荷主による低運賃での運行や長時間労働を強いる発注などをなくして、トラック運転者の労働環境を改善するために改正された貨物自動車運送事業法は、2018年12月14日に公布されました。
改正のねらいは、トラック事業者が運転者の働き方改革を進めてコンプライアンスが確保できるようにするため、労働環境改善の規定を定めるとともに、荷主が不当に安い運賃で配送させたり過労運転を招く発注をすることを防ぐ目的があります。
このうち、荷主が過労運転や過積載につながる発注をしないよう配慮する責務規定や、国土交通大臣による荷主への「働きかけ規定」など、まず荷主対策に関連した部分が2019年7月1日に施行されます。
※詳しくは国土交通省WEBサイトを参照してください。概要リーフレット等がダウンロードできます。
●今回施行される主なポイント | |
荷主対策の強化(2019年7月1日施行) | |
荷主の配慮義務を 新設 |
荷主は「トラック運送事業者が法令を遵守して事業を遂行できるよう、必 要な配慮をしなければならないこととする」責務規定を新設 |
荷主への勧告制度を拡充 |
荷主に対して勧告を行った場合には、その旨を公表することを法律に明記 するとともに、荷主勧告制度の対象に貨物軽自動車運送事業者を追加 |
国交相による働きかけ規定の新設 (2023年度末までの 時限措置) |
1)国土交通大臣は、トラック運送事業者の法令違反の原因となる恐れの ある行為(違反原因行為)をしている疑いのある荷主に対して、荷主の所 管省庁等と連携して事業者のコンプライアンス確保には荷主の配慮が重要 であることについて理解を求める「働きかけ」を行う |
2)荷主が違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由がある 場合等には、「要請」や「荷主勧告」「荷主名公表」を行う |
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3)トラック運送事業者に対する荷主の行為が独占禁止法違反の疑いがある場合には、「公正取引委員会に通知」する |
※「違反の原因となる恐れのある荷主の行為」の例
● 荷主管理の荷捌き場での恒常的な荷待ち時間の発生
● 荷主都合で出発が遅延しても到着時刻を変更しないなど、非合理な到着時刻の設定
● 重量違反等となるような貨物積載の依頼
● 悪天候にもかかわらず運行の強要をする行為──等
■国土交通省の改正概要リーフレットより
■貨物自動車運送事業法の主な改正内容(2018年12月14日公布)
改正ポイント1──運転者の労働環境の改善(2019年11月1日に施行予定) | |
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過労運転等を防ぐための必要な事項の遵守、荷役・運転にかかる人員の確保 |
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休憩・睡眠施設の整備と管理等の明確化 |
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健康保険未加入等に対する改善命令 |
● | 車庫の整備と管理に関する事項遵守の明確化 |
改正ポイント2──悪質な事業者の排除(2019年11月1日に施行予定) | |
● | 行政処分による事業取消し後の欠格期間を5年に延長(現行2年) |
● | 欠格事由の新設で参入規制を厳格化──処分逃れの自主廃業や親会社など密接関係者は制限 |
● | 休廃業の30日前事前届出制を導入(現行は廃業後30日以内に届出) |
改正ポイント3──荷主対策の強化(2019年7月1日施行) | |
● | 法令順守できるように荷主の配慮義務を新設 |
● | 国交相による悪質な荷主への働き掛けなどの規定を新設(2023年度末までの時限措置) |
● | 既存の荷主勧告制度について、対象の拡大など制度の強化を図る |
改正ポイント4──標準運賃の告示制度を導入(2020年12月14日までに施行) | |
● | 国土交通省が「法令順守可能な」標準的運賃を告示(2023年度末までの時限措置) |
【関連記事】
★参考ページ★
→ 貨物自動車運送事業法を一部改正(2018.12)
→ 改善基準告示違反で多くの会社が事業停止に(2018.8)
→ 荷主勧告について新しい運用通達を発出(2017.6)
→ 荷主勧告制度が強化されています(2014.8)
■2017年3月12日改正指針に準拠
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2017年3月に改正されたトラック運送事業者のための指導監督指針12項目に準拠し、教育記録簿用紙も添付しています。
管理者向けの指導・監督資料については → こちらを参照