4月の運転管理──2017年(平成29年)

■春の全国交通安全運動に参加しよう


 4月は新年度・新学期を迎え、子供・大人を含めて街頭での活動が活発になります。

 

 新入園・新入学児童などの安全に配慮し、6日から実施される春の全国交通安全運動には積極的に参加し、この機会に運転者の安全運転意識を高めてください。

 

 また新入社員に対する交通安全教育にも取り組みましょう。とくに、最近事故が多発して問題になっているスマートフォンやタブレット端末を運転中に注視することの危険性については、厳しく指導しておきましょう。

 

 事業用自動車では、法令改正に伴い新しい指導・監督指針に沿った教育をスタートする時期です。実車指導を含め、よりレベルアップした安全運転指導に取り組んでください。 

4月の安全運転目標 

子どもと高齢者の

事故を防ごう

運転実態をとらえて

安全指導に取り組もう

早朝の高血圧に

気をつけよう


  

4月の安全運転目標/運転者の皆さんへ

子どもと高齢者の事故を防ごう

内閣府作成の運動ポスター
内閣府作成の運動ポスター

高齢者の運転する車に配慮しよう

 いよいよ新年度です。

 さて、今年も、春の全国交通安全運動が4月6日から15日までの10日間実施されます。

 皆さんもこの機会に交通安全運動の意味するところを真剣にとらえて、安全意識を高めて運転しましょう。

 

 今年の運動の基本は「子供と高齢者の交通事故防止~事故にあわない、おこさない~」となっています。

 高齢運転者による重大交通事故の発生などを受けて、被害者としてだけでなく、加害者としても高齢者対策が重要であることを示しています。

 

 高齢運転者の車が、少し低速で運転していたり狭い場所での切り返しで時間がかかっているからといって、車間距離を詰めて急かしたりクラクションなどを鳴らすのは控えましょう。

 慌てた高齢運転者が、ペダルの踏み間違えを起こす危険性もあります。

 

 高齢者も車による移動が重要な時代です。その運転に配慮し、温かい気持ちで見守ってください。

 

■子どもはとくに小学生低学年に配慮

 子どもの事故防止でとくに気をつけたいのは小学校低学年の児童です。

 交通事故総合分析センターのデータによると、小学生のなかでも7歳児がいちばん事故にあっていることがわかりました(※)。

 

 平成23年から平成27年までの歩行中の死傷者を年齢別に見たところ、どの年も7歳児が飛びぬけて多いのです。例えば、平成27年の7歳児の死傷者数は1,462人である一方、20歳から60歳までは年齢別で約600人前後で推移しています。7歳児は成人よりも約 2.5倍も人身被害の多いことがわかります。

 

 さらに、7歳児の交通事故は約73%が日中に発生し、薄暮時を加えると約93%になります。また、平日の死傷者数は土曜日の約2倍、日曜日の約 2.5倍といった特徴がみられます。

 

 小学校に入学したての子どもは交通社会に十分に適応できていないまま、登下校時などに事故にあっているようです。ある程度交通安全教育などを受けて学習していくと安全度が高まりますので、とくにこの時期の新入学児童に注意してください。

 

 イタルダ・インフォメーション No.116より

  

4月の重点管理目標/管理者の皆さんへ

運転実態をとらえて安全指導に取り組もう

交通事故分析ソフト

添乗指導によるチェック

 新入社員の安全運転指導については、社内ルールを理解させるなど座学による全体指導も大切ですが、実際の運転能力をチェックしておくことが大切です。

 

 ある医薬品メーカーの営業部では、先輩が添乗指導に取り組むことで効果を上げています。

 チェックポイントは

 ・交差点での停止、徐行、安全確認

 ・進路変更時の合図、安全確認

 ・道路外施設から歩道を横切るときの安全確認

 ・自転車への対処方法

 ・駐車場での安全確認の方法 などです。

 

 たとえば、見通しの悪い交差点ではカーブミラーを見ることは「常識」であると管理者もベテラン運転者も考えていると思います。しかし、実際に大卒の社員に運転させて同乗してみると、全く確認しない若者がいて驚くそうです。ミラーの存在を全く意識していないのです。

 添乗指導に時間を割くのは大変でしょうが、新人へのルート案内などの折に、先輩がこうした運転の基本もチェックするような仕組みを考えてみてください。

 

交通事故分析ソフト

安全運動の機会に交差点などでチェック

 春の全国交通安全運動の機会には、交差点での安全立哨活動や、シートベルト着用などを促す街頭での啓蒙活動が行われます。

 

 安全運転管理者や運行管理者もこうした活動に参加したり自社独自のキャンペーン活動を展開するとともに、自社の社員がどのような運転をしているのか、公道上でチェックしておきましょう。

 

 運転者のなかには、携帯電話をかけながら交差点を曲がったり、駐停車禁止場所で停車しているといった行動が目撃されることもあります。

 

 運転マナーや問題行動を指導するうえでも、実際に管理者自身の目で確かめておくことが重要です。

  

4月の健康管理目標/従業員の皆さんへ

早朝の高血圧に気をつけよう

■花冷えの朝晩は血圧上昇に注意しよう

 春の訪れとともに気温もどんどん高くなっています。

 しかし、花冷えといった言葉もあるように、夕方から早朝にかけては、まだ気温がかなり下がることもあります。

 

 こうした時期、寒暖の差が激しいので、血圧の高い方は、注意してください。

 気温が急に下がると、血圧が上がりやすいからです。

 

 とくに気をつけたいのは早朝に高血圧になりやすい体質の方です。気温の変化で血圧が上がりやすい方は「気温感受性高血圧」と呼ばれ、冷えた朝は注意が必要です。

 

 また早朝高血圧は生活習慣とも関係が深く、以下の要因が血圧を高くする素因として知られています。

 

 ●睡眠不足

 ●質の悪い睡眠(車中の睡眠など)

 ●過度な飲酒/喫煙

 ●ストレス

 

 長距離トラックやバス運転者の方は、仕事柄、とくに血圧を高くする要因が多くみられ、早朝高血圧に見舞われやすいと思われますので、注意してください。

 血圧管理に重要な「良質な睡眠時間」をなるべく確保するように努めましょう。

■動脈硬化を防ぐ生活習慣を

 血圧の異常は血管にも影響を与え、上にかかげた要因は、すべて動脈硬化に結びつきやすい原因でもあります。

 ですから、よい睡眠をとって飲酒量や喫煙量を減らすことが動脈硬化を防ぐ意味でも大切です。

 

 また、食事面では塩分や糖分を取りすぎないこと。運動不足を解消し、なるべく週1~2日は1時間程度の汗ばむ運動をして、肥満などを防いでください。

 

 さらにストレスの高い環境が続くと、交感神経・副交感神経のバランスが崩れ、とくに心拍数が増大して血流量が必要以上に増えて血圧が高くなり血管にも悪影響を与えます。

 

 仕事のストレスを解消する習慣をつけることも大切です。

  

その他の管理・指導項目

ポケモンGO事故で実刑判決

■ながら運転の死亡事故は厳罰と指導しよう

 

 先月も紹介しましたが、ポケモンGOなどの携帯アプリを運転中に使用する危険性について、繰り返し指導しておきましょう。

 

 わき見運転により、死亡事故の確率が高くなることはもちろん、事故が起こった場合の刑罰に実刑判決が下される例がみられます。

 

 交通死亡事故が発生しても、運転者が初犯で過失事故の場合は執行猶予となるのが一般的ですが、最近のスマートフォン注視による事故等に対しては、実刑判決を下すケースが増えています。

 

 弁護側からは他の過失事故に比べて量刑が厳しすぎるという意見もありますが、運転中のスマホ使用は単なる過失ではすまないという認識があり、事故抑止のために厳罰を求める求刑が多いのです。

 これを踏まえて、事業所でも運転者への指導を強化し、道路に慣れない新入社員に対しては運転中に道案内ソフトを使ってスマホなどを注視しないように、出発前に十分な経路確認をすることを指摘しましょう。

■こんな判決が下されています

 

★ポケモンに夢中で2人死傷──禁錮1年2月

 平成28年10月31日、徳島地裁は運転中にスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」をしていて女性2人をはね死傷させたとして、自動車運転処罰法違反の罪に問われた徳島市の男性(39)に、禁錮1年2月(求刑1年8月)の実刑判決を言い渡しました。

 

★スマホにわき見中の死亡事故──禁錮9月

 平成28年12月22日、岐阜地裁多治見支部は、運転中にスマートフォンに気を取られ20歳の女性をはねて死なせたとして、 元看護師の女性(32)に対して禁錮9月(求刑・禁錮1年)の実刑判決を言い渡しました。

 

★スマホアプリにふけって小学生死亡──禁錮3年

 平成29年3月8日、名古屋地裁一宮支部は、「ポケモンGO」を操作しながらトラックを運転し、小学4年の男の子をはねて死なせたとして、過失致死罪に問われた運転者(36)に禁錮3年(求刑禁錮4年)の実刑判決を言い渡しました。

 判決文で、裁判長は「運転に全く必要のないゲームをして、最も基本的な前方注意義務を怠り、過失は非常に悪質」と強調しています。 

  

事業用自動車の運行管理者のみなさんへ

貸切バス事業の更新制度がスタートします

 平成28年12月9日に公布された改正道路運送法に基づき、貸切バス事業許可の更新制が平成29年4月1日より施行されます。

 更新手続きについての必要な事項を定める省令・通達なども2月28日に改正され、国土交通省のWEBサイトで公表されました。

 

 平成28年1月15日に発生した軽井沢スキーバス事故を踏まえ、貸切バス会社が実際に安全運行できるのかどうかがチェックされます。

 運行管理者としても、安全指導対策、車両整備計画などでしっかりした資料を提出できるようにしておきましょう。

 

 既存事業者であっても、安全確保についての投資計画などが要件を満たしていないと判断されると事業許可が更新されないので、注意が必要です。

 

ドライバーへの指導・監督を徹底しよう

貨物自動車運転者に対する指導及び監督の指針
実車を使った研修を義務づけ

■新しい指針に沿った教育計画を練ろう

 トラック・バス・タクシー運転者に対する指導及び監督の指針が平成28年度に改正されました。

 バス・タクシーは平成28年12月から、トラックは今年3月から新しい指針に基づく指導・監督の内容となっています。

 

 バス事業者に対しては、昨年発生した軽井沢スキーバス事故が大きな契機となり、指導及び監督の指針が改正・強化されました。

 また、トラック事業者についても3月12日から「準中型免許」が導入されたことに伴い運転者への指導・監督の指針が改正されました。

 

  現場では、4月から教育計画を刷新していく事業所が多いと思いますが、とくに実車を使用した指導や運転同乗指導の充実が求められていますので、社外教育も含めて検討してください。

 

 ■トラック事業者への資料入手サイト

  → 国土交通省     ドライバー指導実施マニュアル

  → シンク出版株式会社 運行管理者のためのドライバー教育ツール

 

 ■バス・タクシー事業者への資料入手サイト

  → 国土交通省     ドライバー指導実施マニュアル 

 


  

4月の安全運転管理ごよみ──平成29年(2017年)

日  付 行 事 等

 1日(土)

 

改正道路運送法の施行──貸切バス事業の許可が更新制となります。既存の事業者を含めて、5年に1回将来に渡って安全な事業遂行ができるか国土交通省に審査されます。

 1日(土)~

・7t以上車へのタコグラフ装着全面義務づけ──使用過程車に経過措置が設けられていた、事業用トラック(車両総重量7t以上、最大積載量4t以上)への運行記録計(タコグラフ)装着が、4月から義務づけられます。機器の装着がなく、運行記録の記録違反があった場合は、30日間の車両使用停止処分が科せられます。

 1日(土)~ 

 30日(

・未成年者飲酒防止強調月間(厚生労働省)──未成年者の飲酒防止を徹底するため、毎年4月にはポスターや各種媒体を通じて集中的に広報が行われます。飲酒運転に関連した資料も配布されます。

(詳しくは国税庁のwebサイトを参照)

 6日(木)~ 

 15日(土)

・春の全国交通安全運動──運動の基本は、「子供と高齢者の交通事故防止~事故にあわない、おこさない~」。詳しくは内閣府のWEBサイトを参照してください。

 7日(金) ・世界保健デー──世界保健機関(WHO)の設立記念日。世界各国で健康的な生活について考えてもらうためのさまざまなイベントが開催されます。
 8日(土)

タイヤの日──日本自動車タイヤ協会が制定。ドライバーにタイヤへの関心を高め、空気圧のチェックなどの啓蒙推進活動を行なっています(タイヤ協会のwebサイトを参照)。

 8日(土)~

 9日(

交通安全。アクション2017 新宿──日本自動車会議所の主催。

 於:東京・新宿区西口広場。

 高齢者や家族を対象に体験を通じて交通社会のルールや安全行動の大切さを啓発します。同会議所のwebサイトを参照)。

 10日(月)~

 6月14日 

・平成29年度 運行管理者試験おまかせ申請開始

 ──おまかせ申請は有償/試験日は平成29年8月27日(日) 

 10日(月)

・交通事故死ゼロを目指す日

 10日(月)

法テラスの日(日本司法支援センター)──同センターの設立日を記念して、各地の法テラスでは、この日を中心に弁護士・司法書士などによる無料法律相談会が開催されます。
 11日(火) ・4月の製品安全点検日

 経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。

 12日(水)

・祇園暴走事故から5年──2012年4月12日京都市祇園で、運転者が発作によりコントロールを失い軽ワゴン車が歩行者らをはねて運転者を含む7人が死亡、12人が重軽傷を負いました。健康起因事故として、道路交通法改正の一つのきっかけとなりました。

 14日(金)

・国際交通安全学会──研究調査報告会および学会賞贈呈式 

 於:経団連ホール

 17日(月)~

 23日(

・第58回科学技術週間──毎年4月18日の「発明の日」を含む1週間は「科学技術週間」と定められています。

 18日(火)

鹿沼クレーン車6人死亡事故から6年──2011年4月18日、栃木県鹿沼市樅山町で「てんかん患者」の男性がクレーン車を運転中、てんかん発作が原因で意識を失い、集団登校中だった児童の列に突っ込み6人がはねられ全員が死亡しました。

 20日(木)

・穀雨──24節気の一つ。田畑の準備が整う頃、それに合わせて穀物の成長を助ける春雨の降る時期とされています。

 23日(

亀岡児童交通死事故から5年──2012年4月23日、京都府亀岡市篠町で小学校へ登校中の児童と引率の保護者の列に無免許運転の軽自動車が突っ込み、計10人がはねられて3人が死亡、7人が重軽傷を負う事故が発生しました。遺族の怒りは大きく、無免許運転事故への罰則強化を図る一つのきっかけとなりました。

 28日(金)

労働安全衛生世界デーまたは国際労働災害犠牲者追悼日──「仕事における安全と健康のための世界の日」です。労災の犠牲者を追悼し再発防止を図る国際な記念日として、2002年に国際労働機関(ILO)が国連の国際デーの一つと認定しています。

 28日(金)

洗車の日──自動車用品小売業協会は4月28日を「洗車の日」に制定し、前後にイベント等で洗車を呼びかけています。 

 4と28で「ヨイツヤ(良い艶)」と読む語呂合わせです。

 29日(

・関越道の高速バス居眠り運転事故から5年──2012年4月29日に群馬県の関越自動車道上り線藤岡ジャンクション付近でツアーバスが防音壁に衝突し、乗客7人が死亡、乗客乗員39人が重軽傷を負う事故が発生しました。この事故を契機に、ツアー貸切バス・高速バスの安全対策が強化され「高速乗合バス」に一本化されました。

 29日(

・昭和の日

   

 3月上旬~

 4月28日

第33回「安全衛生標語」の募集──中央労働災害防止協会。標語の種類は、平成29年度 年末年始無災害運動標語、平成30年の年間標語──締切りは4月28日(金)詳細は、同協会のWEBサイトを参照。
 ~4月30日  ・平成29年度の「安全衛生標語」募集──陸上貨物運送事業労働災害防止協会。「荷役」「交通」「健康」3部門で募集し、11月開催の全国大会で顕彰。詳しくは、同協会のWEBサイトを参照。
 4月下旬

平成29年3月中の交通事故死者統計の発表警察庁

 

 ◆4月の日没時間国立天文台天文情報センターによる)

 1日(土) 福岡 18:39

大阪 18:19

東京 18:03

 15日(土)

福岡 18:49 大阪 18:30 東京 18:14
 30日( 福岡 19:01

大阪 18:42

東京 18:27
「早めにつけよう おもいやりライト
 運動に取り組みましょう!

 4月は日が長くなってきますが、子どもやお年寄りなど歩行者・自転車の活動が活発になります。夕方は早めにライトを点灯して相手に注意を促しましょう。子どもの事故は昼間の遅い時間帯に多く、高齢者の歩行者・自転車事故も夕刻に多発していますので、点灯は重要なリスク回避になることを意識してください。

 早めに点灯するあなたの配慮が交通事故を減らすことに結びつきます。遅くても日没の30分前にはぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどを警戒して運転してください。

 
 「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。


 詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください
 

 また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
 JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。

 ※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください

 
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今日の朝礼話題

12月23日(月)

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