6月の運転管理──2019年(令和元年)

■雨の日の事故を防ごう


4月の安全運転管理

 6月の陰暦の呼称は「水無月」ですが、無は「の」をさし、「水の月」の意味を示すという説が有力です。実際にもうすぐ梅雨が始まりますので、水に関わる事故防止をすすめることが大切です。

 

 車両管理面では、タイヤの残り溝や空気圧の点検が重要です。ワイパーの交換なども済ませておきましょう。

 

 雨天時の事故防止には、車間距離の確保といつも以上に細かい危険予測が必要です。運転者の意識喚起をはかりましょう。

 また、6月は熱中症により救急搬送される人が増加します。職場の熱中症予防を徹底しましょう。 

  

6月の安全運転目標/運転者の皆さんへ

雨の日は危険予測を強く意識しよう

■思わぬ行動をする歩行者・自転車

雨の自転車事故
自転車もスリップすれば止まりにくい!

 雨が降ると、視界が悪化して滑りやすくなりますが、これは車だけでなく、歩行者や自転車も同じです。

 歩行者が滑って車道側に転んだり、自転車がよろけるといった危険があります。

 原付きバイクも白線の上などでスリップしやすく、雨の日に大型車に接触して後部車輪に巻き込まれるといった事故が起こっています。

 ですから、いつも以上に危険予測が重要となってきます。

 

 「傘をさしたあの自転車は電柱に接触するかもしれない」という意識を強くもてば、距離をとるようになり、事故を未然に防ぐことができます。

 

 目に見える危険だけでなく、駐車車両の陰から横断する歩行者が「濡れたくない」心理にかられて走って横断するといったこともイメージして走行しましょう。

■チェックリストを見て自己反省しましょう

子供の飛出し

 雨の日の心構えは万全ですか?以下のリストにハイ・イイエで答えてみてください。 

  • 雨の日は意識して速度を落としている        → ハイ・イイエ 
  • 雨の日は前方を走る二輪車の転倒を予測する        → ハイ・イイエ
  • 遠方が見えない豪雨に遭遇したら、安全な場所に停車してやり過ごす                     → ハイ・イイエ 
  • 傘をさして走行している自転車に注意を払う    → ハイ・イイエ 
  • 歩行者が多い場所では、濡れるのを嫌った歩行者の飛出しを警戒する                        → ハイ・イイエ 
  • 降り始めが滑りやすいので、慎重に操作する       → ハイ・イイエ 

  

月の重点管理目標/管理者の皆さんへ

車両の足回り等の管理・指導を徹底しよう

タイヤの残り溝を意識させる

タイヤ残り溝と制動距離
図はブリヂストンの実験データより

  タイヤの残り溝が1.6mm未満になると車検を通りませんので、当然交換するべきです。しかしそれ以上溝があっても、雨の続くこの季節には残り溝を意識しておくべきです。

 

 一般的に新品タイヤは8mmの溝があります。タイヤ溝の大きな役割は排水機能ですが、これが減ってきて4mm未満になると、急に排水性能が落ちてくるというデータがあります。

 

 湿潤時の制動距離を調べた実験では8mmから4mmまではほとんど変化がないものの、50%を下回る4mm未満では、急激に制動距離が低下しています。

 

 このためタイヤ販売店などは、4mmを境に交換をすすめることが多いのです。

 

 事業所では、どの段階でタイヤ交換をするかについて、経済的な判断理由があることと思われますが、タイヤの残り溝を運転者に計測させて、4mmを下回ったタイヤは制動距離などが長くなっていることを運転者に指導してください。

 残り溝の少ない車に乗る場合、雨の日はより車間距離をとって早めに速度を落とす必要があること、ブレーキが効きにくいこと、カーブでスピードを出しすぎないことなど、運転時に気をつけるべきポイントを徹底しておきましょう。

 

空気圧の管理も徹底する

ハイドロプレーニング現象

 タイヤをみる上でもうひとつ重要な点は空気圧です。

 晴天であっても、タイヤの空気圧不足は燃費が低下するために問題ですが、雨天時は空気圧不足によりハイドロプレーニング現象などが起こりやすくなることを意識させましょう。

 

 ハイドロプレーニング現象は、路面に溜まった水の量がタイヤの排水能力を超えた場合に発生しますので、もちろん4mm未満の残り溝のタイヤは危険です。

 

 さらに、この現象が発生する速度が、負荷荷重とは無関係にタイヤの空気圧に関係するという研究があります。

 空気圧が下がるとタイヤと路面の接地面積が大きくなり、接地圧が低下するためにタイヤと路面の間の水を排水しきれなくなるため、より遅い速度でもハイドロプレーニング現象が発生しやすくなるのです。

 

 つまり残り溝がある車でも、強い雨で路面の水分が多い場合、空気圧の低下がハイドロプレーニング現象発生の危険を招く恐れがあります。

  

6月の健康管理目標/従業員の皆さんへ

熱中症の危険を意識しよう

メタボリックシンドローム

■6月でも5千人が救急搬送!

 

 6月は全国的に気温が上昇し、熱中症で倒れたり病院に搬送される人が増えてきます。

 記録的猛暑となった昨年(2018)は、6月に全国で熱中症による救急搬送人数が5,269人あり、前年6月の救急搬送人数より1,788人も増加しました(消防庁調べ)。

 

 今年6月は平年より若干高くなるか平年並みの予報で昨年ほど災害級の暑さとなる気配はありませんが、6月はまだ身体が暑さに慣れていない時期ですので注意が必要です。

 なお、温度が30℃以下でも湿度が高いと熱中症の危険がありますので気をつけてください。

 

 熱中症になると、めまいがしたり、頭が痛くなったり、吐き気、嘔吐感を催したり、筋肉が痙攣したりして、一時的に意識を失うことさえあります。

 一般的に高齢者や子どもが罹りやすいのですが、長距離を運転するドライバーもリスクが高いと言われています。 

 

熱中症を予防

【熱中症予防のポイント】

 

 ●湿度、温度等をこまめにチェック! 

 ●28°Cを超えないように、エアコンを使う

 ●のどが渇く前に水分補給!

 ●のどが渇かなくてもこまめに水分補給!

 ●塩飴などで適度な塩分補給!

 ●車外での作業は涼しい服装で日よけ対策

 ●無理をせず、適度に日陰で休憩をとる!

 ●日頃から栄養バランスの良い食事

 ●十分な睡眠で体力づくり

 

 熱中症を予防するためには、上記のポイントとともに、暑さ指数(WBGT)に注意することが大切です。 

 

 暑さ指数は、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、熱中症に影響を与える、①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)などの熱環境、 ③気温の3つを考慮して決められます。

 天気予報などでこの指数に基づいて説明する機会が多くなっています。外気温がそれほど上がらない日でも、日差しの強い環境や湿度の高い場所では気をつけておきましょう。

 

 少しでも気分が悪くなったら、すぐにエアコンのある涼しい場所で休憩することが大切です。

  

 *熱中症参考WEBサイト → 環境省「熱中症予防情報」 

  

その他の管理・指導項目

■6月は全国安全週間の準備期間

全国安全週間準備期間
6月は安全週間の準備期間です

安全週間に向けて安全パトロール

 

 6月の30日間は、7月1日から実施される全国安全週間の実効を上げるための準備期間となっています。

 職場の安全総点検を実施してください。

 

 交通事故災害については、事例の原因分析を行って、運転者と管理部門の担当者が事故情報を共有するように努めましょう。また、事業所周辺の事故多発マップなどを配布しておくことも効果的です。

 

 事故は構内や作業現場でも発生しています。

 車を誘導する作業員がひかれたり、後ろを見ないで車を誘導していて誘導者が暗渠に転落するといった事故が起こっています。

 荷積み場所や倉庫における荷役災害などでも死亡・重傷災害が発生しますので、墜落・転落事故やフォークリフト事故防止のための資料を作成しましょう。

 

 このほか、最近は大雨や暴風による被害が増えています。台風や集中豪雨シーズンを迎える前の今の時期に、車庫の屋根や扉の取付部に問題はないか、駐車場排水桝の雨水排水機能が十分にあるか、増水時の避難場所を周知してあるかなど防災危険点検を実施することも大切です。

  

事業用自動車の運行管理者のみなさんへ

■睡眠不足や覚低走行に注意しよう

■点呼時のチェックと指導を徹底

 

 2018年6月に運輸規則・輸送安全規則が改正され、事業用自動車運転者の過労・居眠運転事故防止のために「睡眠不足」が乗務禁止事由として追加されました。

 早くも1年が経過しましたが、依然として居眠運転などによる交通事故が多発しています。

 点呼時における「睡眠不足の有無」のチェックと運転者への指導は万全か、現場の意識を点検しましょう。

 

 また、ひどい睡眠不足がない場合でも、午後の早い時間帯には生理的な眠気に陥ることがあります。

 無理をしないで、眠いときはSAなどですぐに休憩することを指導しましょう。

 

 なお、居眠運転防止のため、最近は様々な業者がサポートグッズ・アプリなどを開発しています。ハード面の援助も重要ですので管理者は参考にしてください。

 

●眼鏡メーカーの居眠りチェックアプリ 

──専用の眼鏡が運転者の頭部の運動をチェックして居眠りに陥っていないかスマートフォンアプリで警告する。(「眼鏡 居眠り予測 アプリ」でネットを検索)

測定センサーによる居眠運転警報

──腕時計のようなセンサーを使って運転者の心拍などバイタルデータを計測し、居眠り運転の危険を検知すると、アプリで警告。さらに異常値や眠気を複数回検知した場合、二次予防として運行管理者へ強制的に通知する。(「センサー 居眠運転 警報」で検索)

耳からの情報で居眠運転警報

──本体を首から掛け耳にセンサーを入れる形式の端末。耳たぶ血管から運転者の脈波データをとり眠気を検知、音声や振動で耳から警告するとともに運行管理者への通知もできる。収集データを運転者ごとに分析して指導に活かすことも可能。(「耳 ドライバー支援 センサー」で検索) 

  

6月の安全運転管理ごよみ──2019年(令和元年)

日  付 行 事 等

 1日)~

 30日(

・全国安全週間準備期間

 6月は、来月1日から実施される全国安全週間の実効を上げるための準備期間です。総合的な安全活動の総点検を行いましょう。

■2019年度 安全週間スローガン

 「新たな時代に PDCA みんなで築こう ゼロ災職場

 詳しくは厚生労働省中央労働災害防止協会サイトを参照。

 1日)~

 30日(

不正改造車を排除する運動強化月間──毎年6月は、交通の安全確保と公害を防止するため、車の不正改造の取締りを特に厳しくする強化月間です。違法マフラー等悪質な不正改造の排除に向けた街頭検査などが実施されます。

 1日)~

 30日(

・環境月間──6月5日の環境の日(世界環境デー)を含む1か月間は、「環境月間」となっています。エコライフ・フェア2019(1日、2日)など各地で環境イベントが実施されます。

 1日

 7日(金)

・がけ崩れ防災週間──国土交通省が制定。がけ崩れによる災害防止に関する意識啓発や情報提供を強化します。地震や大雨被害のあった地域はもちろん、土砂災害特別警戒区域に指定されている地域では、日頃から警戒が必要です。

 2日 

 8

・危険物安全週間 ──消防庁が制定し、毎年6月の第2週(日曜日から土曜日までの1週間)、ガソリン等の危険物の自主保安体制の確立を呼びかけています。

■2019年度 推進標語

 「無事故への 構え一分の 隙も無く」 

  詳しくは(財)全国危険物安全協会のWEBサイトを参照。

 5日(水 ・世界環境デー環境の日・World Environment Day
 5日(水 ・東名あおり運転事故から2年──2017年6月5日、パーキングエリアで注意されたことに腹をたてた運転者が、ワゴン車に対しあおり運転を繰り返し、東名高速道路の追越車線に停車させ、そこにトラックが追突、ワゴン車の運転者夫婦が死亡する事故が発生しました。運転者は危険運転致死傷罪で懲役18年の刑を言い渡されました。警察庁は「あおり運転」に対する取締りや処分を厳しくする方針を明確にしました。
 6日(木 ・ワイパーの日──日本ワイパーブレード連合会が制定しました。安全な視界確保のため年1回のワイパー点検を奨励しています。

 6日(木

 7日(金)

運輸交通システムEXPO in関西 2019

 事業用自動車ドライバーの安全運転、事故防止、省エネ運行、健康管理のためのシステムや製品、技術を集めて紹介する催しの関西版。

 於:インテックス大阪/主催:運輸・交通システムEXPO実行委員会

  ※詳しくは、イベントのWEBサイトを参照してください。

 ~7日(金) 運行管理者試験(2019年度第1回)の申請締切

 ※インターネットによる電子申請は、6月18日(火)まで

 おまかせ申請(6月13日まで)も可能です

 試験日:2019年8月25日(日)

 11日(火 ・入梅(暦の上での梅雨入り)
 11日(火) ・6月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。
 15日)~

・乗務記録の対象に「荷役作業等」を追加─改正輸送安全規則の施行

 5月10日に交付された貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正に伴い、乗務記録の内容に「集荷地点等」 「荷役作業の内容及び開始・終了日時」 「荷主の確認の有無」 などが追加されます。

 契約に定めのない荷役作業の発生により運行計画が崩れトラック運転者の長時間労働が発生するのを防止するのが目的です。

 16日 ・父の日(6月第3日曜日)

 20日(木)~

 7月19日

「ダメ。ゼッタイ」普及運動──麻薬・大麻・危険ドラッグ等の薬物乱用を防止するため、「公益財団法人 麻薬・覚せい剤乱用防止センター」による広報・啓発活動が展開されます。
 20日(木)

 9月10日

・交通安全ファミリー作文コンクールの募集  

(応募締切は9月10日──詳しくは、警察庁のWEBサイトを参照)

 20日(木)

 ~21日(金)

・第55回 日本交通科学学会総会・学術講演会

 ─目指せ、世界一の交通安全社会!─

 会 場:八王子市学園都市センター

     (東京都八王子市旭町9-1)

 大会長:益子邦洋(医療法人社団永生会 南多摩病院 院長)

 詳しくは、同学会のWEBサイトを参照してください。

 22日(土)

・夏至──北半球ではこの日が1年のうちで最も昼の時間(日の出から日没まで)が長くなります。

 24日(

・池袋危険ドラッグ暴走事故から5年──2014年6月24日、池袋駅西口付近の路上で、暴走したRVが歩行者に突っ込み7人が死傷する事故が起こりました。RVの運転者は脱法ハーブを吸った直後に運転し、意識が朦朧とした状態で事故を起こしました。この前後に同種の事故が多発、事故当時は法規制にかからない「脱法ドラッグ」も多数ありましたが、同年7月15日に指定薬物の省令が改正され取締りが強化されました。

 25日

・指定自動車教習所の日──全日本指定自動車教習所協会連合会が制定。1960年のこの日、改正道路交通法が施行され公安委員会が指定した自動車教習所を卒業すると運転免許取得時の技能試験が免除される制度が定められました。「625ムジコ=無事故」の語呂合わせにもなっています。

 28日(金)

雨の特異日──前後数日間も、1年で最も雨の降る確率が高くなっており、東京では53%の確率で雨が降ると言われています。

 30

・御堂筋「低血糖事故」から5年──2014年6月30日、低血糖症による意識障害から、男性がワゴン車を運転して3人に重軽傷を負わせる事故が発生、運転者は禁錮1年6月執行猶予3年の刑を受けました。

   

 5月9月

・「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」期間 

 厚生労働省が主唱する今年の熱中症予防対策キャンペーンは、2019年5月1日から9月30日まで。政府全体の取組みである熱中症予防強化月間の7月を重点取組期間としています。 

 6月1日

 9月30日

・夏の省エネキャンペーン──エネルギー消費の大きなピークの季節を迎え、省エネキャンペーンが行われます。

 6月上旬

・全国トラックドライバー・コンテスト実施要綱の公表(全ト協)

 6月中旬 2019年5月末までの交通事故発生状況発表(警察庁
 6月下旬

2019年4月分 トラック輸送情報国土交通省

 

 ◆6月の日没時刻(2019年:国立天文台天文情報センターによる)

1日(土) 福岡 19:23

大阪 19:06

東京 18:51 札幌 19:07

 15日

福岡 19:30 大阪 19:13

東京 18:58

札幌 19:16
30日( 福岡 19:33

大阪 19:15

東京 19:01

札幌 19:18
早めのライト点灯で事故防止
「早めにつけよう おもいやりライト
 運動に取り組みましょう!

 6月22日の夏至前後はもっとも日が長く、多くの地域で日の入り時刻は19時台ですが、雨の多い時期で夕刻は意外に暗いものですので、早めのライト活用を意識しましょう。

 歩行者や自転車との事故防止のために、点灯して互いに早期発見をする意識を持ってください。

 

 早めに点灯するあなたの思いやりが、交通事故減少に結びつきます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯するとともに、夕刻に増える交通参加者を警戒して運転してください。

 
 「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。


 詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください

 

 また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
 JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。

 ※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください

 
今日の安全スローガン
今日の朝礼話題

12月23日(月)

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