9月の運転管理──2018年(平成30年)

■高齢者との事故を防ごう


4月の安全運転管理

 秋は日は短くなり夕方の交通事故増加が懸念されます。9月には、秋の全国交通安全運動も実施されますので、地域の安全活動に参加するなかで、運転者の意識喚起に努めましょう。

 

 事故の被害者として目立つのはお年寄りと児童・生徒です。

 とくに高齢者の横断歩道外での横断事故や子どもの自転車などの飛出し事故に注意させましょう。

 

 また、台風などが多い時期です。今年は異常気象が目立ちますので、大雨により通行不能になりそうなルートの調査や経路の指示も徹底しましょう。

  

9月の安全運転目標/運転者の皆さんへ

高齢者の行動を予測しよう

安全確認をしないで横断する

雨の日のバイクスリップ

 依然として高齢者が交通事故被害にあう例が多く、高齢者事故防止は交通安全運動の重点項目にもなっています。

 高齢歩行者の死亡事故は、単路などの横断歩道以外の場所で、高齢者側が確認なしに横断を始め、運転者のわき見・漫然運転が重なったときに多く発生しています。

 

 交通事故総合分析センターが、高齢歩行者と運転者の人的な事故発生要因を組みあわせて分析したグラフ(下図)によると、高齢者が安全確認をしなかったり確認が不十分なために車を発見するのが遅れて起こった事故が5割を超えています。運転者側のミスは前方不注意が大半を占めています。

 

 高齢者は安全確認をしないまま横断してくる危険があることを予測しましょう。

判断ミスして横断する

雨の日のバイクスリップ

 また、安全確認ミスほどは多くないものの、高齢者の「判断の誤り」が原因とされるケースも約12%あります。

 車の方で止まってくれるだろうと思い込んだり、車の速度が遅いと勘違いして、自分が安全に横断できると誤った判断をして横断してくる危険があるわけです。

 

 高齢者が道の端に立って車の方を見ているときでも、普通なら「横断しないだろう」と考えられるタイミングで横断してくる危険性を予測し、その動静から目を離さないで運転することが重要です。

※グラフはイタルダ・インフォメーション№118より引用しました。

  

9月の重点管理目標/管理者の皆さんへ

秋の全国交通安全運動に参加しよう

秋の全国交通安全運動2018
内閣府作成の運動ポスター

 9月21日から、秋の全国交通安全運動が実施されます。この機会に社内でも安全活動などを行うとともに地域の活動に積極的に参加しましょう。

 今年の運動の実施要項は以下のような内容です。

 

○運動期間

 平成30年9月21日(金)~30日(日)までの10日間

 

交通事故死ゼロを目指す日

 9月30日(日)

 

○全国運動重点

(1)子供と高齢者の安全な通行の確保と

  高齢運転者の交通事故防止

(2)夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通

  事故防止

(3)全ての座席のシートベルトとチャイルドシート

  の正しい着用の徹底

(4)飲酒運転の根絶

 

 

※詳しくは、内閣府のWEBサイトを参照してください。

■こんな活動が効果的です

自動車専用道路に自転車が

地元の子ども達と街頭安全指導に取り組む

 

 交通安全協会や、トラック協会・バス協会などが実施する街頭指導に参加すると、運転者の交通安全意識が高まります。

 

 あるトラック事業者では、県のトラック協会が呼びかけた交通安全キャンペーンに協力したところ、地元の小学校との共同行事となり、運転者たちが小学生と一緒に街頭で道行く車に啓蒙パンフレットを配布したとのことです。

 和気あいあいとした雰囲気のなか、元気な子ども達と頑張りました。

 

 一緒にパンフレットを配ることで、地域の小学生とも顔馴染みになります。

 小学校周辺を走行するとき、我が子のように親しみを感じて「安全運転で守って行かなくては!」という気持ちになり、安全確認もキメ細かくするようになるそうです。

 

 たかがチラシ配りと軽視しないで、できることから取り組みましょう。

  

9月の健康管理目標/従業員の皆さんへ

運動習慣を取り戻そう

重量物作業での腰痛防止

■早朝のジョギング・ウォーキング

 

 9月になると、そろそろ朝晩の気温が下がってきて、身体を動かすのも楽になります。

 

 今年の夏は異常な酷暑でしたから、朝夕のジョギング等も「熱中症の危険がある」として控えていた方が多いでしょうが、そろそろ運動習慣を取り戻しておくことが重要です。

 

 気温の変化を確かめながら、早朝や夕方のジョギング・ウォーキングなどを復活しましょう。公園などで行われている太極拳などのグループに参加するのも効果的です。

 

 早朝の太陽光線を浴びることは、自律神経の働きを高めるので、バテ予防にもなります。

荷物持ち上げ時の正しい姿勢

■運動をする上での注意ポイント

 

 早朝に運動する場合の注意ポイントは、血圧の管理です。

 中高年や肥満の方で高血圧症・高脂血症などと診断されている方は、起床後すぐの運動は避けて、30分から1時間ほどお茶を飲んだり軽い食事をして体調を整えてから運動する方が良いと言われています。

 

 起床後すぐの激しい運動が、脳梗塞や心筋梗塞に結びつくことがありますので、持病のある方は警戒しましょう。

 

 なお、夕方の運動は夕食後に行う方がカロリー消費上はよいとされています。

 運動してから食事をすることは筋肉へのタンパク質の吸収などには適していますが、お腹が空いてご飯を食べ過ぎるなどカロリーを摂り過ぎると、あとは寝るだけですので肥満防止にはあまり結びつかないからです。

 

 運動前に夕食をとり、運動後は豆乳やヨーグルトなどによるタンパク質摂取がよいでしょう。

※この記事は厚生労働省の「e-ヘルスネット/身体活動・運動」 等の情報ページを参考にしました。

  

その他の管理・指導項目

強風時の横転
イラストは気象庁提供/リーフレット「雨と風」より

■異常気象時の通行経路を確認しておこう

 

 9月は台風などの通過が多く、気圧配置が変化しやすいのでに注意が必要です。

 豪雨によって、通行できなくなる道路も出てきますので、経路の確認を徹底しましょう。

 高架下のアンダーパスなど、水没する危険のある経路は事前にチェックしておき、通勤や配達などで使用しないよう指示してください。

 

 また、過去に強風による事故なども発生しています。気象予報に注意し最大瞬間風速をチェックして、風速30m/s 以上になれば、トラックでも横転する危険があることを念頭におき、無理な運行は慎むようにしましょう。

■50ミリ以上の雨で運転は危険

30m/s の風速では横転の危険が


 ●上表は、気象庁作成の基準によります。詳しくは → 天気予報等で用いる用語を参照

  

事業用自動車の運行管理者のみなさんへ

■重点的な車両点検整備を実施しよう

■大型自動車への重点点検指導

 9月は「自動車点検整備推進運動強化月間」です。

 とくに乗車定員30名以上の大型バスを運行するバス事業者や事業用トラックを50台以上使用する運送事業者は、大型自動車の重点点検を行い、その結果を報告するよう地元の運輸支局から注意喚起が行なわれます(重点点検期間は11月末までですので、3か月定期点検結果も報告します)。

 これ以外の事業者も自主点検に取り組みましょう。

 

 とくに、点検整備ミスによるバスの火災事故、車体腐食事故、大型車のホイール破損・車輪脱落事故ブレーキペダルの戻り不良による火災事故等が発生しています。

 日常点検整備、定期点検時における以下のような重点チェックを促しています。 

■重点点検項目 ■点検箇所

 タイヤ・

 ホイール

 タイヤの摩耗・亀裂・残り溝等
 ホイールナット、ボルトの緩み・損傷
 エンジン  燃料漏れ
 電気装置  配線接続部の緩み、損傷
 ブレーキホース・バルブ  ブレーキ液漏れ、損傷及び取り付け状態
 ブレーキ・ペダル

 ペダルの遊び、踏み込んだときの床板とのすき間等、

 ペダルの戻りは正常か、泥・砂などの付着はないか

 車枠・車体(バスのみ)

 ターボチャージャー(〃)

 非常口の扉の機能/緩み及び損傷

 タービンロータの回転具合など(メーカー指定)

 ※車両火災防止やホイールボルトのメンテナンスについては日本自動車工業会のWEBサイトも参照 

【トラック運送事業の運行管理者向け】

点呼時の確認事項追加「睡眠不足」

改善基準告示を守ろう

 

■多くの事業者が違反

 過労運転事故などの防止のため、近年、貨物自動車運送事業者への処分が厳しくなっています。

 とくに重視されているのは、改善基準告示違反により、乗務時間や拘束時間が大幅に超過している事業者です。

 厚生労働省の調査でも監督・指導を受けたトラック事業者の69%に改善基準告示違反が見られました。

 

 著しい違反の事業者について、30日間の事業停止処分を受ける例が目立っています。

 下表は、30日以上の処分を受けた運送事業者の一部ですが、昨年の9月以降、今年春までに多くの事業所が厳しい処分を受けています。

 点呼の実施義務や健康診断の受診義務などに違反して処分を受けている例もあります。

 

 乗務・拘束などの労働時間に関しては、荷主と交渉して集荷待ち時間を削減したり、運転者一人あたりの拘束時間を平準化して、基準告示の範囲内に留めるよう努力しましょう。 

 

■30日間の事業停止処分を受けた事業者の例(2017年9月以降)

【バス運送事業の運行管理者向け】

指導・監督違反を防ぎましょう

 

■貸切バスの巡回指導に備えて運行管理を見直そう

バス事業所のための点呼と指導・監督

 2017年8月以降、貸切バスに関しては適正化機関の巡回指導が行われています。

 運輸局の監査官は重大事故や違反を起こした貸切バス事業者を中心とした監査を行っています。

 

 貸切の巡回指導に関しては以下のポイントが重点的に調査されます。

 

 ①.事業計画等(営業所・車庫の位置等)

 ②.帳票類の整備・報告等 

 ③.運行管理等

 ④.運送引受書及び営業区域・運賃

 ⑤.車両管理等 

 ⑥.労働基準法の遵守状況

 ⑦.任意保険加入 

 ⑧.苦情処理への対処 

 ⑨.運輸安全マネジメントの取り組み

  (参考資料/東北貸切バス適正化センター「巡回指導実施結果2018.4.25公表」)

 

 ちなみに、東北貸切バス適正化センターの指摘事項結果によると、運行管理面での指摘が全体の62.0%とトップを占め、ついで、帳票類の整備・報告等が13.4%、運送引受書及び営業区域・運賃が11.8%となっています。やはり、点呼や運行指示の内容、乗務員への指導・監督、交替運転者、休息期間・休憩時間など運行管理の基本で指摘が多いと思われます。

■乗合バスの集中監査に備えよう

 乗合バスに対しては、各運輸局が集中指導期間を設けて、監査を実施しています。

 主な監査対象は、重大事故・違反を起こした事業者のほか、新規認可事業者、長期間監査を実施していない事業者です。

 

 重点監査項目としては、以下のポイントが挙げられます。

 ①.点呼の確実な実施及びアルコール検知器の適正な保守管理

 ②.運転者の指導監督及び健康診断、適性診断の受診及びその結果に基づく指導

 ③.運転者の勤務時間及び乗務時間の設定、及びこれにかかる法令等の遵守

 ④.車両の点検及び整備の実施

 ⑤.運行管理者講習の受講

  (参考資料/中部運輸局「乗合バス事業者に対する集中監査について 2018.6.26公表」)

 

 中部運輸局による主な違反の指摘項目では、「指導・監督違反」「乗務記録違反」「乗務員台帳」などが目立っています。

 2018年度は「指導及び監督の指針」が6月に改正されていますので、乗務員の指導・監督に関しては厳しく調査されると考えられます。準備を怠らないようにしましょう。

  

9月の安全運転管理ごよみ/2018年(平成30年)

日  付 行 事 等

 8月30日

 ~5日(水)

・防災週間──防災の日をはさみ防災に関する知識を普及・啓発するとともに、防災行動へと結びつける取組みが全国各地で行われ、異常気象時における通行規制図などが自治体から配布されます。

 1日(土)~

 30日(

・「全国労働衛生週間の準備期間」──来月1日~7日に実施される全国

 労働衛生週間の実効を上げるため、準備を行います。

 平成30年度 労働衛生週間スローガン  

 「こころとからだの健康づくり みんなで進める働き方改革」

 ※詳しくは、中災防のホームページを参照してください。

 1日()~

 30日(

・「自賠責制度広報啓発運動」──国土交通省などが主唱。自賠責保険・共済の重要性について積極的にPRします。特に原付バイクユーザーが無保険で走行しないように注意喚起をしましょう。

 1日(土)~

 30

・自動車点検整備推進運動強化月間 ──9月~10月の2か月間、国土交通省が点検・整備の重要性を呼びかけています(9月は、全国統一強化月間。翌10月は各地方が独自に設定する地方独自強化月間とし、都道府県トラック協会・バス協会や整備振興会などの自動車関係団体を中心に点検整備の取組みを推進します)。

 1日(土)

・防災の日──関東大震災(1923年)を教訓とし、防災意識を高めるために1960年(昭和35年)に制定されました。

 3日

・睡眠の日──「グ(9)ッスリー(3)」眠るからの語呂合わせです。日本人の睡眠時間は減少傾向にあります。8月27日から9月10日までは睡眠健康週間が実施されます。

 4日(火)~

 11月 

過重労働解消のためのセミナー(厚生労働省委託事業)──長時間労働削減対策などに必要な知識やノウハウ、取り組み事例の紹介。各都道府県別に各回100名定員で開催(大都市圏は複数回実施)されます。

 詳しくは、過重労働解消セミナー運営事務局のWEBサイトを参照してください。

 8日(土) ・白露
 9日( ・救急の日(平成29年の救急医療週間は3日~9日)

 10日(

 

・交通安全ファミリー作文コンクールの募集 

 (6月20日より募集、応募締切は9月10日──詳しくは、警察庁のWEBサイトを参照)

 10日(

・世界自殺予防デー──10日から16日までは自殺予防週間。悩みを抱えた人がいないかに気づき、援助が受けられるよう努力しましょう。長時間労働に配慮することも大切です。日本は年間1万人以上の自殺者がいる世界上位10か国に入り、平成29年中には21,321人の方が自殺で亡くなっています。

 11日(火) ・9月の製品安全点検日

──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。

 17日( ・敬老の日
 17日(

・日本交通医学工学研究会 第27回学術総会

 メインテーマ:身体能力維持向上に貢献するモビリティ

 会場:名古屋大学(東山キャンパス 野依記念学術交流館)

 ──身体能力と交通安全/身体能力向上・維持のメカニズム 

   などのシンポジウム あり

   詳しくは、同研究会のWEBサイトを参照してください。

 20日(木) バスの日──1903年(明治36年)のこの日、京都市で日本で初めてバス会社が本格的な乗合自動車の営業を開始したことに由来します。日本バス協会が「バスフェスタ」を開催します。

 21日(金)

 ~30日(

・秋の全国交通安全運動──交通安全運動の推進要綱については内閣府のWEBサイトを参照してください。

 23日

・秋分の日

 23日

・第33回 全国フォークリフト運転競技大会

 主催:陸上貨物運送事業労働災害防止協会

 会場:中部トラック総合研修センター

    (愛知県みよし市福谷町西ノ洞21-127)

 24日

・振替休日

 30日(

交通事故死ゼロを目指す日

 30日( クレーンの日──クレーン協会等がクレーン等の安全規則を公布したことを記念して、昭和55年に制定されました。  

    詳しくは、同協会のホームページを参照して下さい。  

 9月30日

 

・夏の省エネキャンペーン──6月より実施エネルギー消費の大きなピークの季節を迎え、省エネキャンペーンが行われています。

   
 9月上旬 「自動車点検整備推進運動(9月実施)」の広報
 9月中旬~下旬 ・平成30年8月末における交通死亡事故発生状況(警察庁)

 9月中旬~

 12月中旬

荷主等の事業場の担当者への安全衛生教育講習会

  (陸災防各都道府県支部)

 9月下旬

平成30年7月分 トラック輸送情報国土交通省

 

 ◆9月の日没時刻国立天文台天文情報センターによる)

1(土) 福岡 18:45

大阪 18:25

東京 18:09

札幌 18:10

 15(土

福岡 18:26 大阪 18:06 東京 17:49 札幌 17:46

 30(日)

福岡 18:05

大阪 17:44

東京 17:27

札幌 17:19

早めのライト点灯で事故防止
「早めにつけよう おもいやりライト
 運動に取り組みましょう!

 9月は日没時刻がどんどん早くなっています。帰宅時間帯の夕方が暗くなる時期ほど事故が増えると言われています。早めの点灯を意識して、歩行者や自転車の見落としを意識してください。

 

 早めに点灯するあなたの思いやりが、交通事故減少に結びつきます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯するとともに、夕刻に増える交通参加者を警戒して運転してください。

 
 「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。


 詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください

 

 また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
 JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。

 ※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください

 
今日の安全スローガン
今日の朝礼話題

10月30日(水)

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