■夕暮れ時の事故を防ぎましょう
・歩行者、自転車との事故多発
午後の時間帯から夕暮れ時にかけては、通勤・通学帰りの人や買い物客などの歩行者、自転車との事故が発生しやすい時間帯です。
クルマも人も急いでいて、うっかり事故を起こしやすくなっています。
さらに、9月になると日が短くなり、夕刻は暗くなるのが早くて視認性が悪くなるので、危険の発見が遅れやすくなることも事故に結びつきやすい要因です。
また、夕刻には車が生活道路に入ったときに歩行者事故をよく起こしています。15時ぐらいから急に事故件数が増えて、17時から18時までにピークがあります。
営業や配送などのため外出したドライバーの皆さんは、ちょうど帰社時間帯にかかりますので、注意しましょう。
※図はイタルダ・インフォメーション「No.98 生活道路上の歩行者事故の特徴」より
【こんな事故が起こっています!】
・自転車の小学生が右折して車と衝突
平成27年9月29日午後6時ごろ、千葉県千葉市の交差点で小学校3年生の男の子がワンボックスカーにはねられ全身を打って意識不明の重体となりました。
現場は信号のない市道の交差点で、男の子がそのまま右折したところ、対向車線を走ってきたワンボックスカーと衝突しました。
日没後40分ほどたっていて、互いに相手が見えにくく、車のドライバーは右折する自転車の発見が遅れたとみられています。
【事故の教訓】
夕刻には早めの点灯で自車を目立たせるとともに、ライトは適宜上向きライトを使用して、危険の発見に努めましょう。
自転車に乗る人も、必ず点灯して車から発見しやすくする努力が必要です。
■交通安全運動の機会に運転者指導を
秋の全国交通安全運動(21日~30日)が実施されます。
運動の基本は「子供と高齢者の事故防止」です。
また、以下の3点が重点項目となります。これらのテーマを参考にして、職場や営業所ごとの安全運転目標を考え、集合教育などを実施しましょう。
交通事故死ゼロを目指す日は、9月30日(金)です。
●重点項目
(1) 夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止
(特に,反射材用品 等の着用の推進及び自転車前照灯の点
灯の徹底)
(2) 後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイ
ルドシートの正しい着用の徹底
(3) 飲酒運転の根絶
・上向きライトを基本とした夜間走行を指導
夕暮時と夜間の事故防止では、対向車・先行車がいない状況ではライトを上向きライト(ハイビーム)にして、危険の早期発見に努めることが強調されています。
歩行者の夜間死亡事故のほとんどが車のライトを下向き(ロービーム)のまま走行しているときに発生しているからです。
※平成27年は死亡事故の96%がロービームのとき発生。
なお、シートベルト着用も重要テーマです。高速乗合バスや観光バスなどで、後部座席着用率の低いことが問題視されています。運転者はもちろん、乗員・乗客の安全指導に力をいれてください。
貸切バスの場合は、外国人乗客への着用を促すのが難しいと言われています。国土交通省・警察庁が共同で作成した外国人向けの着用リーフレットなども活用しましょう。
酒気帯び運転の根絶のため、アルコールの分解には一定の時間が必要なことを理解させて、前日の酒気残りによる酒気帯び運転を防ぎましょう。
最近は、日中の交差点における一時不停止などの交通取締指導を通じて、酒気帯び運転が発覚するケースも増えています。マイカー通勤のドライバーにも注意を促してください。
■寒暖差による疲労に注意しよう
朝夕の気温が下がり、体調不良にも
9月に入ると、上旬はまだ残暑が厳しい時期ですが、だんだん日が落ちるのも早くなり、朝晩の気温が下がって涼しさを感じるようになります。その一方、日中はまだまだ暑いので、寒暖差が激しくなってきます。
体に夏の疲れが溜まっているうえ、気温変化から冷えによる体調変化が起こりやすいことに気をつけましょう。
自律神経のバランスが崩れやすく、基礎代謝や新陳代謝を低下させてしまい、「なんとなく体がだるい」「胃腸の調子が悪い」「疲れやすい」といった症状が現れやすくなります。
体を冷やさない工夫を
夜などに身体を冷やし過ぎない工夫をしましょう。
・エアコンの使用は暑い日だけにして、気温変化に合わせて徐々に設定温度を高めにする
・お風呂に入るときはシャワーだけではなく、38~40度くらいのぬるめの湯でゆっくりとつかる
・ニンジン、カボチャ、玉ねぎ、生姜など体を内側から温める食材、香辛料をとる
・ビタミンやミネラル、良質なたんぱく質が豊富な牛肉、豚肉などをとる
・いつまでも夏用の寝具やパジャマは使わない
【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】
■労働衛生週間の準備期間です
9月は、10月に実施される全国労働衛生週間の準備期間とされています。職場の労働衛生や安全衛生について問題点がないか、チェックすることが重要です。
重点事項としては、
1 ストレスチェックの確実な実施
──メンタルヘルス対策を充実させる
2 危険・有害な化学物質に関するリスクアセスメント
3 受動喫煙の防止対策を推進
が挙げられています。
運転者のストレスチェックを経て問題点が見られたら、運転業務が過度な負担となっていないか、職場のパワーハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、いじめなどによる心理的圧迫がないかも調査しましょう。
※ 「ストレスチェック制度」については、厚生労働省のwebサイトを参照してください。
このほか、自動車をよく使用する事業所では、倉庫や駐車場所の5S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ)の確認、避難経路など通路の安全確保、防災グッズの収納場所、地震対策として設置物の固定などがしてあるか、などもチェックしておきましょう。
【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】
■重点的な車両点検整備を実施しましょう
9月~10月は「自動車点検整備推進運動強化月間」です。
大型バスを運行するバス事業者や車輛総重量8トン以上の事業用トラックを50台以上使用する運送事業者は、大型自動車の重点点検を行い、その結果を報告するよう地元の運輸支局から注意喚起が行なわれます。
これ以外の事業者も自主点検に取り組みましょう。
なお最近、大型車の点検整備の不備から車両火災や事故が多発しています。関連情報が、国土交通省のWEBサイトに多数掲載されていますので参考にしてください。
■アルコール検知漏れがないかチェックしよう
秋の全国交通安全運動の重点項目の一つに、飲酒運転の根絶があげられています。
事業用自動車の事業所では、アルコール検知が義務づけられていますが、前夜の酒気残りなど意図しない酒気帯び運転に対しても厳しい指導を行いましょう。
現場の飲酒運転に対する撲滅意識が低下してくると、アルコール検知漏れが発生したり、ひどい場合は身代わり検知などの不正が起こってきます。また、管理者の不正黙認や、管理者本人の酒気帯び運転も起こっています。
【こんな事例が発生しています】
バス事業者で身代わり検知の不正が発覚
長崎県の路線バス会社で、さる7月17日および19日に、運転者が乗務前呼気検査で酒気帯びの基準値を超えるアルコールが検出されたにもかかわらず、2回めに身代わり検知をして運行管理者を欺き、乗客を乗せて路線バスを運転していたことが発覚しました。
バス会社の調査によると、これらの運転者は1回目検査でアルコールが検知されたため、後輩運転者や家族を呼んで再検査を受けさせてチェックをごまかしていました。
そのうち1件では、運行管理者の補助者(68歳)が立ち会っていたのにも関わらず、これを黙認していたということです。
バスの運行管理者が酒気帯び運転
さる8月8日、福岡県の大手バス会社の運行管理者(50代)が、酒気帯び運転で検挙されたことがわかりました。
管理者は営業所からマイカーで帰宅途中、コンビニに立ち寄って缶ビール1本を飲んでそのまま運転し、北九州都市高速道路で速度超過して警察に停止を求められ、呼気検査で1リットルあたり0.16mgのアルコールが検出されました。
この管理者は元バス運転者で、毎朝、営業所で運転者のアルコール検知に立ち会って指導をする担当者でしたので、酒気帯びとスピード違反で検挙されたことに、バス会社もショックを受けています。
■「酒気残り」に対する意識を高める指導を
まだ暑い日が続き秋祭りなどの行事も多いので、ビールなどの酒量が増えやすい時期です。
アルコールの分解には一定の時間がかかりますので、前夜の飲酒が翌朝に残りやすいことを意識して、運転者には繰り返し酒気残りの危険を指導しましょう。
翌朝に運転業務がある場合、アルコールの量を減らすことや早めに飲酒を切り上げることを徹底させてください。とくに多量飲酒の習慣のある運転者は要注意です。
酒気帯び運転は「もうお酒は覚めていて大丈夫だと思った」という理由で起こるケースが非常に多いことを周知しましょう。
※グラフは冊子「酒気残りによる飲酒運転を防ごう」(シンク出版)より
日 付 | 行 事 等 |
8月30日(火) ~5日(月) |
・防災週間──防災に関する知識を普及・啓発するとともに、防災行動へと結びつける取組みが全国各地で行われ、異常気象時における通行規制図などが自治体から配布されます。 |
1日(木)~ 30日(金) |
・「全国労働衛生週間の準備期間」──来月1日~7日に実施される全国労働衛生週間の実効を上げるため、準備を行います。 平成28年度 労働衛生週間スローガン 「健康職場 つくる まもるは みんなが主役」 ※詳しくは、中災防のホームページを参照してください。 |
1日(木)~ 30日(金) |
・「自賠責制度広報啓発運動」──国土交通省などが主唱。自賠責保険・共済の重要性について積極的にPRします。特にバイクユーザーが無保険で走行しないように注意喚起をしましょう。 |
1日(木)~ 10月31日 |
・自動車点検整備推進運動強化月間 ──9月~10月の2か月間、国土交通省が点検・整備の重要性を呼びかけています。 |
1日(木) |
・防災の日──関東大震災(1923年)を教訓とし、防災意識を高めるために1960年(昭和35年)に制定されました。 |
2日(金)~ 11月 |
・過重労働解消のためのセミナー(厚生労働省委託事業)──長時間労働削減対策などに必要な知識やノウハウ、取り組み事例の紹介。各都道府県別に各回100名定員で開催(東京・大阪は複数回実施)。 詳しくは、過重労働解消セミナー運営事務局のWEBサイトを参照してください。 |
3日(土) |
・睡眠の日──「グ(9)ッスリー(3)」眠るからの語呂合わせです。日本人の睡眠時間は減少傾向にあり、日本睡眠学会では十分な睡眠が居眠り運転防止に不可欠と警鐘を鳴らしています。8月27日から9月10日までは睡眠健康週間(3月18日は春の睡眠の日)。 |
8日(木)~ 9日(金) |
・運輸安全マネジメントセミナー(中国運輸局) 開催場所 : 広島合同庁舎4号館 附属棟「中国運輸局海技試験場」
受付期限:9月1日(木)16:00)詳細はこちらを参照。 |
9日(金) |
・救急の日(平成28年の救急医療週間は4日~10日) |
10日(土) |
・世界自殺予防デー──10日から16日までは自殺予防週間。悩みを抱えた人がいないかに気づき、援助が受けられるよう努力しましょう。労働時間の長すぎることがないように配慮することも大切です。日本は年間1万人以上の自殺者がいる世界上位10か国に入り、平成27年中には24,025人の人が自殺で亡くなっています。 |
12日(月)~ |
・運輸安全マネジメントセミナー(四国運輸局) 開催場所 : 徳島運輸支局 応神町庁舎会議室 受付期限:8月26日(金)16:00)詳細はこちらを参照。 |
13日(火) |
・9月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等についての情報提供・注意喚起を行っています。 |
15日(木) |
・中秋の名月──旧暦8月15日 |
19日(月) |
・敬老の日 |
20日(火) |
・バスの日──1903年(明治36年)のこの日、京都市で日本で初めてバス会社が本格的な乗合自動車の営業を開始したことに由来します。日本バス協会が「バスフェスタ」を開催します。 |
21日(水)~ 30日(金) |
・秋の全国交通安全運動──交通安全運動の推進要綱については内閣府のWEBサイトを参照してください。 |
22日(木) |
・秋分の日 |
22日(木) |
・日本交通医学工学研究会 第25回学術総会 メインテーマ:2025年の社会と車 会場:名古屋大学(東山キャンパス 野依記念学術交流館) ──職業運転者の健康管理と支援 などのシンポジウムもあり 詳しくは、同研究会のWEBサイトを参照してください。 |
25日(日) |
・第31回全国フォークリフト運転競技大会 会場:埼玉県トラック総合教育センター(埼玉県深谷市黒田) |
28日(水) |
・自動車事故防止セミナー2016(中部運輸局) 開催場所 : ウインクあいち(愛知県産業労働センター)2階 受付期限:8月31日(水)詳細はこちらを参照 |
30日(金) |
・交通事故死ゼロを目指す日 |
30日(金) |
・クレーンの日──クレーン協会等がクレーン等の安全規則を公布したことを記念して、昭和55年に制定されました。
※クレーン協会の平成28年度『クレーンの日』スローガンは 「はっきり合図 しっかり確認 ルール守って クレーン安全」 詳しくは、同協会のホームページを参照して下さい。 ※また、ボイラ・クレーン安全協会も独自標語を制定しています。 「安全な クレーン操作で 未来をつくる」 詳しくは、同安全協会のホームページを参照して下さい。 |
~9月30日
|
夏の省エネキャンペーン──エネルギー消費の大きなピークの季節を迎え、6月から省エネキャンペーンが行われています。 |
9月上旬 |
「自動車点検整備推進運動(9~10月実施)」の広報 |
9月中旬 |
・平成28年8月末における交通事故発生状況の公表(警察庁) |
9月中旬~ 12月中旬 |
・荷主等の事業場の担当者への安全衛生教育講習会 |
~9月30日 |
・平成29年使用 交通安全年間スローガン 募集締め切り |
◆9月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(木) | 福岡 18:44 | 大阪 18:25 | 東京 18:08 |
15日(木) |
福岡 18:25 | 大阪 18:05 | 東京 17:48 |
30日(金) | 福岡 18:04 |
大阪 17:44 |
東京 17:26 |
「早めにつけよう おもいやりライト」
運動に取り組みましょう!
9月になると日没は日に日に早まり、関東では5時台には点灯を。九州でも9月末は6時に日没ですから、点灯を早めましょう!
早めに点灯する配慮が交通事故を減らすことに結びつきます。遅くても日没の30分前にはぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどを警戒して運転してください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する動きが出ています。
※詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開し、JAFインターネットWEBサイトでライト点灯に関して様々な情報提供をしています。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください