9月は、秋の全国交通安全運動が実施されます。安全活動に参加するなかで、運転者の安全意識の高揚をはかりましょう。
最近の事故報道で目立つのは高齢運転者の運転する車の操作ミスなどによる事故と幼児などの被害ですが、実際の交通事故件数で多いのは、高齢者の被害事故です。
事業所の運転者に対しては高齢者の横断などに十分に注意させてください。
また、9月は台風などの襲来により車の運行にも大きな影響が出る時期です。気象情報に注意し、大雨や暴風時の運行判断をしっかり行いましょう。
9月の重点管理目標 | 全国交通安全運動で安全意識を高めよう
9月の健康管理目標 | 筋力をつけて事故を防ぎましよう
高齢者の右から横断に注意しよう
■横断歩道以外でも歩行者に気を配る
高齢者の横断事故で多いのは、横断歩道以外の場所で横断していて、横断の後半に左から来た車と衝突するケースで、全体の71.8%を占めています。
車から見ると「右から横断」の高齢者と衝突するパターンです。
交通事故総合分析センターが、高齢歩行者と自動車の衝突事故を分析したデータによると(右図)、そのうち高齢者が道路を垂直に横断してぶつかるケースが61.4%と非常に大きな割合を占めています。
高齢者は最短距離を横断しているので、車が通過するまでに横断できるだろうと思っているのですが、タイミング的に接近する車の速度を読み切れていないことがわかります。
■夜間の右から横断に注意
また、事故の発生時間帯を昼と夜で比べてみると、斜め横断を含むいずれのパターンでも、夜間が多いことがわかります。
①の垂直に右から横断するパターンでは、82%が夜間に発生しています。
交差点における横断事故でも、左からくる車と横断の後半で衝突しているケースが66.3%と多くを占め、夜間の割合が73%となっています。
夜間は右から横断してくる高齢者を見落としやすいので、注意が必要です。
対向車線に車のいない状況では、歩行者が横断しやすいと予測し、上向きライトに切り替えて右側にいる高齢歩行者の発見に努めましょう。
■チェックリストを見て運転ぶりを反省し、高齢者との事故防止に努めましょう
全国交通安全運動で安全意識を高めよう
■子どもと高齢者の安全確保を徹底させる
9月は、秋の全国交通安全運動が実施される時期です。社内でもさまざまな交通安全活動を企画し、地域の運動にも積極的に参加して運転者の意識を高めましょう。
今年の運動の実施要項は以下のような内容です。
○運動期間
令和元年9月21日(土)~30日(月)までの10日間
○交通事故死ゼロを目指す日
9月30日(月)
○全国運動重点
※詳しくは、内閣府のWEBサイトを参照してください。
歩行者の安全な横断の確保などをアピール
ある警察署が、交通安全運動の一環として地元のトラック会社とバス会社に協力を依頼し、横断歩道での歩行者優先キャンペーンを実施しました。
地元からバス事業者とトラック運送事業者のそれぞれ2社が参加し、車両の前部に、「秋の全国交通安全運動実施中・横断歩道は完全停止!歩行者優先」と書かれた広い横断布をつけて、通学路の横断歩道前で完全停止して、子どもなどの歩行者とアイコンタクトするイベントを行いました。
このあと車両は小学校の校庭に移動し、警察官主導のもと、子どもたちを順番に運転席に招いて、車の運転席からどんな場所が見えにくいか、死角に入るとどんな危険があるか、実地で体験してもらいました。
小学生との触れ合いは、運転者に大好評で「また、こうした安全運動に協力したい」という意見が聞かれました。
筋力をつけて事故を防ぎましよう
自分自身の筋肉の力がどの程度あるか、正確に知っていますか?
トレーニングジムに行けば、筋力を部位ごとに測ってもらえますが、椅子から立ち上がっては座り込む簡単な運動テストで、筋力の衰えを知ることができます。
なぜ筋力を知ることが大切かというと、常に筋肉の力を維持していかないと、歩幅が狭くなって作業中に転倒しやすくなったり、いざというときに歩道上で自転車などとの衝突を回避できずに怪我をすることが増えるからです。
実は、歩行中事故の多くはこのような筋力の衰えが関係していると考えられていて、運動が奨励される大きな理由の一つが筋肉の衰えを防ぐことなのです。
■運動を維持しないと筋肉量が低下
運動をサボると筋力はかんたんに落ちてしまいます。
デンマーク・コペンハーゲン大学の生物医学科学部が行った実験によると、2週間被験者に運動を制限して調べたところ、平均年齢23歳の若者17人は筋力が平均28%低下し、平均年齢68歳の高齢者15人は平均23%低下したということです(2015年6月に発表)。
もとの筋肉量が多い人ほど減り方が大きく、20代の若者でも2週間体を動かさないと体力が40~50歳代並みに低下することがわかりました。
ただし、若者は運動を再開すると比較的早い時間で元の筋力を取り戻すことができますが、高齢者は失った筋力を回復するのに非常に時間がかかることもわかりました。
※ → Inactivity reduces people’s muscle strength(コペンハーゲン大学のwebサイト)
■安全で自分にあったトレーニングを
筋力や持久力を維持するためには、スクワット、腕立て伏せ、プランク、ダンベル体操などが有効ですが、椅子から立ち上がって、また座る椅子スクワットなどでも十分にトレーニングになります。
要は急に行わず、徐々に負荷を上げながら持続することが重要です。
また、とくに中高年の人に対しては比較的軽めの負荷であっても、ゆっくりと動作することで大きな筋肥大・筋力増強効果を得ることを期待するスロートレーニングが効果的です。
椅子スクワットなども、5秒ぐらいかけてゆっくり立ち上がり、また5秒ぐらいかけてゆっく座り込むことで負荷を高めますが、関節への負担は少なく、トレーニングによる怪我のリスクは減ると言われています。
※この記事は、厚生労働省の運営するe-ヘルスネットを参考に作成しました。
9月1日は防災の日です。この日は関東大震災発生を期して教訓的に制定されたので、地震防災が一つの大きなテーマとなっていますが、実際にこの時期に多いのは、台風などによる豪雨・暴風災害です。
2018年9月4日に日本に上陸した台風第21号は、25年ぶりの非常に強い勢力で近畿地方を中心に甚大な被害を出しました。
高潮は第二室戸台風によって発生した高潮記録を上回り、関西空港では大規模な浸水が発生するなどの被害が出ています。
また、トラックの横転や車の浸水も各地で見られ、飛散した屋根・看板などによる屋内での死亡事故も発生しました。
近畿地方では、いまだに倒木の被害が回復していない地域も多いと思われます。
運転者に対しては、台風接近時など、ラインや災害伝言ダイヤルなどによる連絡を絶やさないように配慮し、早めの避難、運行可否の判断をしてください。
大型自動車の重点点検を実施
国土交通省は毎年9月を自動車点検整備推進運動の強化月間として、広く点検・整備の推進を呼びかけていますが、トラックの車輪脱落事故やバスの車両火災が依然として多発していることから、とくに大型自動車に対しては9月から11月までの3か月間、以下の項目での重点点検を行い点検結果を各運輸支局等に報告するように通知しました。
●対象となる事業者
●実施期間:2019年9月1日(日)から11月30日(土)までの3か月間
●重点点検項目
点検時期 | 3か月点検 | 12か月点検 | |
点検箇所 | |||
原動機 | 燃料装置 | 燃料漏れ | 同左 |
電気装置 | 電気配線 | 接合部の緩み及び損傷 | 同左 |
走行装置 | ホイール | タイヤの状態 | 同左 |
ホイール・ナット及びホイー ル・ボルトの緩み |
ホイール・ナット及びホイー ル・ボルトの損傷 |
||
制動装置 |
ホース及び パイプ |
漏れ、損傷及び取付状態 | 同左 |
車枠及び車体 (*バスのみ) |
非常口の扉の機能 緩み及び損傷 |
同左 |
|
ターボチャージャー (*バスのみ) |
─ |
タービン・ロータの回転具合 等(メーカー指定) |
※重点点検報告様式など詳しくは全日本トラック協会のWEBサイトを参照してください。
【バス事業の管理者向け】
国土交通省が貸切バスの「手数料等」の調査体制を強化し、8月から運送引受書に実際の手数料金額の記載を義務づけました。
貸切バス事業者の皆さんは正確な金額を記載しているでしょうか?
下限割れ運賃になってはまずいということで、とりあえず協賛金や販促費などを省いて手数料額だけを適当に書いておくという方法もあるでしょうが、年度末には、事業報告書に手数料等の総額を記載することが義務づけられましたので(平成2年4月から施行)、ここで実質的な手数料に換算される総金額が調査されます。
このとき、割引により実質的な下限割れ運賃となっている=輸送の安全を脅かす運賃収受である=と認定されると、バス事業者が行政処分を受けることになります。
ですから、個々の運送契約手数料をしっかり把握し、運賃や経費の構造に無理があると判断したら、改善していかないと間に合いません。
旅行業者や元請け業者に協賛金等の名目で多額の手数料をマージンとして払っていないかチェックしましょう。
注)「手数料等」とは貸切バス事業者が元請け事業者や旅行会社、販売代理店などに支払うマージンの全体
を指し、販売促進費、広告宣伝費、協力金等の名目で支払を求められるものを含みます。
日 付 | 行 事 等 |
30日(金)~ |
・防災週間──防災の日をはさみ防災に関する知識を普及・啓発するとともに、防災行動へと結びつける取組みが全国各地で行われ、異常気象時における通行規制図などが自治体から配布されます。 |
1日(日)~ 30日(月) |
・「全国労働衛生週間の準備期間」─来月1日~7日に実施される全国 労働衛生週間の実効を上げるため、準備を行います。 令和元年度 労働衛生週間スローガン 「健康づくりは 人づくり みんなでつくる 健康職場」 ※詳しくは、厚生労働省のWEBサイトを参照してください。 |
1日(日)~ 30日(月) |
・「自賠責制度広報啓発運動」──国土交通省などが主唱。自賠責保険・共済の重要性について積極的にPRします。特に原付バイクユーザーが無保険で走行しないように注意喚起をしましょう。 |
1日(日)~ 30日(月) |
・自動車点検整備推進運動強化月間 ──9月~10月の2か月間、国土交通省が点検・整備の重要性を呼びかけています(9月は、全国統一強化月間。翌10月は各地方が独自に設定する地方独自強化月間とし、都道府県トラック協会・バス協会や整備振興会などの自動車関係団体を中心に点検整備の取組みを推進します)。 |
~ 30日(月) |
・2019年度 港湾労働安全強調期間──港湾貨物運送事業労働災害防止協会による全国安全週間に呼応した活動。港湾内の事故防止活動を推進。 ●本年度のスローガン 「新たな時代に PDCA みんなで築こう ゼロ災職場」 詳しくはこちらを参照してください。 |
1日(日) |
・防災の日──1923年(大正12年)のこの日に発生した関東大震災を教訓とし、防災意識を高めるため、1960年(昭和35年)に制定されました。 |
3日(火) |
・睡眠の日──「グ(9)ッスリー(3)」眠るからの語呂合わせです。日本人の睡眠時間は減少傾向にあり、良質な睡眠の確保が望まれます。8月27日から9月10日までは睡眠健康週間が実施されます。 |
5日(木)~ 12月上旬 |
・過重労働解消のためのセミナー(厚生労働省委託事業)──長時間労働削減対策などに必要な知識やノウハウ、取り組み事例の紹介。各都道府県別に各回100名定員で開催(大都市圏は複数回実施)されます。 詳しくは、過重労働解消セミナー運営事務局のWEBサイトを参照してください。 |
8日(日) |
・白露 |
9日(月) |
・救急の日(救急医療週間は8日~14日) |
10日(火) |
・世界自殺予防デー──10日から16日までは自殺予防週間。悩みを抱えた人がいないかに気づき、援助が受けられるよう努力しましょう。長時間労働に配慮することも大切です。日本は9年連続で年間2万人以上の自殺者がいて(2018年は20,840人)、全体の7割を男性が占め、中高年に多いのが特徴です。 |
10日(火) |
・9月の製品安全点検日 ──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
~10日 |
・交通安全ファミリー作文コンクールの募集 (6月20日より募集、応募締切は9月10日──詳しくは、警察庁のWEBサイトを参照) |
13日(金) |
・中秋の名月(旧暦八月十五日の月) |
16日(月) | ・敬老の日 |
20日(金) | ・バスの日──1903年(明治36年)のこの日、京都市で日本で初めてバス会社が本格的な乗合自動車の営業を開始したことに由来します。日本バス協会が「バスフェスタ」を開催します。 |
20日(金)~ 11月2日(土) |
・ラグビーワールドカップ2019日本大会開催──4年毎に開催されるラグビーユニオン世界選手権大会の第9回大会。アジア初の開催となり、全国12会場で全48試合が行われ、熱い戦いが期待されています。競技場付近では交通混雑が予想されるので注意しましょう。 |
21日(土) ~30日(月) |
・秋の全国交通安全運動──交通安全運動の推進要綱については内閣府のWEBサイトを参照してください。 |
23日(月) | ・秋分の日 |
24日(火) |
・交通科学研究会創立50周年記念事業 ──「より安全な道路交通を目指して」 会場:ヴィア―レ大阪(大阪市中央区安土町3-1-3) 入場無料(ただし事前申込者優先/先着順) ・特別講演「外国人ドライバーから見た日本の道路交通」菰田 潔 ・記念シンポジウム 「地域の特性を踏まえた交通安全研究はなぜ必 要か?」 蓮花 一己 (帝塚山大学)他 詳細は、(一社)交通科学研究会のWEBサイトを参照。 |
29日(日) |
・第34回 全国フォークリフト運転競技大会 会場:埼玉県トラック総合教育センター (埼玉県深谷市黒田2091-1) |
30日(月) | ・交通事故死ゼロを目指す日 |
30日(月) |
・クレーンの日──クレーン協会等がクレーン等の安全規則を公布したことを記念して、昭和55年に制定されました。
詳しくは、同協会のホームページを参照して下さい。 |
~9月 |
・「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」期間 厚生労働省が主唱する熱中症予防対策キャンペーンは、5月1日から9月30日まで実施されています。 |
~9月30日 |
・夏の省エネキャンペーン──6月より実施/エネルギー消費の大きなピークの季節を迎え、省エネキャンペーンが行われています。 |
8月下旬~ 2020年2月 |
・令和元年度「過労死等防止・健康起因事故防止セミナー」 全日本トラック協会、都道府県トラック協会主催。経営者及び運行管理者等を対象に昨年度とカリキュラムを変更して全国各地で実施。過労死等防止計画の概要説明並びにドライバーの健康管理について、専門的な立場から解説する。 申込みは、各トラック協会か陸災防支部へ。 |
9月中旬 | ・2019年8月末までの交通事故発生状況発表(警察庁) |
9月下旬 |
・2019年7月分 トラック輸送情報(国土交通省) |
◆9月の日没時刻(国立天文台天文情報センターによる)
1日(日) | 福岡 18:45 |
大阪 18:26 |
東京 18:10 | 札幌 18:11 |
15日(日) |
福岡 18:26 | 大阪 18:06 |
東京 17:49 |
札幌 17:46 |
30日(月) | 福岡 18:05 |
大阪 17:45 |
東京 17:27 |
札幌 17:19 |
9月になると日の入りがどんどん早くなってきます。日中はまだ残暑が続く一方で、気温が下がる夕刻・夜間に出歩く人は多いでしょう。秋祭りなどの観光行事やスポーツ観戦などから帰る人に注意し、早めのライト活用を意識して、周囲に警戒を促しましょう。
早めに点灯するあなたの思いやりが、交通事故減少に結びつきます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯するとともに、夕刻に増える交通参加者を警戒して運転してください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください