今年の夏は、気象庁の予報通りの酷暑となっています。
暑さに負けないように運転者には早めの休憩を促し、体力を保って疲労を防ぐように指導しましょう。
また、8月は夏休みの帰省・レジャー目的のため、高速道路における走行車両が増えて、渋滞や車両停止が発生しやすいことから、追突事故・佇立者事故などが多発しています。
とくに歩行者などへの衝突は死亡事故に結びつきやすいので運転者への指導を強化しましょう。
健康面では、適度な水分・塩分摂取を行い脱水症状や熱中症を防止するように指導してください。
早めの休憩、疲労のチェック
■疲れる前に休憩するのがコツです
気温の高い日が続き体力の消耗が激しくなるため、夏バテ気味の方もおられるでしょう。
過労運転に陥らないためにも、この時期は早めの休憩がもっとも大切です。
暑いのに無理をして、ミスをしてしまえば無駄な時間を要するだけです。
疲れてから休憩しても、疲労はなかなか回復しないのですが、疲労する前の早めの休憩を小刻みにとると、疲れがたまらないという研究結果があります。
また、最近の研究では、人間の身体は90分のリズムで緊張と緩和を繰り返していて(ウルトラディアン・リズム)、90分以上経つと脳の活性・集中が途切れて機能低下が現れるので、作業はやめて休憩したほうがよいと言われます。
大学の講義や講演会などでも、一コマ90分程度で終わりますが、これは生体リズムからみて理にかなっています。
早めに休憩し、サービスエリアなどで身体を休めて、冷たい水で洗顔しリフレッシュすることで、暑さを乗り切りましょう。
■疲労の度合いはこんなサインで現れる
次のような兆候が現われたら、「疲れ」のサインです。
・集中しているつもりなのにあくびが出る
・まばたきの回数が増える
・目がショボショボ、まぶたがピクピクする
・無意識に肩や首を回す
・足が重くなりブレーキが遅れる
・進路変更前にミラーを見るのが遅れて、
ヒヤッとする
・青信号で前車が発進したのに気づくのが
遅れてクラクションを鳴らされる
・黄信号で止まるのがおっくうになる
疲れの兆候に気づいたら、ためらわずに休憩しましょう。
高速道路の事故防止指導を
■本線上の歩行者などに注意させよう
高速道路や自動車専用道路などでは、依然として駐停車車両への衝突や本線上にいた乗員の死亡事故が多発していますので、運転者には注意を促しましょう。
故障して停止した車の乗員が不用意に本線上を歩いていることがあります。とくに夏休みのこの時期は家族ドライブなどをする車が多く、意識しておくことが大切です。
また、自転車などが走行している危険もありますので、高速道路だからといって車だけとは限らないと強調しておきましょう。
■こんな事故が起こっています
高速道路に進入した自転車にトラックが追突
2018年6月28日午前2時20分ごろ、愛知県清須市内の名古屋第二環状自動車道で、本線車道を走行していた自転車に気づくのが遅れて、後ろからきた大型トラックが追突し、自転車に乗っていた27歳の男性が骨盤などを骨折する重傷を負いました。
夜中で自転車は見えづらく、まさか「こんなところに自転車がいる」とは思っていなかったドライバーが避けきれなかったものと思われます。
この自転車は料金所のあるゲートから入り、職員が声を掛けて制止していたのを無視して進入したらしく故意進入の可能性が高いのですが、料金所施設が無い道路の出口ランプなどから誤って自転車が進入するケースも目立つので、「高速道路上に自転車などがいるはずはない」と思い込むのは禁物です。
まさかと思っても、自転車らしき影を見たら慎重にその動きをチェックするようにしましょう。
■8月9日頃から大規模渋滞に注意
例年のように、お盆期間は直前の休日(今年は8月11日~12日)に高速道路を中心に渋滞が多く発生すると予測されています。
今年は、渋滞分散の目的で11日、12日に高速道路の休日割引を適用せずに、その前の8月9日 (木) 、10日 (金)に休日割引が適用されます(軽自動車および普通車が対象)。
そこで、9日ぐらいから高速道路の本格的な帰省ラッシュ渋滞が始まることを予測しましょう。
脱水症状に注意しましょう
■1日1.2リットルの水を摂ろう
暑い夏、汗をたくさんかくので、知らずしらずのうちに脱水症状となることがあります。脱水症状は、熱中症だけでなく、脳疾患、心臓疾患の発作が起こる引き金となりやすいので、注意しましょう。
人間の身体の約60%は、水でできていて1日に成人が必要とする水分量は、体重1kgに対して50mlとされ、体重50kgでは、約2.5ℓにもなります。
このうち、食事等から約1ℓ補給できます。また、体内でも水分が0.3ℓ生成されますので、1日に飲料としてとるべき水分は約1.2ℓということになります。
■小刻みに水分摂取する習慣をつけよう
「ノドが渇いた」と感じるときは、すでに身体に必要な水分量の1%が不足している合図といわれていますので、ノドの渇きを感じる前に早めの水分摂取が大切です。
なお、大量の水分を一度に摂ってもすぐに身体に水分がいきわたるわけではありませんので、外出をする前に飲んで、外出中も少しずつ飲むなど、小刻みに摂取しましょう。
また、汗などをよくかくときに水分だけを摂取していると、血液中の塩分濃度が薄まって、熱中症にかかりやすくなったり、「塩分濃度が下がるとまずい」と判断した脳が自動的に身体の水分を排出しようとして、逆に脱水状態になることがあります。
このため、水分補給はミネラル分を含むスポーツドリンクなどが効果的です。
脱水症状は、エアコンの効いた室内などでも起こりますので、気をつけましょう。
※この項目は、 厚生労働省の「健康のため水を飲もう」推進運動のWEBサイトを参照しました。
※「健康のため水を飲もう」推進運動のWEBサイトには、以下のようなポスター・チラシ資料が多数
用意されていて、参考になります。ダウンロードして利用することもできます。
■「秋の全国交通安全運動」の準備
9月21日から、秋の全国交通安全運動が実施されます。今月中に期間中の安全活動のプランと配布・掲示する資料などを準備しておきましょう。
今年の実施要項は以下のような内容です。
○運動期間
平成30年9月21日(金)~30日(日)までの10日間
○交通事故死ゼロを目指す日
9月30日(日)
○全国運動重点
(1)子供と高齢者の安全な通行の確保と
高齢運転者の交通事故防止
(2)夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗
用中の交通事故防止
(3)全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底
(4)飲酒運転の根絶
※詳しくは、内閣府のWEBサイトを参照してください。
【トラック運送事業の運行管理者向け】
荷待ち時間のデータを
荷主に報告しましょう
■荷待ち記録の義務化後1年経過
昨年7月に荷主都合による30分以上の荷待ち時間の記録が義務化されて、すでに1年が経過しています。
せっかく荷待ち時間の記録をとっているのですから、自社の運転者の待ち時間の統計をとり、社内はもちろん荷主にも提出して、集荷方法の変更など改善できる点がないか協力を要請しましょう。
国土交通省が、昨年の省令改正直後に調査した荷待ち時間サンプル調査によると、1か所あたりの待ち時間が「30分~1時間」(構成比44%)、「1時間~1時間30分」(17%)で6割を占めていますが、「2時間」から「4時間超」の「2時間以上」も25%を占めていて、4件に1件は2時間以上の待ち時間が発生していました。
【バス運送事業の運行管理者向け】
■緊急停止時の措置について指導しよう
2017年8月25日午後5時頃、鳴門市の徳島自動車道で路肩に停車中のマイクロバスに居眠運転の大型トラックが追突しました。バスは法面から転落し、乗員と高校生1人が死亡、十数人が重軽傷を負う事故が発生しました。
居眠りをしたトラック運転者の責任が大きいものの、バスが路肩で停止したまま乗客を避難させなかった措置も批判されました。
今年6月には旅客自動車運転者への「指導・監督の指針」も改正され、緊急時への対応の指導が追加されましたので、高速道路利用の増えるこの機会に指導を徹底しておきましょう
高速道路上での緊急時は以下の点に留意
① 駐停車の危険性を認識する
○事故や故障時に高速道路の路肩等に駐停車した場合は後続車に追突される危険が大きい。「昼
間でも居眠運転の車がいる」ことを常に念頭におく
○全く車が動かない等やむを得ない場合や十分な幅員の路肩がある場合を除き、乗客を守るため
惰力走行等で非常駐車帯や安全な駐車場所(SAなど)まで何とか移動することに努める
○あおり運転などの他車とトラブルになっても、本線上で停止して話をするなどの行為を慎み、
SA・PAなど安全な場所まで行って対処する。
② やむを得ず、路肩等に駐停車する場合
○できるだけ幅員のある路肩の端に寄せて止め、ハザードランプを点滅させる
○発炎筒、停止表示器材を車両の少なくとも50m以上後方に設置する
→ 非常時に備え停止表示器材等は取り出しやすい場所に整理して確認しておく
○原則として乗客等をガードレールの外側などの安全な場所に避難させる。避難は路肩側の乗降
口から行い、車線側やバスの前に人が立たないように注意する。
→ 万が一追突された場合、事故に巻き込まれないように停止したバスより後方に避難させる
○乗務員も誘導を終えたら速やかに安全な場所に避難する
→ 故障箇所などを見るためにバスの周辺に立ったり、車両が通行する側に出たりしない
③ 高速隊、道路会社に必ず連絡する
○会社に連絡する前に、必ず警察か高速道路会社の交通管制室に連絡し、危険を知らせる
→ 路肩の非常電話を利用するか携帯電話で110番または#9910に通報する
○連絡を受けた道路会社や高速道路交通警察隊は、可変情報掲示板に故障車の表示を行い、救援
車派遣などを手配するので、連絡が必要であることを強く指導する
【参考資料】「高速道路の路肩駐車車両への追突事故防止のための取組みの徹底について」
(国土交通省自動車局安全政策課長 通達)
日 付 | 行 事 等 |
1日(水)~ 31日(金) |
・道路ふれあい月間──国土交通省では、毎年8月を「道路ふれあい月間」として、道路の正しい利用や道路愛護活動の推進に努めています。 「踏み出そう 夢を広げる 今日の道」 「成長の 足跡残して 歩く道」 |
1日(水)~ 31日(金) |
・食品衛生月間──厚生労働省では、毎年食中毒の発生しやすい8月に食品衛生管理の徹底を呼びかけています。 |
~ 9月30日 |
・平成30年度 港湾労働安全強調期間──港湾貨物運送事業労働災害防止協会による全国安全週間に呼応した活動。港湾内の事故防止活動を推進。 ●30年度のスローガン── 「新たな視点で見つめる職場 創意と工夫で安全管理 惜しまぬ努力で築くゼロ災」 詳しくはこちらを参照してください。 |
1日(水) | ・夏の省エネ総点検の日 |
5日(日) |
・タクシーの日──大正元年(1912年)のこの日、東京有楽町で日本初のタクシー会社(タクシー自働車株式会社)が設立され、メーターを装備したT型フォード6台で営業を開始しました。 |
7日(火) | ・立秋 |
7日(火) |
・8月の製品安全点検日
──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
8日(水) |
・第53回 交通安全子供自転車全国大会──児童・生徒の自転車事故防止活動の一環として全日本交通安全協会が主催。都道府県代表が安全運転を競い合います。於:東京ビッグサイト |
10日(金) | ・道の日──大正9年の同日にわが国で最初の道路整備の長期計画がスタートしました。 |
10日(金) | ・健康ハートの日──「ハー(8)ト(10)」の語呂合わせから日本心臓財団などが制定。心臓病に対する予防知識を啓蒙します。夏の間に心と体のチェックをして、心臓病の多発する冬に備えましょう。 |
11日(土) | ・山の日──国民の祝日の一つ。2016年(平成28年)1月1日施行の改正祝日法で新設されました。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としています |
15日(水) | ・終戦記念日/全国戦没者追悼式 |
16日(木) | ・鹿沼市車水没事故から10年──2008年8月16日、群馬県鹿沼市の市道で軽乗用車が冠水中のアンダーパス道路で水没し女性が死亡しました。本人と目撃者から110番がありながら警察や消防の初動ミスがあり、救助隊が出動していなかったことが明らかになり、豪雨時における冠水の危険と車両誘導の課題が浮き彫りになりました。 |
18日(土) |
・飛騨川バス転落事故から50年──1968年8月18日、岐阜県加茂郡白川町の国道41号で観光バス複数が土砂崩れのため立ち往生し、2台が土石流に押し流されて飛驒川に転落、犠牲者は104人でした。被害者は自賠責の対象とされ、国家賠償訴訟で国の過失6割、不可抗力4割と認定されました。国道における防災体制が整備される契機となり、その後、異常気象時の通行止め規制も強化されました。 |
19日(日) | ・バイクの日──政府の交通安全対策本部が二輪車の交通事故撲滅を目的に制定しました。この日を中心に、全国で二輪車の安全運転講習会等が展開されます。 |
20日(月) | ・交通信号の日──昭和6年(1931)のこの日、東京銀座と京橋に3色の交通信号機が設置されました。 |
23日(木) | ・処暑 |
25日(土) |
・福岡海の中道大橋飲酒運転事故から12年──2006年8月25日、福岡市東区の海の中道大橋で、会社員の乗用車が飲酒運転をしていた福岡市職員(当時22歳)の乗用車に追突され海に転落、同乗していた3児が死亡する事故が起こりました。加害者は救助をする意思もなく逃走を図り、飲酒の事実を隠蔽しようとしましたが、危険運転致死傷罪と交通法違反を併合した懲役20年の刑が最高裁で確定しました。その後、「飲酒逃げ得」を防ぐため飲酒運転とひき逃げの罰則が強化されました。 |
25日(土) | ・徳島道マイクロバス事故から1年──2017年8月25日、鳴門市の徳島自動車道で路肩に停車中のマイクロバスに居眠運転の大型トラックが追突し、高校生ら16人が死傷する事故が発生し、元トラック運転者には禁錮4年の実刑判決が言い渡されました。長時間にわたり高速道路上に停車したバス運転者やバス会社の責任が問われ、「指導・監督指針」の内容改正にも反映されました。 |
25日(土)~ 31日(金) |
・道路防災週間──道路防災に関する広報活動が行われ、道路施設・設備点検、防災訓練などを行います。 |
26日(日) |
・平成30年度 第1回 運行管理者試験」 詳しくは、(公財)運行管理者試験センターのWEBサイトまで 。 |
30日(木)~ 9月5日(水) |
・防災週間──防災に対する知識を普及・啓発するとともに、防災行動へと結びつける取組みが全国各地で行われ、異常気象時における通行規制図などが自治体から配布されます(内閣府)。 |
5月~9月 |
・「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」期間 厚生労働省が主唱する熱中症予防対策キャンペーンは、平成30年5月1日から9月30日まで実施されています。 |
~9月10日 |
・交通安全ファミリー作文コンクールの募集 (6月20日より募集、応募締切は9月10日──詳しくは、警察庁のWEBサイトを参照) |
~9月30日
|
・夏の省エネキャンペーン──6月より実施/エネルギー消費の大きなピークの季節を迎え、省エネキャンペーンが行われています。 |
8月中旬 | ・平成30年7月末までの交通事故発生状況発表(警察庁) |
8月下旬 |
・平成30年6月分 トラック輸送情報(国土交通省) |
◆8月の日没時刻(国立天文台天文情報センターによる)
1(水) | 福岡 19:19 |
大阪 19:01 |
東京 18:46 |
札幌 18:57 |
15(水) |
福岡 19:05 | 大阪 18:47 | 東京 18:31 | 札幌 18:38 |
31(金) |
福岡 18:46 |
大阪 18:27 |
東京 18:11 |
札幌 18:12 |
8月はもはや暦の上では秋。日没時刻が早くなっていますので、早めの点灯を意識してください。また夕立などで少しでも暗いなと感じたら、ためらわずに点灯するとともに、歩行者や自転車の見落としを意識してください。
早めに点灯するあなたの思いやりが、交通事故減少に結びつきます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯するとともに、夕刻に増える交通参加者を警戒して運転してください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください