大雪など、突発的な道路状況の変化で長時間の立ち往生が発生する事例が増えていますが、貨物運送事業者は突発的な輸送経路の変更や中止を決める場合も荷主の承諾を得る必要があり、臨機応変に判断・決定することが難しく、それが渋滞などの悪化につながっている面があります。
そこで、国土交通省・農林水産省・経済産業省の3省は合同で、1月28日荷主団体宛に「大雪等異常気象時における輸送の安全の確保に向けたご理解とご協力のお願い」と題する文書を送付して、やむを得ない場合の運送経路の変更・中止などを認めるよう求めるとともに、不要不急の運送依頼を控えるように要望しました。
「物流機能の維持とトラック事業者や運転者の生命・身体を守るため」として、荷主に対して下記の事項について要望し協力を求めています。
異例の3省合同要請となった背景には、大雪に関する緊急発表や道路管理者に対する注意喚起などの取組みを実施しているにも関わらず、ひとたび大雪が降り始めると、大規模な車両滞留や長時間の通行止めが繰り返し発生しているという現状に対する政府の危機感があります。
コロナ禍で輸送の小口化・多頻度化がますます進展し、トラック物流が国民生活や企業活動の生命線となり、物流がストップすることの影響がより増大しています。
大規模な車両の滞留には、チェーン未装着や摩耗した滑り止めタイヤの大型車による影響がある一面と、「集中的な大雪時であっても通常時と比べて自動車の利用台数に大きな変化が見られない」という問題点があります(国土交通省「大雪時の道路交通確保対策中間とりまとめ」より)。
このため、国土交通省がさる1月26日にスタッドレスタイヤの残り溝点検などを自動車運送事業者に義務づけるとともに、発注者の協力も必要であることから要請したものです。
事業者としては、この要請書提出をチャンスととらえ、大雪予報発令時には率先して荷主への運行停止等を提案することが得策です。無理をして1日~3日も高速道路上で立ち往生する危険を犯すのは愚かであり、また、雪の中でのチェーン装着は運転者の死傷災害を誘発する危険があります。
運転者の健康・安全と生命を守るために、勇気をもって運行計画見直しを求めましょう。
小冊子「雪道・凍結路の危険をイメージしよう」は、冬道を走行するドライバーに対して、安全な運転方法を指導するのに最適の教材です。
雪道を走行するにあたって、必要な知識が身についているか、また危険な行動をしていないかを「はい」「いいえ」でチェックすることにより、冬道走行の基本を学んでいただくことができます。
貨物自動車向けテキスト「運行管理者のためのドライバー教育ツール」は、指導・監督の指針12項目にそった内容で編集されています。
点呼時や安全教育の機会をとらえて、簡単に12項目について指導できるようにイラスト中心とした内容になっています。
言葉だけでは伝わりにくい安全運転の知識や注意事項も、イラストがあればより具体的に危険ポイントをイメージすることができます。また、付属の教育記録簿を使用すれば、そのまま指導・監督の記録として保存できます。
初任運転者の社内指導用に整理した「指導項目用紙」と「安全運転者実技の添乗指導項目用紙」も添付しています。