働安全衛生法第60条の2では

「事業場の安全衛生の向上を図るため、危険又は有害な業務に現に従事している者に対し、安全または衛生に関する教育を行わなければならない」

と定められています。

 フォークリフトの運転は、この「危険又は有害な業務」に相当します。

 

 そして同条第2項の規定にもとづき、事業者が労働災害の動向、技術革新等の変化に対応した事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、フォークリフト運転業務などの危険または有害な業務についている者に対しては、概ね5年ごとに安全また衛生のための教育(特別教育)を実施し、労働災害の撲滅に努めることが定められています。

 

 ※教育方法、時間などの目安は、危険又は有害な業務に現に就いている者に対する安全衛生教育に

  関する指針/厚生労働省 を参照してください。

※フォークリフトの事故事例についてこちらも参照 

 ・フォークリフトの無資格運転を防いでいますか(危機管理意識)

 ・不安全状態、不安全行動の放置に注意しよう(危機管理意識)

 ・構内事故の過失責任を意識していますか?(危機管理意識)

 ・「これくらいなら」と安全の基本がおざなりに(危機管理意識)

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