■路線バスが対向車線を逆走
さる4月10日、国土交通省が全国のバス事業者に対して、「バスの対向車線走行事案などを踏まえた指導・監督の徹底について」と第する通達を発して注意を促しています。
これは、4月5日に東京都足立区で同区に本社を置く路線バス会社のバスが続けて2台、渋滞した車線の車列を避けて対向車線を逆走した事案が発生したことに基づくものです。
路線バスが対向車線を走行しながら交差点を右折する様子が、一般車両のドライブレコーダーに撮影され、その映像がテレビのニュースで放映されました。
またその後、映像は動画サイトなどにアップされて「この会社のバスは常習的に対向車線を逆走しているのではないか」と話題になりました。
■発車時刻の遅延を恐れて、交差点を早く通過しようとした
問題の交差点は、踏切の手前で渋滞が常態化していてバスの定時運行に支障が生じることがあり、バス運転者は「次のバス停の発車時刻に間に合うように」と考え、なるべく早く交差点を通過しようと、渋滞した車列を避け対向車線に出て追い越し、そのまま交差点で右折していた模様です。
しかし、こうした行為は公共交通として許されない走行であり、対向車線の車との衝突事故を誘発する恐れがあるため、国土交通省では全国のバス事業者に指導の徹底を呼びかけたものです。路線バスでは運行の遅延を回復しようとして無理な運転をすることがないよう指導が重要です。
その後、当該の路線バス会社は、再発防止指導はもちろんのこと、違反発生個所付近に当面警備員1名を配置して運転者に注意喚起を図るとともに、道路渋滞状況の点検と運行時刻の調整等を実施したということです。
国土交通省の通達(国自安第1号,2019.4.10)には、以下の点が強調されています。
★定時性や利用者利便を優先するあまり、輸送の安全がおろそかになる事態は厳に回避する。
★運転者に対して、指導・監督の指針に基づく指導を徹底する。
とくに、
→ 運行時間に気を取られ急いだり、あせったりという運転は、スピード超過、強引な追越
し、一時停止の無視などの危険な運転をしがちとなることを確実に理解させる。
→ 気持ちを抑え、安全運行を第一とすることが大切であることを認識させる。
■2018年6月1日改正の新指針に準拠
「バス運行管理者のための指導・監督ツール」は、運転者に指導する際の資料として、「運転者用資料」を39枚収録した運行管理者のための指導教材です。
言葉だけでは伝わりにくい安全運転のポイントを漫画とイラストで具体的に解説し、3つのキーワードで印象づける内容です。
点呼時やドライバーミーティングなどの短い時間でも、運行上の危険や安全運転ポイントを指導することができます。
2018年6月に公布された一般バス事業者のための指導監督指針11項目、貸切バス事業者向け2項目の指針計13項目に準拠し、教育記録簿用紙も添付しています。