2月は、全国的に寒気の影響で雪道・凍結路のスリップ事故が多発する時期です。
北海道・東北、北陸など降雪の多い地域はもちろん、雪の少ない地域でも、朝晩の凍結には十分に注意して、スリップや雪道でのスタックによる立ち往生事故を防ぎましょう。
気象情報、運行経路情報の収集を綿密にして、運転者への連絡もマメに行ってください。
健康管理面では生活習慣病予防に配慮しましょう。また、花粉症などもそろそろ予防治療に配慮すべき時期となっています。
雪道・凍結道の事故を防ごう
2月は朝晩の気温が急激に下がり、雪が降った後は凍結の危険があります。
うっすら霜がおりたような場合でも凍結しやすい場所がありますので、路面温度が下がりやすい橋や高架道路の上、日中も日陰になりやすい場所などでは、とくに注意しましょう。
また、トンネルの出入り口付近も凍結してすべりやすいポイントです。
最近は出口付近の路面を温める装備が設置されたトンネルもありますが、全てのトンネルに設置されているわけではありませんので、油断しないでください。
■スタッドレスタイヤでもスリップする
スタッドレスタイヤなど冬用タイヤを装着していても、ツルツルの圧雪アイスバーン状態で、急に強いブレーキを踏むとスリップすることがあります。
雪道では、摩擦係数にあったブレーキ力で制動をかける必要があります。
乾いたアスファルト路面の摩擦係数が0.8μだとすると、アイスバーン状態では0.1~0.2μですから、4分の1から8分の1以下のブレーキ力でしか、ブレーキは踏めません。
強い力でブレーキを踏んでも滑るだけです。
スタッドレスタイヤなど冬用タイヤは凍った路面や雪面とのグリップをある程度維持できますが、強い制動力は期待できないのです。
■立ち往生事故の半数は冬用タイヤ装着
国土交通省の調査によると、2015年度(平成27年度)に雪道で発生した自動車立ち往生事故のうち、冬用タイヤをつけていてもチェーン未装着のために起こったケースが全体の約半数に上ることがわかりました。
調査対象は、トラック・バスなど大型車を中心とした547台です。タイヤの種類が判明した399台のなかで、300台はスタッドレスなど冬用タイヤを装着していましたが、そのうち270台はチェーン未装着でした。
また、300台のうち79%はチェーンを持たず、10%は持っていても未装着でした。
雪にスタックしたなどして立ち往生した場所は、坂の勾配が5%以上の道が目立ち、全体の半数以上を占めています。
勾配のきつい坂道を走行する場合は、冬用タイヤを過信しないで念のためチェーンを搭載するように心がけましょう。
冬型事故防止に向け情報を共有しよう
■運転者との連絡を密にして事故を防ごう
急な降雪のため、道路が危険な状況にあると感じたとき、すぐ運転者に伝えていますか?
あの時、一言でも声をかけておけばよかったと後で後悔することがないように、気になる情報は朝礼や点呼、中間の連絡時などの機会をとらえて、こまめに伝えることが大切です。
また、事故事例などを通じて、具体的な危険状況を数多く知らせておくことが重要です。
スリップ事故では最近、下のような事例が発生しています。
■滑りやすい場所の情報を与えよう
ゲリラ雪の降雪予報や道路状況の変化などが生じたとき、自社のドライバーに対して「ライン」などのアプリを通じて直接スマートフォンに連絡する管理者が増えています。
メールを送るより、複数のドライバーと同時に情報交換ができるので便利な点と、インターネットからダウンロードした雪道画像なども添付できるからです。
また、国土交通省は各地の国道事務所と連携して、ツイッターによる道路情報の提供を行っています。
関係する地域の道路事務所のツイッターページをフォローしていると、急な降雪による危険箇所の発生などをリアルタイムで知ることができます。
また、Yahoo地図などインターネット上の地図では豪雪や災害による大規模な交通規制が発生した場合、通行止め或いは通行実績情報を更新するサービスを一時的に実施しますので、それらの情報にも目を配っておきましょう。 Yahoo地図はこちらを参照。
これらの最新情報を活用して、ドライバーに冬道の危険を伝えましょう。
一無・二少・三多を守って健康維持
■生活習慣病を予防しよう
毎年2月は生活習慣病予防月間です。生活習慣を見直して、健康維持に役立てましょう。
日本生活習慣病予防協会が提唱する健康習慣のキーワードに「一無・二少・三多」というものがあります。
・「一無」は無煙・禁煙の勧めを指しています。タバコによって身体に運び込まれるニコチン、タール、一酸化炭素の「三悪」を防ぎましょう。
・「二少」は、少食・少酒の勧めです。
「腹八分目に医者いらず」と言われるように、暴飲暴食を控えることで、糖尿病、脂質異常症、高血圧の予防をしましょう。
・「三多」は、多動・多休・多接の勧めです。
これは、体を多く動かし(多動)、しっかり休養をとる(多休)、多くの人、事、物に接する生活(多接)をすることを指しています。
新陳代謝を促進し、心身の健康を維持することを示しています。
しかし、運転は孤独でストレスの多い業務であり、時間も不規則です。
喫煙で気を紛らわし、少ない休憩時間の中で多食し、あまり親しい人に会えず、運動不足に陥ることが多いので、どれもなかなか実践できないかもしれませんが、このキーワードを常に頭に置き、意識して生活習慣を改善するように努めましょう。
■バック事故防止の指導を実施しましょう
新年度に向けて、新入社員向けの安全運転指導の準備をしておきましょう。
最近の若い新入社員は車の運転経験が浅く、とくにバックが苦手な運転者が少なくありません。
バックでは、後方不確認による後方衝突だけでなく、左後側方や右後側方の不確認による接触、前方の確認ミスもあり、どの段階で停止して確認をすればよいのか理解していない人が多いのです。
そこで、バック事故防止を中心とした実技指導についても、準備しておくことが重要です。
■車の登録、検査事務は早めに準備しよう
年度末に向けて、社有車の検査、新車登録事務が必要かどうか2月中に調査し、手配・実施しておきましょう。
翌3月は例年、運輸支局の検査・登録窓口が混雑を極めて非常に時間がかかります。とくに3月末日は金曜日なので車検事務は避けましょう。
検査予約はインターネットでも可能です。
■花粉症対策に着手しよう
2017年春のスギ花粉の飛散開始は、例年並みで、2月上旬に九州北部や中国・四国・東海地方の一部から花粉シーズンが始まる見込みです。日本気象協会によると、前シーズンに比べて九州・四国・近畿地方で非常に多く、中国・東海地方で多く飛散する見込みです。
北陸地方はやや多く関東地方ではやや少なく、東北地方と北海道では少ない見込みです。
花粉症治療は早めの予防対策により重症化を防ぐことができますので、花粉症の人は2月から予防治療を始めるように促しましょう。
また、2月上旬から花粉の飛散予報なども始まります。飛散情報をよく見てマスクや鼻炎予防グッズなどの使用をすすめましょう。
点呼を確実に実施して指導を徹底しよう
■中間点呼、乗務途中点呼も抜けがないよう徹底
自動車運送事業者に対する監査・処分方針が強化されて以来、監査時にはとくに点呼の実施内容が厳しくみられる傾向にあります。
近畿運輸局が2016年7月に発表した、「自動車運送事業者に対する監査と処分結果」によると、行政処分の理由になった違反(3,042件)中のトップは点呼未実施等の593件、ついで乗務記録の298件、健康管理290件、乗務時間等267件などが目立っています。
48時間以上の乗務をするトラックの中間点呼、夜間に運行する貸切バスの乗務途中点呼なども確実に実施し、点呼の記録を残しましょう。
■安全自主点検の結果を報告しましょう
2016年12月10日から今年1月10日まで、年末年始の輸送等に関する安全総点検を実施したと思います。
国土交通省では総点検実施状況の把握のため、トラック・バス・タクシーなど業態別に自主点検表(国交省のホームページからダウンロード)でチェックし、所管運輸支局の安全総点検自動車運送事業者等担当宛に提出を求めています。
社内的な課題を明らかにするためにも、点検結果を総括しておくことは重要です。
自主点検を実施した事業所は、早めに管轄の運輸支局まで、自主点検表を送付しましょう。
詳しくは同省のWEBサイトを参照してください。
■2月は、大型自動車等の
車輪脱落事故の発生ピーク!
国土交通省では、大型自動車等ユーザーへの日常点検整備と「一定走行後のボルト・ナット増し締め」の再徹底を呼びかけています。
同省が、平成14年度から平成27年度までの14年間の発生月別車輪脱落事故件数を調べたところ、2月の発生件数が79件と最多だったことがわかりました。
2月は冬用タイヤ交換後の初期に出やすい緩みが発生するタイミングとなっているのではないかと分析しています。
詳しくは、同省のWEBサイトを参照。
日 付 | 行 事 等 |
1日(水) ~28日(火) |
・省エネルギー月間──政府は、暖房や給湯で電気や石油などのエネルギー消費量が増える2月を「省エネルギー月間」と定め、省エネルギーの推進を呼びかけています。 |
1日(水) ~28日(火) |
・全国生活習慣病予防月間──日本生活習慣病予防協会が制定。過去に2月第1週を政府が「生活習慣病予防週間」と定めていましたが平成20年に廃止したことから、同協会が活動継承を目指して月間を制定し、広く啓発活動を行っています。 |
1日(水) ~ 15日(水) |
・平成29年度「全国安全週間 スローガン募集」 ──募集期限平成29年2月15日(厚生労働省労働基準局安全衛生部) |
2日(木) |
・バスガールの日──1920(大正9)年、東京市街自動車の乗合バスに初めてバスガール(女車掌)が登場しました。初任給35円、当時としては破格の高給で話題になりました。 |
2日(木) |
・自動車事故防止セミナー(東北運輸局)──事業用自動車の事故防止を目指した事業者向けセミナー。健康起因事故防止に向けて行う優先すべき対策、等 於::仙台サンプラザ(仙台市宮城野区榴岡5丁目11-1) 13:00~16:30(無料) 申込締切 1月19日 |
2日(木) |
・交番設置記念日──1881(明治14)年のこの日、1つの警察署管内に7つの交番を設置することが定められまし た。その後、全国で「派出所」「駐在所」という名称に統一されましたが、「交番」という呼び名が定着し、国際的にもKOBANとして通用する言葉になって いることから、1994(平成6)年11月1日に「交番」を正式名称とすることになりました。 |
3日(金) |
・節分/のり巻きの日 |
4日(土) |
・立春 |
5日(日) |
・笑顔の日──2(二)と5(コ)の語呂合わせで、いつもニコニコと笑顔になっていようという日。 |
9日(木) |
・風の日──「ふ(2)く(9)」(吹く)の語呂合せから。春一番など強い南風が観測され始める季節です。 |
11日(土) |
・建国記念の日 |
12日(日) | ・初午──2月最初の午 (うま)の日。伏見稲荷大社をはじめ全国の稲荷神社で初午の日には盛大な「初午大祭」(豊穣祈願)が行われます。 |
14日(火) |
・2月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について、情報提供・注意喚起を行っています。 |
14日(火) |
・聖バレンタインデー |
17日(金)
~23日(木) |
・アレルギー週間──(財)日本アレルギー協会がアレルギーの日をはさむ1週間、東京での中央講演会をはじめ、全国の支部で一般市民を対象に様々な啓蒙的催しを開催しています。 |
18日(土) |
・雨水 |
20日(月) | ・アレルギーの日──1995年のこの日、石坂公成・照子医師夫妻がIgE抗体を発見し、米国アレルギー学会で発表したのを記念して日本アレルギー協会が制定しました。 |
20日(月)~ 21日(火) |
・運輸安全マネジメントセミナー(関東運輸局) 於:同運輸局横浜第二合同庁舎1階 詳しくは、同運輸局のWEBサイトを参照してください。 |
21日(火) |
・プロドライバーの健康管理・労務管理の向上による事故防止セミナー 国土交通省主催/参加費無料/先着200名まで 日時/13:00~16:00 於/TKP 新橋カンファレンスセンターホール 詳しくは、同省のWEBサイトを参照してください。 |
21日(火)~ 24日(金) |
・2017 産業安全対策シンポジウム(第39回) (主催・日本能率協会など 於:東京都港区三田NNホール) ・21日「事故調査解析委員会の活動及び成果」ほか ・22日「リスクアセスメント・リスクマネジメント」ほか ・23日「ヒューマンファクター再考」ほか ・24日「人材の「質の変化」と課題~「新たな視点の育成」を考える」等 詳しくはシンポジウムのWEBサイトを参照してください。 |
22日(水) |
・自動車安全セミナー(中国運輸局)──事業用自動車の事故防止を目指した事業者向けセミナー、「乗務員教育への取り組み」等。 於:RCC文化センター(広島市中区橋本町5-11) 時:13:00~16:30(無料) 申込締切 2月10日 TEL:082-228-9142・9144 |
23日(木)~ 24日(金) |
・安全運転のための危険予知活動実践セミナー──中央労働災害防止協会が実施する、交通安全のKYTセミナー。 於:安全衛生総合会館(東京都港区芝5-35-2) |
25日(土) |
・梅田繁華街車暴走事故から1年──2016年2月25日、大阪・梅田の繁華街で乗用車が暴走し歩行者10人が死傷する事故が発生しました。車を運転して死亡した会社経営者(51)は、直前に大動脈解離を発症したことが判明。職業運転者に限らず、高血圧の既往がある働きざかりの運転者の健康管理の重要性が、改めて話題となりました。 |
2月上旬 | ・平成28年中の労働災害の動向について(厚生労働省) |
2月上旬~4月末 |
・平成29年度の「安全衛生標語」募集──陸上貨物運送事業労働災害防止協会。「荷役」「交通」「健康」3部門で募集し、11月開催の全国大会で顕彰。詳しくは、同協会のWEBサイトを参照。 |
2月下旬~3月 | ・平成28年中の交通事故発生状況(警察庁) |
2月下旬 |
・平成28年賃金構造基本統計調査結果=賃金センサスの発表 (厚生労働省) |
◆2月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(水) | 福岡 17:50 |
大阪 17:27 |
東京 17:08 |
15日(水) |
福岡 18:03 | 大阪 17:41 | 東京 17:23 |
28日(火) | 福岡 18:14 |
大阪 17:53 |
東京 17:35 |
早めに点灯する配慮が交通事故を減らすことに結びつきます。遅くても日没の30分前にはぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどを警戒して運転してください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください