2月の運転管理──2018年(平成30年)

■厳冬期の事故を防ぎましょう


  2月は、1年のうちで最も寒い時期となり、スリップによる衝突など冬型事故が多発します。
 進路を逸脱して歩道に乗り上げたり、対向車と正面衝突すると大事故に結びつきますが、車対車事故では追突事故も非常に多く発生しています。

 

 前車との車間距離を十分とるとともに、急ブレーキを踏まないように、いつも以上に危険予測が大切です。

 

 管理面では、安全に関する重要事項の伝達を文書でも確認するように指導してください。

 健康面では、寒い時期でも面倒がらずに、日常的な運動習慣をつけるように指導しましょう。 

  

2月の安全運転目標/運転者の皆さんへ

危険予測で冬型事故を防ごう

■急な操作を防ぐため、相手の動きを予測する

雪道での危険予測
相手の急な右左折にも対応できる車間距離を

 たとえ冬用タイヤを装着していても、雪道や凍結路ではスリップすることがあります。

 主な原因は、急ブレーキや急ハンドルなど「急」な操作をしたとき、タイヤにかかる力が大きくなり、摩擦係数に耐えられず滑ってしまうからです。

 

 雪の中では慎重な操作をしよう思っていながら、前車のブレーキなどに驚き、急ブレーキを踏んでしまうことがあります。

 前車に対しては十分な車間距離を取るとともに漫然と追従しないことが大切です。

 また、斜め前方の車やバイクなどとも、あまり接近しないことです。急な進路変更をされると、乾いた路面ならば避けられる場合でも、冬道ではタイヤが滑り追突してしまうことがあります。

 

 対向車線の車の動きにも注意し、減速する車などに対しては右折する可能性を予測し、相手から目を離さないで慎重に近づくようにしましょう。

 

 いつも以上に広く前後左右を見渡し、他車の動きを予測することで、どのようなポジションにいるべきかが判断でき、急な操作を防ぐことができます。

 

■歩行者が雪山を避けて歩くことを予測

 また、歩行者や自転車が雪のため危険な動きをすることがあります。

 歩道上や路肩に除雪した大きな雪山ができている場合、それを迂回して車道を通行する危険性を予測しましょう。雪山の死角から、突然歩行者がこちらに歩いてくることもあります。

 

 

 また自転車は雪道で滑りやすいので、高齢者の自転車ではなくても「ふらつき・転倒」を予測し、十分な側方間隔を取るか、徐行するように配慮しましょう。

こんな事故が起こっています!

車道を歩いていた歩行者に衝突

 

 2017年1月21日午前0時頃、青森県弘前市内の市道で、車道を歩いていた68歳の男性が、複数の車に連続してはねられ死亡する事故が発生しました。

 

 現場の歩道には除雪で生じた雪が積み上げられていて歩きにくかったため、死亡した男性は雪の無い車道を歩いていたものと見られています。

 

 運転者は、深夜なので車道上に歩行者がいるとは予測していなかったでしょうが、歩道が雪でいっぱいの場所では注意して走行すべきだということがわかります。

 ※写真はイメージです。事故とは直接関係

  はありません。

  歩道を歩けなくなった歩行者が、車道に

  降りてくる危険性を常に予測しましょう。


  

2月の重点管理目標/管理者の皆さんへ

「伝達の確認、結果の確認」を徹底

点呼時チェックシート

■「伝達ミス」が事故につながる危険

 運転管理をしている立場から気になることの一つに、運転者間の情報の引き継ぎや管理者への伝達がきちんと行われているかという点です。

 

 日常点検整備で気づいた不具合などが正確に伝達されないと、先日JR西日本・山陽新幹線で発生した列車台車の「亀裂見落とし」といった事態が起こる可能性があります。

 

【連絡ミスから車輪脱落事故が発生】

 ある運送会社で、運転者が出発前に車輪ボルトの緩みを見つけ、締め直して出発しましたが、帰社後に点検するとまた少し緩んでいました。

 後でその車に乗る予定の運転者や管理者が事務所に不在で、直接に整備の必要性を伝えられなかったため、他の従業員に伝言を頼みましたが、頼まれた人は忙しくて伝えるのを忘れてしまったのです。

 次の運転者は、ボルト緩みの事実を知らずに運転し、車輪の脱落事故が起こりました。

 

 ボルトの不具合は、整備会社がタイヤ交換時にミスをして、ボルトが最初から合っていなかったことが原因でした。 

点呼時チェックシート

■「伝える責任」をしっかり指導しましょう

 上記の事例は、伝言を受けた人のミスだけで済まされません。伝達したつもりでも、伝える人の責任がなくなったわけではないことに注意しましょう。

 では、どう指導すればよいのでしょうか?

 

●「書面でも伝達」が基本

 まず第一に、「安全上の情報伝達」は伝える相手にきちんと正確に届くように、運転日誌に記入したり宛名入りのメモなど書面記録にして、口頭の伝達が忘れられても、気づかれるようにする必要があります。

 運転者同士のライン等にも入れておきます。

 

●伝えるタイミングが重要

 重要な情報は、伝えるときのタイミングにも配慮しましょう。

 従業員が忙しいときに言っても忘れられる可能性が大きいので、落ち着いて把握してもらえる状況になるまで待つか、別の余裕がありそうな人を選んで正確に伝達してもらうようにしましょう。

 

●「結果の確認」をする

 また、「人は伝言を忘れるもの」と考えて、伝達を頼んだ内容がきちんと実行されているか、正しく伝わったかといった「結果の確認」をすることも重要です。

 ボルト緩みに気づいた運転者が、後で管理者に電話で整備の状況を確認していれば、タイヤの脱落事故を防止できた可能性があります。

 最後まで気を配ることが、伝達した人の責任だと教えましょう。

  

2月の健康管理目標/従業員の皆さんへ

日常的な運動習慣をつけよう

■30代の人は運動する習慣が少ない

 毎年2月は生活習慣病予防月間です。生活習慣を見直して、健康維持に役立てましょう。

 

 日本生活習慣病予防協会が提唱する生活習慣病の改善・予防の一項目として、日常的な運動習慣を持つことが挙げられています。

 

 厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」によると、 日常生活で運動習慣のある人の割合は、男性では35.1%、女性で27.4%、この10年間で男性では有意な増減はなく、女性では減少傾向であることがわかりました。

 年齢階級別にみると、男女ともに30歳代で最も割合が低く、それぞれ、18.4%、9.8%でした。

■万歩運動は将来の心臓死などを防ぐ

 1週間に500キロカロリー以上を消費する運動は、それ未満の運動に比べて、循環器系の疾患での死亡率を下げることが疫学調査でわかっています。

 

 運動量が1000、1500、2000キロカロリーと増えるほど死亡率が低下し、1週間に2000キロカロリー以上の運動が推奨されています。

 これは1日当たり300キロカロリー、1万歩の歩行に相当します。

 

 運動は、肥満予防だけでなく、高血圧、動脈硬化、糖尿病の予防にも結びつき、筋肉の維持が将来の健康寿命を伸ばすと言われています。

 30歳代の皆さんは仕事や育児などで日常的に忙しい一方で、自分はまだ若いからと自信過剰のため、運動をしないものと思われます。

 

 毎日の歩行運動は通勤時に一つ手前の駅で降りるなどの工夫で実行することができます。

 ぜひ30代から、運動をする習慣をつけましょう。

 

 (※この記事は、日本生活習慣病予防協会のWEBサイトを参考に作成しました)

  

その他の管理・指導項目

■2月は転倒災害を防ぐキャンペーンをしましょう

 厚生労働省と労働災害防止団体は、平成27年から、「STOP!転倒災害プロジェクト」を立ち上げて、転倒災害の防止に取り組んでおり、とくに、例年、積雪や凍結による転倒災害が多発する2月と全国安全週間の準備月間である6月を重点取組期間としています。

 

 実は、日本の労働災害の代表は転倒事故です。

 同省の統計によると、休業4日以上の災害約12万件(年間)のうち転倒災害は約 2.6万件と最も多く発生しています。

 また、⾼年齢者ほど転倒災害のリスクが増加し、55歳以上では55歳未満の約3倍転倒のリスクが増加します。

 さらに、転倒災害による休業期間は約6割が1か月以上と長期化する傾向が顕著となっています。

 

 チェックリストを使用した職場の総点検などを実施して、安全担当者が職場で具体的に指導し、転倒災害を防止しましょう。

 

(※転倒災害防止のチェックリスト・リーフレットは厚生労働省のWEBサイトよりダウンロードできます)

■タイヤ交換後の点検を徹底し、車輪脱落事故を防ごう

国土交通省作成のリーフレットより
国土交通省作成のリーフレットより

●2月は、大型自動車等の車輪脱落事故の発生ピーク!

 国土交通省では、大型自動車を使用している事業者への日常点検整備と「一定走行後のボルト・ナット増し締め」の再徹底を呼びかけています。

 

 同省が、平成14年度から平成28年度までの15年間の発生月別大型車車輪脱落事故件数を調べたところ、2月の発生件数が86件と最多だったことがわかりました。

 2月は冬用タイヤ交換後の初期に出やすい緩みが発生するタイミングとなっているのではないかと分析して、増し締めの重要性をアピールしています。

 

 詳しくは、同省のWEBサイトを参照。

 車輪脱落防止リーフレットのダウンロードは、こちらのサイトよりできます。

 

 

  

事業用自動車の運行管理者のみなさんへ

【トラック運送事業の運行管理者向け】

荷主対策
国土交通省作成の資料より

荷主対策を推進しよう

 荷主業界では、最大積載量=トラックが積載できる重量=と、特車の許可限度値=運べる重量=との違いが認識されていない場合が多いと言われています。

 

 許可重量は、橋などの道路構造物への影響等を考えて、道路管理者が許可した限度重量です。通行経路によっては、最大積載量以内の重量でも、積載して走行することができない場合があります。

 

 特車許可基準を逸脱した場合は、運送事業者が処分を受けたり告発されることがあります。

 国土交通省道路局は荷主向けの啓発チラシなどを作成しています。こうした資料を活用して、荷主に適正な積載をアピールしましょう。

 

 ※啓発チラシは国土交通省のWEBサイトからダウンロードできます。  

 

【バス事業の運行管理者向け】

■貸切バス安全情報の公開──国土交通省

 平成29年10月19日までに国土交通省に報告された平成28年度の貸切バス事業者の安全情報が、国土交通省のWEBサイト上で公開されました。

 

 平成28年1月15日に発生した軽井沢スキーバス事故を受け、同年6月3日に同省が対策をとりまとめた「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」に基づき、平成28年より公表されています。

 

 自社の報告内容とともに、他社の情報も閲覧でき、ドライブレコーダーやデジタコの搭載率、安全性評価認定などを知ることができます。

 

 掲載されていないバス会社は、報告期限の事業年度終了後100日を経過していない場合または、国に報告をしていない者となっています。自社の情報があるかチェックしておきましょう。

 

※参考:国土交通省WEBサイト「貸切バス事業者の安全情報の公表

※貸切バス事業者の安全情報報告について旅客自動車運送事業運輸規則第47条の7に基づき、毎事業年

 度の経過後100日以内に事業者自らの公表及び国への報告が義務付けられています。

 (平成28年12月1日施行)

 この義務に違反すると、法令違反として、行政処分の対象となります。

 ・未報告の場合    初違反:警告    再違反:10日車

 ・虚偽報告の場合   初違反:60日車    再違反:120日車

  

2月の安全運転管理ごよみ/2018年(平成30年)

日  付 行 事 等

 1日(木)

 ~28日(水

省エネルギー月間──政府は、暖房や給湯で電気や石油などのエネルギー消費量が増える2月を「省エネルギー月間」と定め、省エネルギーの推進を呼びかけています。

 1日)

 ~28日(

・全国生活習慣病予防月間──日本生活習慣病予防協会が制定。過去に2月第1週を政府が「生活習慣病予防週間」と定めていましたが平成20年に廃止したことから、同協会が活動の継承を目指して月間を制定し、広く啓発活動を行っています。

 1日

 15日

・平成30年度「全国安全週間 スローガン募集」

──募集期限平成30年2月15日(厚生労働省労働基準局安全衛生部)

 2日

・バスガールの日──1920(大正9)年、東京市街自動車の乗合バスに初めてバスガール(女車掌)が登場しました。初任給35円、当時としては破格の高給で話題になりました。

 3日(土

・節分/のり巻きの日

 4日

・立春

 5日

・笑顔の日──2(二)と5(コ)の語呂合わせで、いつもニコニコと笑顔になっていようという日。

 7日

・初午──2月最初の午 (うま)の日。伏見稲荷大社をはじめ全国の稲荷神社で初午の日には盛大な「初午大祭」(豊穣祈願)が行われます。

 8日

・プロドライバーの健康管理・労務管理の向上による事故防止に関するセミナー

 主催:国土交通省自動車局(200名対象:受講無料)

 場所:損保ジャパン日本興亜本社ビル2階大会議室(東京・西新宿)

 時間:13:00~16:30(12:30~ 受付開始)

 詳しくは、セミナー事務局のWEBサイトを参照

 日(金)

・風の日──「ふ(2)く(9)」(吹く)の語呂合せから。春一番など強い南風が観測され始める季節です。

 11日

・建国記念の日

 12日

・振替休日

 13日(火)

2月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について、情報提供・注意喚起を行っています。

 14日(水)

・聖バレンタインデー

 15日(木)~

平成29年分の所得税および復興特別所得税の確定申告(月15日)

 17日(土)

 23日(金)

・アレルギー週間──(財)日本アレルギー協会 がアレルギーの日をはさむ1週間、東京での中央講演会をはじめ、全国の支部で一般市民を対象に様々な啓蒙的催しを開催しています。

 19日(

・雨水 

 20日(火

アレルギーの日──1995年のこの日、石坂公成・照子医師夫妻がIgE抗体を発見し、米国アレルギー学会で発表したのを記念して日本アレルギー協会が制定しました。

 20日(火

 23日(金 

・2018 産業安全対策シンポジウム(第40回)

 (主催・日本能率協会など 於:東京都港区三田NNホール)

・20日「産業安全/事故分析と対策」ほか

・21日「産業の合理化・効率化・自動化と安全」ほか

・22日「疲労とヒューマンエラー」ほか

・23日「安全教育 ~安全意識の向上に向けて~」ほか

 詳しくはシンポジウムのWEBサイトを参照してください。

 20日(火

 22日(木

危険予知活動トレーナー研修会──中央労働災害防止協会が実施する、危険予知活動トレーナー養成の研修会。通所3日間コース。

 於:安全衛生総合会館(東京都港区芝5-35-2) 

 22日(木)

・自動車安全セミナー(中国運輸局)

 ──乗務員の健康管理からの事故防止対策──等

 場所:RCC文化センター7階(広島市中区橋本町)

 時間:13:00~16:20 (参加費無料/定員150名/申込順)

 ※詳しくは同運輸局のWEBサイトを参照してください。

 25日

梅田繁華街車暴走事故から2年──2016年2月25日、大阪・梅田の繁華街で乗用車が暴走し歩行者10人が死傷する事故が発生しました。車を運転して死亡した会社経営者(51)は、その後、事故直前に大動脈解離を発症したことが判明。職業運転者に限らず、高血圧の既往がある働き盛りの運転者の健康管理の重要性が、改めて話題となりました。
   
 2月上旬 ・平成29年中労働災害の動向について厚生労働省
 2月上旬~4月末

・平成30年度の「安全衛生標語」募集──陸上貨物運送事業労働災害防止協会。「荷役」「交通」「健康」3部門で募集し、11月開催の全国大会で顕彰。詳しくは、同協会のWEBサイトを参照。

 2月中旬~3月

・貸切バス事業者安全性評価認定制度説明会(ブロック別)

 ──詳しくは、日本バス協会のWEBサイトを参照。

 2月下旬~3月

・平成29年中の交通事故発生状況(警察庁)

 2月下旬

・平成29年賃金構造基本統計調査結果=賃金センサスの発表

  (厚生労働省)

 

 ◆2月の日没時間国立天文台天文情報センターによる)

1日(木) 福岡 17:49

大阪 17:27

東京 17:08

札幌 16:46

 15日(木)

福岡 18:03 大阪 17:41 東京 17:22 札幌 17:05
 28日(水) 福岡 18:14

大阪 17:53

東京 17:35

札幌 17:22

「早めにつけよう おもいやりライト
 運動に取り組みましょう!

 2月は日没がまだ5時台と早く、日の出は遅いので暗い時間が長いので、ライトの活用を意識してください。とくに人や自転車の多い夕刻はとても事故が起こりやすいので、注意しましょう。

 

 早めに点灯するあなたの配慮が、他の車や歩行者に注意を促し、交通事故を減らすことに結びつきます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯するとともに、歩行者や自転車などの見落としを警戒して運転してください。

 
 「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。


 詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください

 

 また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
 JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。

 ※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください

 
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12月23日(月)

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