貸切バスの監査と処分結果を公表

■国土交通省が新処分基準(平成28年12月改正)を適用

 国土交通省は、2016年12月に貸切バス事業者への行政処分基準を厳しくする通達改正を行ってから今年4月14日までに146社の貸切バス事業者に対し、臨店による監査を実施し、このたびその結果を発表しました。

 

 今回の監査では、2つの営業所で「全車両の使用停止」という厳しい処分を実施したほか、49営業所で保有する車両数全体の8割を使用停止とする処分を行っています。

■146事業者を臨店監査、その場で「輸送の安全確保命令」発動

 全車両の使用停止が行われたのは次の2件です。

  • 日益商事貝塚営業所(大阪府/平成29年3月2日処分)
  • インター観光愛知営業所(愛知県/平成29年3月30日処分)

 

 監査の結果、運行管理者が選任されておらず、運行管理が行われてない状態でバスを運行させていたことが確認されました。

 

 このため、新たな処分基準に沿って、その場で直ちに輸送の安全確保命令が発動され、運行管理者が選任されるまでの間、営業所全てのバスの運行を停止したものです。

 

 なお、使用停止処分を受けた事業者は、再度の確認特別監査で処分理由が是正されない場合は事業許可が取り消されます

■乗務記録の不実記載など、複数の違反を確認

 また、保有する車両数全体の8割が使用停止処分を受けた49営業所では4件が処分実施済みで、手続き中が45件とされています。

 乗務記録の不実記載など、複数の違反を確認し、新しい基準に沿って処分が実施されました。

 

 処分実施済み営業所は、丸子観光バス・本社営業所(長野県)が180日車、星揚・本社営業所(静岡県)が60日車、荒深節造・本社営業所(岐阜県)が140日車、中川タクシー・本社営業所(愛知県)が60日車と、それぞれ使用停止となっています。

 

●処分事案の一部(国土交通省の資料より)

●新たな処分基準による使用停止車両割合のイメージ

■街頭監査も引き続き強化する方針

 同省では今後も引き続き貸切バスの監査に力を注ぐとともに、ゴールデンウィーク、夏の行楽シーズンなど多客期には街頭監査を積極的に実施する予定です。

 

 2016年12月から実施されている新しい監査方針では、街頭監査で運転者の健康状態、交代運転者の配置状況、運行指示書の作成状況などについて確認し、重大な法令違反が確認された事業者に対しては、その場で輸送の安全確保命令が発動され、改善指示を行います。

 その後、監査実施日から原則として30日以内に呼出監査を実施し、違反事項がすべて改善されたかを確認することになっています。

■バス事業者のための点呼ツールを発売

 指導用テキスト「バス事業者のための点呼ツール」は、点呼の実施方法から解説し、点呼用資料として、実際に点呼をする際に役立つ「安全指導場面」を30場面収録したバス事業者様のための教材です。

 

 言葉だけでは伝わりにくい安全運転のポイントや注意事項も、イラストがあればより具体的に危険や安全運転ポイントをイメージすることができます。

 

 また、近年改正された道路運送法や旅客自動車運送事業運輸規則等の改正ポイントもわかりやすく解説しています。

 

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バスドライバー向けの指導・監督の資料については   → こちらも参照 


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