先日、新聞の外電報道でフランスのパリ市が市内道路での制限速度を原則として時速30キロにしたと知りました。
シャンゼリゼ通りなど一部の大通りと車両専用の環状道路以外は、市内中心部でもほぼ全域で制限速度が30キロに規制されているということです。
歩行者の安全や騒音の軽減が目的で、違反した場合は135ユーロ(約17,500円)の罰金などが科されます。
もともとパリ市内は交通量が多く狭い道が多いので、それほどスピードは出せないらしいですが、遅い流れを嫌って車をあきらめ公共交通などを利用する人が増え、市内交通量が減って排気ガス=CO2を減らすことも目的としているようです。
速度が遅くなると燃費が悪化するので、パリ市のねらいが当たるかどうかはともかく、時速30キロは歩行者の死亡事故率が急激に変化する分岐点であり、人の多い先進国の都会では、安全のためこれから30キロ規制が当たり前になってくるかもしれません。
日本のように車優先の思想から、人が歩くことを優先する考え方にシフトすれば、時速30キロは決して遅い速度ではありません。私たちも、生活道路など歩行者の多い場所では、標識がなくても時速30キロ以下を守るようにしたいものです。
(シンク出版株式会社 2021.9.13更新)
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