国土交通省は、2017年6月に貸切バス事業者への監査方針に関する通達の改正を行い、重大事故を起こした事業者に対しては、年1回以上の監査を実施して継続的な監視を続けると発表しました。
国が行う貸切バスへの監査は、過去に重大な事故を引き起こした事業者や、重大な事故に結びつく法令違反が疑われる事業者に重点を置くことになり、こうした事業者は、毎年度1回以上の監査を受けることになります。
なお、それ以外の貸切バス事業者は、各ブロック毎に指定される旅客自動車運送適正化事業実施機関が行う巡回指導が中心となります。
適正化機関が事業者の法令遵守状況を確認して、国の監査が必要と判断すれば通報されます。
国と適正化機関が、車の両輪となって万全のチェック体制を講じたいとしています。
この改正も、2016年1月の軽井沢スキーバス事故を受けて取りまとめられた「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」を踏まえた措置です。
国土交通省によると、貸切バス事業者数は平成10年の2122社から、平成27年に4508社の約2倍に増加しています。国の監査がなかなか手がまわらないのも、こうした業界の拡大に体制がついていっていないからです。
今後は、国が監視対象とするべき貸切バス事業者を特定し、監査の実効を上げて改善が見られない事業者を業界から撤退させようという意図が明確になっています。
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