厚生労働省が公表した昨年度の「過労死等の労災補償状況」によると、依然としてトラック運送業の過労死認定数が業種別ワースト1(9年連続)であることがわかりました。
同省は、毎年7月始めに過労死等状況調査の報告書を取りまとめて公表しています。
平成30年7月6日公表の平成29年度(2017年度)調査によりますと、業種別でみた「脳・心臓疾患に関する労災補償状況」では、支給決定件数253件(請求件数840件)のうち、「道路貨物運送業」が85件(同145件)と最も多くなっていて、2位の飲食店19件(同41件)、3位のその他サービス業16件(同68件)を抑えて非常に目立っています。
職種別にみると、「自動車運転従事者」が89件(同164件)と、ここでもダントツのトップを占めています。
また、前年度は26件で3位に後退していた「精神障害による」支給決定件数も45件(請求件数84件)と19件も増加し、再び業種別で最多となっています。
全日本トラック協会などの業界団体では過労死等の根絶を図るための防止計画を策定し、パンフレットなども作成して事業者への啓蒙活動を行っています。
ドライバー不足のため貨物運送事業者を取り巻く状況は依然として厳しいのですが、運行管理者の皆さんもこうした資料などを参考に、ドライバーの睡眠時間の確保や血圧の管理、点呼時における健康観察の徹底などを通じて、過労死防止のためにできることを考えていきましょう。
【参考webサイト】
・「過労死等の労災補償状況調査」(厚生労働省)
・「過労死防止計画」について(全ト協)
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トラックドライバー向けの指導・監督資料については → こちらを参照
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