運行管理者の皆さんはよくご存知のことだと思いますが、2020年6月30日から改正道路交通法が施行され、いわゆる「あおり運転」をしたドライバーは、「妨害運転」違反として厳罰に処せられることになりました。
これを受けて、国土交通省は貨物自動車運送事業者に対する行政処分の基準等を改正し、妨害運転についても悪質違反として事業停止処分の対象にするように強化しました(2020年11月27日施行)。
事業用自動車を運転する運転者が車間距離不保持や急な割込み違反などをして、危険を生じる恐れのある行為で他の車を妨害する意図があったと判断された場合は、3日間の事業停止処分※※が科せられます。
さらに、上記のようなあおり運転により重大事故を引き起こした場合は、事業者には7日間の事業停止処分※が科せられます。
(※いずれも、事業者が違反行為に対する指導及び監督を明らかに実施していない場合)
運転者が最初からあおり運転をしようと意図していなくても、前車などの行動にカッとして車間距離を詰めるような運転行為が妨害運転とされて検挙の対象となっています。こうした行為を厳に慎むよう、常日頃から指導と監督をしているかが問われています。
さらに、「自動車運送事業の監査方針」も同時に改正されました。
あおり運転が発生した事業所は飲酒運転などの危険悪質運転同様に運輸局による監査の対象となります(2020年11月27日施行)。
特別監査または一般監査により、全般的な法令遵守状況が厳しくチェックされます。ここで指導・監督違反などを指摘されると、さらに重い処分を受ける可能性が発生します。
指導・監督違反を指摘されるのを防ぐためには、妨害運転を防ぐための教育をきちんと実施しておく必要があります。
「まさか事業所のドライバーがあおり運転などするわけはないだろう」と甘く考えて、指導を怠っていると、様々な行政処分を受けることを免れなくなります。
このほか、関連通達として「運行管理者資格者証の返納発令基準等について」も改正され、返納の基準にあおり運転が追加されています。
具体的には、飲酒運転や救護義務違反などの悪質違反と同様に、運行管理者資格者証を持つ者が、事業用自動車を運転中に妨害運転をして摘発された場合は、即座に返納命令処分を受けます。
返納命令を受けた者は、5年間は運行管理者の資格を受けられません。
(注:妨害運転違反で摘発されると、違反だけで25点の付加点数があり即時に免許取消しとなり、欠格期間は最低でも2年。人身事故を伴う場合は35点で欠格期間は3年となり、運行管理者としてだけでなく自動車運送事業における仕事自体を失う可能性があります)
※あおリ運転=妨害運転違反=の運転者に対する罰則に関しては→ 詳しくは、政府広報を参照。
最近、高速道路で他の車をあおって停止させ事故を誘発したり、運転中スマートフォンを操作して重大事故を誘発するなど、「ドライバー失格」としか言いようのない行為が目立つようになり、取締りや罰則が極めて厳しくなっています。
この冊子では、代表的な危険・迷惑運転を取り上げ、その罰則の重さと運転上の注意ポイントを解説しています。
このたび改訂2版を発行し、2020年6月30日施行の改正道交法に準拠し、あおり運転厳罰化(妨害運転違反の創設等)について収録しました。
セルフチェック欄を設けていますので、自分が無意識のうちに危険・迷惑運転をしていないかチェックすることができます。今まさに、事業所にとって運転者教育に最適の小冊子です。
ドライバー向けテキスト「バス運行管理者のための指導・監督ツール」は、指導・監督の指針13項目にそった内容で編集されています。
点呼時や安全教育の機会をとらえて、簡単に12項目について指導できるようにイラスト中心とした内容になっています。
言葉だけでは伝わりにくい安全運転の知識や注意事項も、イラストがあればより具体的に危険ポイントをイメージすることができます。また、付属の教育記録簿を使用すれば、そのまま指導・監督の記録として保存できます。