荷主による低運賃や違反運転を強いる発注などをなくして、トラック運転者の労働環境を改善するため、議員立法による改正貨物自動車運送事業法が国会で成立し、12月14日に公布されました。
今回の改正により、荷主が不当に安い運賃で配送させるのを防ぐため、国土交通相が標準的な運賃を定めて告示できる制度が創設されます。
また、過労運転や過積載につながる発注をしないよう、荷主の配慮義務が規定されました。
荷主が配慮を怠ったり違法な運転をさせた疑いがある場合は国土交通相が荷主情報を農水、経産、厚労各大臣と共有し、公正取引委員会への通知や荷主に改善を要請できる仕組みも設けられました。
一方、貨物運送事業者の新規事業参入の許可基準として、車両を確実に点検・整備して安全を確保する能力があることや、十分な車両数や車庫の広さ、資金があることなどが明記されました。過労運転防止に必要な措置、人員の確保等の遵守事項も明確化しました。
さらに、法令に違反して事業許可を取り消された場合、再参入できない期間(欠格期間)が貸切バス同様に改正前の2年から5年に延長され、実質的グループ会社参入もブロックされます。
※ 法律施行日は、公布日から起算して1年6か月を超えない範囲内で施行することが決まっています。ただし、荷主への対策関連部分は、2019年7月1日より施行されます。
また、標準的な運賃の告示は公布日から起算して2年を超えない範囲内で施行されます。
●貨物自動車運送事業法の改正ポイント(3,4を除き、2020年6月14日までに施行)
改正ポイント1──運転者の労働環境の改善 | |
● |
過労運転等を防ぐための必要な事項の遵守、荷役・運転にかかる人員の確保 |
● |
休憩・睡眠施設の整備と管理等の明確化 |
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健康保険未加入等に対する改善命令 |
● | 車庫の整備と管理に関する事項遵守の明確化 |
改正ポイント2──悪質な事業者の排除 | |
● | 行政処分による事業取消し後の欠格期間を5年に延長(現行2年) |
● | 欠格事由の新設で参入規制を厳格化──処分逃れの自主廃業や親会社など密接関係者は制限 |
● | 休廃業の30日前事前届出制を導入(現行は廃業後30日以内に届出) |
改正ポイント3──荷主対策の強化(2019年7月1日施行) | |
● | 法令順守できるように荷主の配慮義務を新設 |
● | 国交相による悪質な荷主への働き掛けなどの規定を新設(2023年度末までの時限措置) |
● | 既存の荷主勧告制度について、対象の拡大など制度の強化を図る |
改正ポイント4──標準運賃の告示制度を導入(2020年12月14日までに施行) | |
● | 国土交通省が「法令順守可能な」標準的運賃を告示(2023年度末までの時限措置) |
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■2017年3月12日改正指針に準拠
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2017年3月に改正されたトラック運送事業者のための指導監督指針12項目に準拠し、教育記録簿用紙も添付しています。
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