12月は多忙のため、急ぎの心理にかられて交通事故のリスクが高まる時期ですから注意しましょう。
また、忘年会などの機会も増え飲酒運転のリスクも高くなるので、多量飲酒の習慣のある運転者に対しては、逆に忘年会幹事などに任命して指導しておきましょう。
またスキーシーズンを迎え、観光バスに対する街頭監査など各種の施策が実施されます。
年末を無事故で乗り切り、明るいお正月を迎えてください。
急ぐ時の危険に気付こう
■多忙なときほど落ち着いて行動しよう
忙しい年末時期は、どうしても急ぎの心理に陥りがちです。
運転の際に急がなくてはという気持ちから急加速、急ブレーキや追越しの回数が増加し、事故のリスクが非常に高まります。
右の図は、スイスで実験されたものですが、先急ぎの課題を与えられたドライバーは、2日間の運転のなかで急ブレーキ回数が177回も増え、燃費も大幅に悪化したことがわかります(Cohenらによる)。
先急ぎは得にならないことを意識して、どうしても急ぐのであれば、30分早く出発するといった工夫をしましょう。
【こんな事故が起こっています!】
2017年2月6日午前8時ごろ、沖縄県豊見城市の市道で警察官の停止指示に従わず小型バイクで信号無視や一方通行の逆走を繰り返し、軽貨物車両と正面衝突した43歳の会社員が信号無視で逮捕されました。
男は、「正社員になって初出勤だったが、遅刻しそうだった」と話していて、極端な急ぎの気持ちからパニックになりバイク運転が乱暴になったようです。
これは極端な例としても、私達も顧客との約束の時刻などに遅れそうだと感じると、黄信号で通過してしまいたくなったり、遅い車を追越したくなるといった心理に陥りがちです。
急ぐ心理が悲惨な事故に結びつくことを肝に銘じておきましょう。
飲酒運転の根絶を目指そう
■多量な飲酒習慣のある運転者を警戒
12月には自治体主導の年末年始交通事故防止運動が実施されますが、どこでも重要テーマには、「飲酒運転の根絶」が入ります。
飲酒運転が重大犯罪として罰則も非常に厳しいにもかかわらず、いまだに自治体の職員や警察官でさえ、酒気帯び運転で逮捕されているという実態があるからです。
飲酒運転に陥る運転者は、日頃から多量飲酒の習慣があり、アルコール依存症または依存症予備軍の可能性のある人が多いのです。
管理者は、ときどき運転者の飲酒習慣のチェックをするなどアンテナをはっておき、特に年末の飲酒機会が多い時期には、管理・指導を強化しましょう。
【こんな事故が起こっています!】
■飲酒運転でひき逃げ
2017年11月5日午前8時50分ごろ、富山市内で砺波市財政課の職員が、酒気を帯びて追突事故を起こし、一時現場から立ち去ったため、飲酒運転とひき逃げの疑いで富山西警察署に逮捕されました。
この職員は休日のため前日の午後6時ごろから飲食店で酒を飲み、午後9時過ぎに帰宅した後、ふたたび外出して飲酒したとみられています。多量飲酒のため、翌朝の飲酒運転につながった可能性があります。
ひき逃げの嫌疑についても「気が動転していた」と認めているということです。
■酒気帯びで電柱に衝突
2017年11月4日午後4時ごろ、大阪府岸和田市内で、酒気を帯びた状態で乗用車を運転した近畿地方整備局和歌山河川国道事務所職員が、警察官に逮捕されました。
この職員は、昼過ぎから、自宅でチューハイなどを数杯飲んでいましたが、「たばこを歩いて買いに行くのが面倒だった」と車でコンビニに向かう途中、自宅から約100メートル離れた市道の電柱に衝突、駆けつけた警察官が呼気検査をすると基準値を超えるアルコールが検出されました。
血圧の管理を意識しよう
■12月は特に血圧が上昇しやすい
高血圧の人は極めて多く、日本では約4000万人が高血圧と言われています。血圧が高い状態が続くと血管や心臓に負担がかかり、動脈硬化や心臓肥大が進み、脳卒中や心筋梗塞、心不全、不整脈、動脈瘤、腎不全など、多くの循環器病の元になります。
冬場は寒さから血圧が大きく変動します。朝布団から出て、寒いトイレなどに出たときなど、急な寒さを感じると血圧が急上昇します。車の中も暖房しすぎると、寒い車外気温との落差はヒートショックになることがあります。
また、忘年会などのアルコールの飲み過ぎは翌日の日中の血圧を上げますので、飲酒量には十分な注意が必要です。
■食事・運動・ストレスの管理
高血圧の治療には、投薬も有効ですが、生活習慣の改善が欠かせません。
重要ポイントは次の3点です。
●肥満の解消──減量の降圧効果は明らかで、体重1kgあたり約1mmHgの血圧低下が期待できます。糖・脂質代謝も改善し、メタボリックシンドロームの予防や治療に効果的です。減量には食事のカロリー制限が主体となりますが、運動も重要です。
●運動による降圧──運動は減量だけでなく、それ自体筋肉や血管の若返りに結びつくよい効果があります。ウオーキングのような軽い運動を、定期的に(なるべく毎日30分以上)行うことがお勧めです。運動によって血圧は5~10mmHg低下し、糖・脂質も改善するので循環器病を防ぐことがわかっています。
●ストレスを少なく──血圧は常に変動し、精神的・身体的なストレスが加わるときに大きく上がります。普通はストレスがなくなれば血圧も元に戻りますが、持続するストレスや強いストレスは、高血圧や心血管事故に関係すると考えられています。タバコや過度な飲酒を続けることがストレスになり、長時間の運転も血圧を上げるストレスになりますので、なるべく避けることです。
血圧が正常の人も高血圧予防のために、規則正しい生活を心がけましょう。
(※この記事は、国立循環器センターのWEBサイト「血圧の話」を参照しました)
■車輪脱落事故・スペアタイヤ落下事故を防ごう
●脱落事案は冬季に多発している
国土交通省によると、大型車(トラック、バス)のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故が依然として高水準で発生しているため、車輪脱落事故防止の徹底をよびかけています。
国土交通省の調査によると、脱落事故は毎年11月から3月の冬期に多発することと、頻繁にタイヤ交換する積雪地域での発生率が多いことがわかっています。
平成28年中は、車輪脱着作業後2か月以内に発生した事故が56件中43件と全体の76.8%を占めています。
スタッドレスタイヤなどへの交換を実施した事業者では、日常点検の際、規定のトルクでの確実な締め付け、タイヤ交換後してから50~100km走行後の増し締め、日常(運行前)点検での確認、専用ボルトとナットの使用を徹底などを再チェックしましょう。
●スペアタイヤの落下防止にも注意
本年10月18日に岡山県内の中国自動車道で、軽自動車が路上に落下していた大型トラックのスペアタイヤに乗り上げて故障し、乗員2名が路肩へ避難していたところ、後続の大型トレーラーが落下タイヤへ乗り上げて横転し、避難していた2名が巻き込まれて死亡しました。
この事故を受けて、国土交通省は大型車のユーザーを中心に、スペアタイヤの緊急点検を通達しました。
スペアタイヤを固定しているチェーンの緩みや、固定金具の腐食などをチェックしましょう。
出発前にスペアタイヤを押したり、強く蹴るなどの方法で異常点検を実施している事業所が多いと思われますが、一度タイヤを巻き上げているチェーンを緩めたあと締め直して、きちんと固定されているか確認することが大切です。
締め直し点検によって、不安定な状態が見つかることも多いと言われています。
→ 詳しくは、こちらを参照してください。
【トラック運送事業の運行管理者向け】
■年末年始の輸送等に関する安全総点検
国土交通省が毎年、輸送機関に対して自主点検等を通じた安全性の向上を呼びかける総点検運動を実施しています(平成29年12月10日~平成30年1月10日)。
自動車運送事業者はもちろん、鉄道、船舶を含めた全輸送機関に対して、災害や事故、テロや伝染病の流行などに備えた自主点検等を通じて安全性の向上を呼びかけています。
とくに以下の点を重点的にチェックしましょう。
大型自動車を使用する事業所では、自主点検を実施した後、平成30年2月上旬までに管轄の運輸支局まで結果を送付しましょう。
詳しくは同省のWEBサイトを参照してください。
■トラック協会より事故防止の緊急要請
警察庁がこのほど公表した、2017年10月末現在の事業用トラックが第一当事者となる死亡事故件数統計によると、これまで減少傾向にあった事故件数が2016年1月以来21か月ぶりに前年を上回る状況にあることが判明しました。
死亡事故の車種別発生状況では大型車が122件(前年同期比2件増)と約6割を占め、中型車以下は92件(同2件増)といずれも前年を上回っています。
また11月22日には、大阪市の阪神高速道路で酒気帯び運転による事業用大型トレーラーがタクシーと衝突、タクシーの乗客1名が死亡1名が意識不明、タクシーの運転者が重傷を負うという重大事故が発生しました。
これを受けて全日本トラック協会は、会員事業所に交通事故防止への緊急要請を行い、 年末年始に向けて、一層の安全運行の徹底を呼びかけています。
詳しくは同協会のWEBサイトを参照してください。
【バス事業の運行管理者向け】
■バス事業者が行う運転者への指導・監督の内容が改正されます
2017年12月1日より、バス事業者の指導・監督指針が改訂され、貸切バス事業者が行う運転者への指導・監督の内容に「ドライブレコーダーの映像記録を活用した指導」が追加されます。
これに伴い、貸切バスの初任運転者や事故惹起運転者の特別な指導の時間は現行6時間が10時間に延長されます。
なお、2017年12月から適用される対象は新車のバスのみです。既存のバス車両については経過措置があり、2019年11月30日まで適用が猶予されています。
すでに全車両にドライブレコーダーの導入を済ませたバス事業者では、指導・監督にどんどん活用しましょう。
「ドライブレコーダーの記録を利用した指導」としては、
●一般の運転者に対する指導・監督
→ 運転特性に応じた個別指導
→ ヒヤリ・ハット体験などの自社内での共有(集団指導)
●事故惹起運転者、初任運転者に対する特別な指導・監督
→ 運転実技の時に記録し、事後指導で活用する
などとなっています。
*参考:国土交通省WEBサイト「ドライブレコーダーの映像を活用した指導・監督マニュアル」
■貸切バスの運行管理者選任数を改訂
旅客自動車運送事業運輸規則の改正により、2017年12月から貸切バスでは営業所ごとの運行管理者選任数が変更になります。
車両数にかかわらず運行管理者は最低2名以上の選任が必要となります。
さらに、改正前までは30両ごとに1名とされていた営業所の運行管理者の必要選任数は20両ごとに1名に引き上げられます。
(100両以上分に関しては30両ごとに1名)
日 付 | 行 事 等 |
11月より~ 1月10日(水) |
・第57回「正しい運転・明るい輸送運動」 全日本トラック協会主催──詳しくは、全ト協のWEBサイトを参照してください 。 |
1日(金)~ 30年4月30日 |
・平成29年度 安全衛生教育促進運動──中央労働災害防止協会(中災防)が提唱し展開する活動。年間計画を定めて、雇入れ時教育、特別教育などの義務付けを踏まえ安全衛生教育の確実な実施を促しています。 標語:「正しい知識で 職場を安全・健康に!」 |
1日(金)~ 31日(日) |
・大気汚染防止推進月間(環境省) ──12月は、自動車交通量の増加、ビルや家庭の暖房ほか気象条件などの影響により、大気汚染物質の濃度が高くなる傾向にあります。このため、環境省では、「エコドライブの実践」など、広報活動を通じて大気汚染物質の削減を呼びかけています。 (→ 詳しくは同省のWEBサイトを参照)。 |
1日(金)~ 1月31日(水) |
・陸上貨物運送事業「年末・年始労働災害防止強調運動」
──陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)の主唱する労災防止運動です(2018年1月31日まで)。 交通災害や荷役作業時における墜落・転落災害などの防止を推進します。詳しく陸災防のWEBサイトを参照してください。 |
1日(金)~ 1月15日(月) |
・平成29年度「建設業年末年始労働災害防止強調期間」 ──建設業労働災害防止協会が、災害の多い年末年始に積極的な災害防止運動を展開します。交通労災としては、現場送迎時の事故防止、路面凍結等によるスリップ事故の防止などを強調しています。 スローガン「無事故の歳末 明るい正月」 |
1日(金) |
・改正旅客自動車運送事業運輸規則を施行──貸切バス事業者の営業所における選任すべき運行管理者数の改正ほか。バス・タクシー事業者の行う指導・監督の指針についても、ドライブレコーダーの映像記録による指導などを施行。 |
1日(金) |
・運行管理者試験の申請期限──ただし1日は書類申請の期限。 インターネット申請の期限 12月12日(火) おまかせ申請の期限 12月7日(木)※おまかせ申請は別途依頼費用が必要 詳しくは、試験センターのWEBサイトを参照。 |
3日(日) | ・個人タクシーの日──東京都において40~50歳で3年間無事故無違反の優良運転手173人に個人タクシーの免許が許可された日を記念して、1959(昭和34)年に制定されました。 |
3日(日)~ 9日(土) |
・障害者週間──障害者基本法では、12月3日から9日までを「障害者週間」と定めています。障害者の自立と社会参加を実現していくためのフォーラムやセミナーなどが行われます。 |
6日(木) |
・一般社団法人交通科学研究会 平成29年度・研究発表会 日時:10:00~17:00 於:大阪市立大学梅田サテライト101教室(大阪駅前第2ビル) ※プログラム終了後、研究交流を目的とした意見交換会を企画 詳しくは、同研究会のWEBサイトを参照してください。 |
7日(木) | ・大雪 |
10日(日) | ・世界人権デー |
10日(日)~ 1月10日 |
・年末年始の輸送等に関する安全総点検(2018年1月10日まで) ──国土交通省は毎年、輸送機関に対して自主点検等を通じた安全性の向上を呼びかけています。 (※詳しくは、同省のWEBサイトを参照してください) |
12日(火) | ・バッテリーの日──電池工業会が設定。野球のバッテリーの守備位置数字が1、2であることから。(※自動車バッテリーの基礎知識については同会のWEBサイトを参照してください) |
12日(火) |
・12月の製品安全点検日 ──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
15日(金) |
・観光バス記念日──1925年(大正14年)のこの日、東京で初の遊覧乗合自動車(観光バス)が登場しました。 |
15日(金)~ 1月15日(月) |
・平成29年度 年末年始無災害運動 ──中央労働災害防止協会が主唱する安全運動。今年で47回目を迎えます。今年の共通標語は、
「異常なし! ダブルチェックで念入りに 年末年始もゼロ災害」 (※詳しくは、中災防のWEBサイトを参照してください) |
16日(土)~ 1月15日(月) |
・年末年始 港湾無災害強調期間 ──港湾貨物運送事業労働災害防止協会による年末年始の事故防止活動。安全・衛生活動の「見える化」など、創意工夫をこらした活動を推進します。 |
20日(水) |
・道路交通法施行記念日 ──1960年(昭和35年)のこの日道路交通法が施行されました。それまで交通行政は1947年制定の「道路交通取締法」によって行われ、各都道府県の行政処分基準などにはバラつきがありましたが、全国で統一した法制となりました。 |
22日(金) |
・冬至 |
23日(土) |
・天皇誕生日 |
25日(月) | ・クリスマス |
28日(木) |
・官庁仕事納め |
12月中旬~下旬 | ・平成29年11月末における交通死亡事故発生状況(警察庁) |
12月~1月 |
・貸切バス、観光バスを対照とした街頭監査 毎年、年末年始にかけては貸切バス発着場等における街頭監査が実施されます。平成28年度より、街頭監査に係る処分は強化されています。 |
11月上旬~ 12月中旬 |
・過労死等防止対策推進シンポジウム(厚生労働省委託事業)──過労死防止をテーマにしたシンポジウムが各都道府県単位で実施されます。入場無料。 詳しくは、過労死等防止対策推進シンポジウム事務局のWEBサイトを参照してください。 |
~12月中旬 |
・荷主等の事業場の担当者への安全衛生教育講習会(厚生労働省委託事業)
(各都道府県単位で開催──詳しくは各地の(一社)労働安全コンサルタント会支部へ) |
12月下旬 |
・平成29年10月末 労働災害速報(陸上貨物運送事業労働災害防止協会) ・平成29年10月分 トラック輸送情報(国土交通省) |
12月上旬 |
・平成30(2018)年使用 交通安全年間スローガンの公表 毎日新聞紙上、全日本交通安全協会ホームページなど |
◆12月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(金) | 福岡 17:10 |
大阪 16:47 |
東京 16:28 |
札幌 16:01 |
15日(金) |
福岡 17:12 | 大阪 16:49 | 東京 16:29 | 札幌 16:00 |
31日(日) | 福岡 17:20 |
大阪 16:57 |
東京 16:38 |
札幌 16:09 |
12月は暗くなる時刻が一年中で最も早くなります。年末で街が賑わい、車や人・自転車の多い夕刻はとても事故が起こりやすい時間帯となります。
早めに点灯するあなたの配慮が、他の車や歩行者に注意を促し、交通事故を減らすことに結びつきます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどを警戒して運転してください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください