高速道路などを利用する車両が増加しますので、トラブル発生時の措置や渋滞への追突事故などに注意を向けさせましょう。
とくに、本線上の停止車両への衝突は大きな被害が発生しますので、避難措置などを徹底してください。
なお、駐車場事故が依然として多発していることなどにも注意しましょう。
駐車場等では速度が出ていないことに油断して、幼児などを見落とし死傷事故に結びつく例があります。
駐車場などでの事故を防ごう
■他の交通場面と比べて減少率がわずか
駐車場等での事故と言えば、バック時に駐車場の壁や他の車と接触する事故が多いのですが、歩行者との事故もたびたび発生しています。
駐車場での歩行者事故は、他の交通事故が減少している割合と比べてあまり減少していないのが問題となっています。
交通事故総合分析センターの分析によると、5年間で交差点事故が100から82,単路事故が75と指数にして大幅に減少しているのに比べて駐車場での歩行者事故は、100から96とわずか4%しか減少していません。
皆さんも、通勤や業務の途中にコンビニエンスストアやサービスエリアで休憩し買い物をする機会が多いと思いますが、駐車場ではスピードが出ていないからと油断しないで、安全確認を念入りにして、子どもや高齢者などには十分に注意してください。
■幼児の死傷事故割合は道路上と変わらない
一般に駐車場事故は死亡重傷事故の割合が低いと考えられていますが、高齢者などは道路上のほうが目立って割合が高いものの、6歳以下の幼児では駐車場と駐車場以外で死亡・重傷事故になる割合は変わりません。
幼児の場合、車に当たって転倒後、頭部・胸部・腹部などを轢かれてしまうことが多いので、速度が低い駐車場事故でも死亡重傷事故率が高いと同センターでは分析しています。
背の低い幼児は、駐車場で見落としやすいので注意が必要です。
【こんな事故が起こっています!】
■コンビニ駐車場で後ろにいた同僚の
男性をひき、男性が死亡
2017年11月28日、徳島県松茂町のコンビニエンスストアの駐車場で、道路舗装会社の従業員が運転するトラックがバックした際、車の後ろにしゃがみこんでいた同僚の男性(25歳)をひいてしまい、男性はその場で死亡しました。
バックしたときトラックの警報音は鳴っていましたが、男性は携帯電話で通話していたため警報音が聞こえなかったようです。
運転者は同僚の存在には気づいていませんでした。
【事故の教訓】
駐車場でのバックを安易に行わない!降りて安全確認をしてからゆっくりとバックしよう!
事故・故障時の措置を徹底しよう
■高速道路での迅速な措置を指導
5月に入り、そろそろ新入社員が遠距離運行などに従事することもあります。運行中、故障やトラブルに見舞われたときの正しい措置について指導しておきましょう。
とくに高速道路でのトラブル発生時には、停止した車両に後続車が衝突し大事故につながる例が少なくありません。被害を予防するため以下の点を徹底しましょう。
■停止車両より後方に避難する
行楽期に入り、従業員がドライブをする機会も増えると思いますが、高速道路でのトラブル発生時には、同乗者を速やかに避難させることも非常に重要であると指導しておきましょう。
高速道路で避難する場合のポイントは
※ こちらも参照 → 「高速道路で事故やトラブルが発生!どこにいれば安全?」JAF・WEBサイト動画
腰痛を予防しよう
■重量物の運搬時には注意する
腰痛は、労働災害に認定されることも多い、働く人の現代病です。
重量物の運搬時や不適当な姿勢で物を持ち上げるときに、腰に負担がかかり腰痛を発症する危険があります。以下のポイントを守って作業をするように心がけましょう。
●重量物運搬の制限
男性(満18歳以上)は体重のおおむね40%、女性(満18歳以上)は、24%程度の重量を限度としましょう。
●運搬機械の活用
制限を超える物の運搬時はリフターや⾃動搬送装置などを使用しましょう。
●集団作業の励行
制限を超える荷物で装置がない場合は、⾝⻑差の少ない2人以上で作業を⾏いましょう。
●正しい持ち上げ姿勢
重量物を床から持ち上げるときは、片足を少し前に出して膝を曲げ、腰を⼗分に下ろして物を抱え、膝を伸ばすことによって⽴ち上がるように心がけましょう。
■運転後の作業に注意する
⻑時間の運転した後に重量物を取り扱う場合は、⼩休⽌・休息や十分なストレッチングを⾏ってから運搬作業を⾏いましょう。
運転中は、エンジンなどの振動にさらされて足腰の筋肉が拘縮し、座る姿勢を続けて血液の循環も悪くなっていますので、車両を降りた後急に荷物の運搬作業をするのは危険です。
※この記事は、厚生労働省「職場における腰痛予防
対策指針」の資料を参照しました。
■渋滞情報に注意しよう
5月連休は早めに回避方法を検討する
4月末から5月のゴールデンウィーク時期には、高速道路の渋滞が予測されます。
道路交通情報センターなどの情報によると、今年は昨年の実績より渋滞が激しくなると予測されています。
同センターなどの渋滞予測情報のページに目を配って、可能であれば、この時期の運行予定や運行経路を見直しておきましょう。
高速道路走行時の渋滞ピークを避けるように出発時間を変更したり、すいている経路の選択を検討してください。
詳しくは、同センターや高速道路渋滞予測ページのWEBサイトを参照してください。
■運転中の禁煙を推進しましょう
5月31日は世界禁煙デー
運転中の喫煙は、わき見運転などに結びつきやすく、非常に危険です。
世界禁煙デーの機会をとらえ「禁煙週間」が実施されますが、ドライバーの運転中の禁煙を推し進めましょう。
職場の完全禁煙に取り組む企業は少なくありませんが、そのため、車両の中は数少ない喫煙場所となりつつあります。
運転中は危ないとわかっていても喫煙してしまう運転者がいるかも知れません。
喫煙のため灰皿にわき見していて死亡事故に至った事例もありますので、厳しく禁煙を呼びかけてください。
点呼の確認事項に「睡眠不足」を追加
■睡眠不足も乗務禁止の事由に
トラック・バス・タクシーなど事業用自動車の事業者が運転者を乗務させてはならない事由として、「睡眠不足の有無」が追加されます。
運転者の過労や睡眠不足による居眠運転事故防止のために乗務禁止事由が強化されます。
旅客自動車運送事業運輸規則・貨物自動車運送事業輸送安全規則などの省令、関係通達を4月20日までに改正、6月1日から施行される予定です。
■点呼での報告と確認義務が発生
運行管理者は、乗務員点呼の際に報告を求める確認事項として、
「日常点検結果」「酒気帯びの有無」「疾病・疲労等健康状態」に加えて「睡眠不足の有無」を
チェックする義務が生じます。
運転者は睡眠不足で安全運転ができないおそれがある場合は点呼時に申告する義務が生じます。
■点呼記録簿にチェック欄を追加
点呼時の記録事項も改正されますので、点呼記録簿に「睡眠不足の有無」のチェック欄を新たに設ける必要があります。
ドライバーへの指導及び監督の指針を改訂
■2018年6月に告示を改正して施行
国土交通省は、今年度も「事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」の一部を改正します。
緊急時の安全確保義務違反や居眠運転などによる事故が発生している状況を踏まえて、事故・故障時などの対応や睡眠不足の危険に関する運転者教育を徹底するため、教育内容などを追加して、指導体制の強化を図ります。
「睡眠不足」については点呼時の確認事項にも追加され、7月には過労運転に係る処分基準の強化なども実施して、居眠運転事故の抑止に力を注ぐ方針です。
■施行時期について
平成30年6月1日に施行される予定です。
【貨物自動車運送事業向け指針の一部改正部分】
項 目 | 内 容 | |
⑩ |
交通事故に関わる運転者の生理 的及び心理的要因及びこれらへの対処方法 |
・「睡眠不足が交通事故を引き起こすおそれがあることを理解させる」などを追加 |
【旅客自動車運送事業向け指針の一部改正部分】
項 目 | 内 容 | |
① |
事業用自動車を運転する場合の 心構え |
・事故の統計などを説明して社会的影響を理解させる |
② |
事業用自動車の運行の安全及び 旅客の安全を確保するために 遵守すべき基本的事項 |
・日常点検不備による事故や、交通事故による事業者、運転 者への処分、加害者や被害者への心理的影響の大きさ、法律 遵守の重要性などを理解させる |
③ |
事業用自動車の構造上の特性 |
・制動性能などが車両によって異なることを理解させる |
⑦ |
危険の予測及び回避 |
・強風、豪雪等の悪天候が運転に与える影響への理解。
・事故発生時、災害発生時その他緊急時における対応方法を 理解させる |
⑧ |
運転者の運転適性に応じた安全 運転 |
・(適性診断)その他の方法により運転者の特性を把握する |
⑨ |
交通事故に関わる運転者の生理 的及び心理的要因及びこれらへ の対処方法 |
・睡眠不足、医薬品等の服用に伴い誘発される眠気が事故を 引き起こすおそれがあることを理解させる ・改善基準告示に基づく勤務時間、乗務時間を理解させる |
⑩ |
健康管理の重要性 |
・心理的な負担の程度を把握するための検査結果等にも基づ いて心身の健康管理を行うことの重要性を理解させる |
⑪ |
安全性の向上を図るための装置 を備える事業者自動車の適切な 運転方法 |
・安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車を運 転する場合の適切な運転方法を理解させる(貸切バスのみ が対象となっていた項目を全旅客自動車対象に) |
日 付 | 行 事 等 |
1日(火)~ 31日(木) |
・消費者月間──5月は「消費者月間」。事業者、行政が一体となって消費者問題に関する啓発・教育等の各種事業を集中的に行っています。消費者安全法に基づく報告義務のある重大事故は消費者庁ホームページで毎週、公表されています。乗合バスやタクシーの乗客被害、自動車の火災なども含まれます。 |
1日(火)~ 9月30日 |
・「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」期間 厚生労働省が主唱する今年の熱中症予防対策キャンペーンは、平成30年5月1日から9月30日まで。政府全体の取組である熱中症予防強化月間の7月を重点取組期間としています。 |
1日(火) |
・メーデー |
2日(水) |
・八十八夜 |
3日(木) |
・憲法記念日 |
4日(金) |
・みどりの日 |
5日(土) | ・子どもの日/立夏 |
8日(火) |
・世界赤十字デー(World Red Cross Red Crescent Day)──赤十字 を創設したアンリ・デュナンの誕生日を記念して制定されました。 |
8日(火) | ・5月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
10日(木)~ 12日(土) |
・ジャパントラックショー2018 会場:パシフィコ横浜展示ホール(横浜市西区みなとみらい) トラックのビジネスショーとして、車両、架装、部品、周辺機器、ソフトウエアなど多くのトラック関連メーカーが出展。 安全関係の各種セミナーも同時開催 詳しくはこちらを参照 |
12日(土) |
・自転車重過失事故(大阪)から7年──2011年5月12日、大阪市浪速区の国道25号線で、車2台の前を強引に横切った危険な自転車の行動により歩道上の歩行者2名が死亡しました。車の運転者は不起訴となり、自転車乗用者が重過失致死罪で禁錮2年の実刑判決を受け、危険性帯有者として運転免許の180日停止処分も受けています。 |
13日(日) | ・母の日(第2日曜日) |
16日(木)~ 19日(土) |
・第91回 日本産業衛生学会──産業保健に関する様々な実践報告・学術 発表が行われる。於:熊本市民会館 等 「職域における睡眠課題の解決」「睡眠と健康」「ストレスチェック 制度3年目の評価」など、演題多数。 ──詳しくは、同学会WEBサイトを参照。 |
18日(金)~ 6月8日 |
・運行管理者試験(平成30年度第1回)の申請期間 インターネットによる電子申請は6月19日(火曜)まで ★試験日2018年8月26日(日) ※再受験者にはスマートフォン申請も可能になりました。 → 詳しくは、運行管理者試験センターwebを参照 |
20日(日) |
・自動車運転死傷行為処罰法施行から4年──危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪が刑法から削除され、自動車運転死傷行為処罰法へ移行し、罪名変更されて2014年5月20日に施行されました。 |
23日(水) |
・第19回 自動車安全シンポジウム ──自動運転の実現に向けた今後の車両安全対策のあり方について 於:パシフィコ横浜/国土交通省等の共催 参加申込みは、(一財)日本自動車研究所まで |
23日(水)~ 25日(金)
|
・自動車技術会 学術講演会春季大会 ・人とくるまのテクノロジー展 2018 ──於:パシフィコ横浜(横浜市西区みなとみらい1-1-1) ※詳しくは同会のWEBサイトを参照してください。 |
23日(水)~ 25日(金) |
・運輸 交通システムEXPO 2018──事業用自動車ドライバーの安全運転、事故防止、省エネ運行、健康管理のためのシステムや製品、技術を集めて紹介/主催は、運輸・交通システムEXPO実行委員会 ──於:東京ビッグサイト 西ホール (大阪開催は6月・インテックス大阪) ※詳しくは、イベントのWEBサイトを参照してください。 |
26日(土) |
・東名高速道路全通記念日──1969年(昭和44年)のこの日、大井松田・御殿場間が開通、東名高速道路の東京・小牧間346kmが全通しました。 |
29日(火) |
・ダム湖転落5人死亡事故(大阪)から2年──2016年5月29日、大阪府河内長野市の府道で、26歳のドライバーが眠気に襲われたままワンボックス車の運転を続け、居眠り状態で滝畑ダムに転落。同乗の5人が死亡する事故が発生しました。運転者は「睡眠不足だったと思う」と述べて罪を認め、禁錮4年6か月の判決を受けています。 |
31日(木) |
・世界禁煙デー ── 禁煙週間は6月6日月曜日まで。詳しくは厚生労働省のWEBサイトを参照してください。 |
5月上旬 |
・平成29年度自動車アセスメント結果の発表(国土交通省) |
5月中旬 | ・平成30年4月末までの交通事故発生状況発表(警察庁) |
5月下旬 |
・平成30年2月分 トラック輸送情報(国土交通省) |
◆5月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1(火) | 福岡 19:01 |
大阪 18:43 |
東京 18:27 |
札幌 18:35 |
15(火) |
福岡 19:12 | 大阪 18:54 | 東京 18:39 | 札幌 18:51 |
31(木) |
福岡 19:23 |
大阪 19:05 |
東京 18:51 |
札幌 19:06 |
5月は日没が遅く日が長いと感じますが、それだけ夕方の歩行者や自転車も多いので、早めのライト活用を意識してください。
とくに高齢者は、視機能の衰えのため若い人より早い段階で日没前に車や人影を発見しにくくなると言われています。運転者は自分では明るいと感じても、早めに点灯することで高齢歩行者の不用意な横断などを防止することができます。
早めに点灯するあなたの思いやりが、交通事故減少に結びつきます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯するとともに、歩行者や自転車などの見落としを警戒して運転してください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください