我が国では不眠に悩む人がとても多く、医師に睡眠薬を処方してもらっている場合が少なくありません。
最近は依存性などの副作用が少なく効き目も短時間で切れる安全な薬があって、翌日の生活に大きな影響は出ない場合があります。
しかし、中には長時間作用する薬も存在し、翌日の業務内容によっては注意が必要です。とくに、車を運転したりフォークリフトなどの作業機械を扱う場合は慎重になりましょう。
今年1月23日の早朝、大阪府堺市の阪神高速道路で高所作業中の作業現場にトラックが突っ込み、作業員1人が死亡し3人が重傷を負う事故が発生しました。
このときトラック運転者の血液等から睡眠薬の成分が検出されていて、その後の調べで警察は「危険運転致死傷」の疑いから運転者(31歳)を逮捕しています。運転者本人は「早く寝たかったので前夜に睡眠薬を飲んだが、眠気はなく運転に問題はなかった」と述べていますが、警察の調べでは正常な運転ができないほどの睡眠薬成分が検出されたということです。
一般に短時間作用型の睡眠薬でも半減期(血中濃度が最高値の半分の値になるまでの時間)は6時間から10時間と幅があり、個人差があります。さらに、中時間作用型では半減期が20~30時間、長時間作用型では半減期が50時間という薬があり、翌朝以降に日中の眠気、ふらつき、脱力、頭痛、倦怠感などが見られ、運転などをするのは非常に危険です。
睡眠薬を服用する人は運転業務などを医師に申告し、服用後どの程度の時間をあければ安全か詳細に確認しましょう。
(シンク出版株式会社 2021.7.28更新)
この小冊子では、ドライバーが健康管理を徹底していなかったために発生したと思われる、重大事故等の6つの健康起因事例をマンガで紹介しています。
各事例の右ページでは、垰田和史 滋賀医科大学准教授(医学博士)の監修のもと、日々ドライバーが気をつけなければならない健康管理のポイントをわかりやすく解説しています。
ドライバーが健康管理の重要性を自覚することのできる小冊子です。
【詳しくはこちら】