2022年 あけまして、おめでとうございます。
過去2年のコロナ禍で苦労された事業所が多いでしょうが、せっかくの新年です。心新たに、事業所全体で1年間の無事故・無違反の決意を新たにするとともに、運転者それぞれに安全運転の誓いを立ててもらい事故防止に力を合わせましょう。
とくに、前年に事故や違反のあった職場や運転者に対しては、この機会に再度、安全運転への決意を新たにしてもらいましょう。
なお、この冬は寒さが厳しく、冬型事故の多発することが予測されますので、スタッドレスタイヤやチェーンなど足回り準備と雪道の安全指導を徹底してください。
また、健康面では血糖値の管理・指導をきめ細かく実施しましょう。
●無事故・無違反を誓いましょう
とくに事故を起こした人は真剣に考えよう
今年1年、安全運転を続けて無事故・無違反を達成することを誓い、具体的な安全運転目標を立てましょう。
安全運転の目標は、
・見通しの悪い交差点では徐行する
・横断歩道で歩行者を妨げない
・3秒の車間距離(時間)をとる
・日没の30分前にライトを点ける
・運転中、スマートフォンを見ない
など、自分自身で守る実践的な目標を設定することが大切です。
とくに、昨年に交通違反や事故などを経験した人や、ヒヤリ・ハット体験があった人は、そうした違反や事故を二度と起こさないように目標を考えてください。
安全運転目標を事業所の机の上などに掲示するのもいいでしょうが、安全運転宣言カードなどにしてダッシュボードに貼ると、いつも目に入るので効果的です。
全国交通安全年間スローガンなども参考に
2022年使用の交通安全スローガン (運転者を対象にしたものの入選作)
●安全運転管理のデジタル化を図ろう
今年1年間の安全運転管理・指導の計画を立てる時期ですが、今年はとくに最近課題となっている業務DX化を踏まえ、運転管理と指導のデジタル化について取り組んでみてはいかがでしょう。
トラックやバスなど事業用自動車では、IT点呼やロボット点呼など、運転者への管理・指導をデジタル化する動きが強まっています。
営業所と離れた倉庫や営業所間で対面と同等の効果をもつ点呼が実施できる環境が整備されつつあります。
顔認証システムによるアルコール検知や免許証確認などが離れた場所で可能になっています。
リモート勤務などの進展で、自家用自動車の事業所でもこうした管理は可能になっていると思われます。積極的にデジタル化を図ることで、今後新型コロナウイルス等の感染が再拡大し、事業所への出勤が難しくなっても対応ができるように対処しましょう。
とくに、営業用車両の直行直帰などが増加することへの対応が求められています。
●運行記録計がなくても車両情報が取得できる
事業用自動車の場合は、運行記録計をデジタル化することが契機となってシステムのIT化がすすみ、安全運転の情報や位置情報の記録、日報作成などが自動化されつつあります。
自家用自動車では運行記録計を搭載しなくても、簡単な車載機やスマートフォンアプリなどで車両管理が可能になりつつあります。
また、ドライブレコーダーにAI=人工知能技術を加えて、危険運転の抽出や日報の自動作成など運行記録計に準じる機能を持つタイプの製品が登場しています。
こうした機器のメリットを調査し、計画的に運転管理のデジタル化をすすめることを検討しましょう。
●構内事故の防止もIT化が効果的
製造業や建設業の現場では、労災事故防止のために携帯端末などを活用したIT管理を進めている事業所があります。
たとえば、スマートフォンに専用のアプリケーションを設定するとGPSによる位置情報を事務所のパソコンで確認し、動態管理をすることができます。
そこで、作業員や危険な機械・重機などの位置情報をチェックし、危険な場所へ作業員が単独で侵入していたり、危険な作業機械との接近を検知したら警報を発するというシステムが考案されています。トンネル内作業の事故防止等ではすでに実用化されています。
これは、構内事故などの防止に活用できるもので、危険対象に一定距離まで近づくと作業員や運転席のスマートフォンに警告音を鳴らしたり、作業者本人に重機やフォークリフトの接近を気づかせる事で事故を未然に防止できます。
管理者側の機器を工夫をすれば、位置情報の管理だけでなく、構内の作業者や運転者と映像や音声で相互にコミュニケーションをとることができるようになります。
このほか、作業員の靴に小型センサーを入れて、各人の大まかな行動軌跡や運動量を解析し、最適な作業環境のデザインを提案するデータサービスがありますが、これらのハード・ソフトは事故防止に活用できる可能性があります。
●「血糖負債」に注意しよう
新しい生活様式が高血糖の
人を増やしている?!
新型コロナウイルス対策の緊急事態が解除されても、人々の外出や歩く習慣がなかなか元も戻らず、生活習慣病の増加が懸念されています。
そこで最近、一般社団法人日本生活習慣病予防協会では、「血糖負債」というキーワードを使って、高血糖が続き、健康リスクが高まっている状態への対策の必要性を訴えています。
血糖値を測定する診断の指標は「空腹時血糖値」「食後血糖値」「HbA1c」の3つがあり、血糖レベルの瞬間値である空腹時血糖値と食後血糖値に対し、このHbA1cは過去1~2か月の平均値となり血糖を管理する上で医学的に重要視されています。
健康診断で空腹時血糖値が低く、従来糖尿病とは診断されていない方も、実はHbA1cの指標が高くないかが重要となります。
というのは、HbA1cの値を高いまま放置していると、糖尿病にはならなくても、将来のがんや認知症などの死亡リスクが高まることがわかってきたからです。そこで、血糖負債という概念を打ち出して、HbA1cが高留まりしている人へのリスク意識を訴えようというねらいです。
こまめに運動する
生活習慣をつけよう
30代でHbA1c値が少し高めの状態の人が長い年月、何の対策も取らずに血糖負債を蓄積する状態を続けると、50代くらいから認知症やがん、腎臓病のリスクが高まるということですから、若くて健康な人も無視できない問題です。
食生活と運動習慣によって、とにかく高血糖になりやすい生活様式から脱却することが大切です。
具体的には以下のポイントを意識しましょう。
※健康維持の歩数には諸説あるが、1万歩に満たない7千~8千歩で効果を指摘する研究が多い。
*この記事は、(一社)日本生活習慣病予防協会のWEBサイト などを参照しました。
残り溝が50%以上あるか確認を
今年の冬はラニーニャ現象の影響で厳しい寒さになりそうです。山陰から北陸、東北にかけた日本海側の広い地域で、沿岸部や平野部でも大雪が降る可能性が指摘されています。
すでにスタッドレスタイヤ等に履き替えた車が多いでしょうが、タイヤの耐用年数は大丈夫でしょうか?
スタッドレスタイヤでは、タイヤの残り溝が50%まで低下すると制動性能がかなり低下するため、貨物自動車や貸切バス等の場合は、残り溝の点検が義務づけられています(令和3年1月26日の通達改正による)。
スタッドレスタイヤの溝点検はプラットホームというマークで行います。トラックやバスに限らず、乗用車でも溝の減ったスタッドレスタイヤでの走行は危険です。また、大雪時には高速道路などで立ち往生する原因ともなりますので、チェックして早めに交換するように指導しましょう。
※上図は国土交通省の啓蒙資料より
4年を経過したスタッドレスタイヤは要注意です
なお、あまり使用していないためタイヤの残り溝があっても、製造年から4年以上を経過したスタッドレスタイヤは、紫外線のためゴムが硬化して通常のオールシーズンタイヤ並の性能まで低下している可能性があると言われています。
ゴムが劣化してもスタッドレスタイヤの線条溝があるので、通常の平坦で直線の雪道ではなんとかスリップ防止機能を維持できるものの、急カーブや上り坂、下り様などで十分にタイヤが雪面をグリップできない可能性があります。
古いタイヤには見切りをつけて、せめて駆動輪だけでも新しいスタッドレスタイヤを装着するように心がけましょう。
■スタッドレスタイヤの点検ポイント
【参考】事業用貨物自動車等の冬用タイヤ残り溝点検の義務づけ
雪道を走行する可能性がある場合は、スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤを装着するだけでなく
※雪道で事業用自動車の準備不足により悪質な立ち往生事例が発生した場合、所轄の運輸局が監査で事実
関係を確認した上で、講じた措置が不十分と判断されれば行政処分の対象となる。「貨物自動車運送事
業輸送安全規則の解釈及び運用について」「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」の
改正による(公布・施行は2021年1月26日)
安全管理、指導に関するチェックを
徹底しましょう
昨年の12月10日から今月10日までは、年末年始の輸送等に関する安全総点検実施期間です。
自主点検等を通じた安全性の向上を図るとともに、輸送安全等に対する意識の向上を図るための点検運動です。
国土交通省では総点検実施状況の把握のため、トラック・バス・タクシーなど業態別に自主点検表(国交省のホームページからダウンロード)でチェックし、所管運輸支局の安全総点検自動車運送事業者等担当宛に提出を求めています。
自主点検を実施した事業所は管轄の運輸支局まで送付しましょう。詳しくは同省のWEBサイトを参照してください。
●安全総点検期間における自動車局の推奨する主な重点点検事項
・軽井沢スキーバス事故を踏まえた貸切バスの安全対策
・健康管理体制の状況(ドライバーの健康管理マニュアルなどの活用)
・運転者に過労運転を行わせないための安全対策の実施状況
・運転者に飲酒運転や薬物運転等を行わせないための安全対策
・車両の日常点検整備、定期点検整備等(特に大型自動車の脱輪事故防止対策及びスペアタイヤの定期点検)
・点呼の実施、運転者に対する指導監督等の実施状況
・大雪に対する輸送の安全確保の実施状況
・コンテナ輸送における安全対策の実施状況
・バスターミナル及び自動車道の保守点検の実施状況
・自然災害・事故等発生時の乗客等の安全・安心確保のための通 報・連絡・指示体制等の整備・構築状況
・新型コロナウイルス拡大予防対策ガイドライン、新型インフルエンザ対応マニュアルなどを踏まえた感染
症防止対策の徹底
──これらの重点項目を実施するほか、実施状況等を自主点検するよう要請を受けています。
日 付 | 行 事 等 |
1日(土) |
・元旦 |
2日(日) |
・初荷 |
4日(火) |
・官庁仕事始め/小寒 |
7日(金) |
・七草 |
10日(月) |
・成人の日(第2月曜日) |
10日(月) |
・110番の日──毎年1月10日は「110番の日」。110番は市民生活の安全に関する相談窓口です。なお、警察庁は、緊急性のない場合は相談専用ダイヤルである「#9110」番を利用するよう呼びかけています。 |
~10日(月) |
・第61回「正しい運転・明るい輸送運動」 全日本トラック協会主催 ──詳しくは、全ト協のWEBサイトを参照 。 |
12月10日~ 1月10日(月) |
・年末年始の輸送等に関する安全総点検 ──国土交通省が主唱する輸送機関等における事故やテロの防止対策実施状況等の点検です。詳しくは、同省のWEBサイトを参照。 |
12月~ 2021年4月30日 |
・令和3年度 安全衛生教育促進運動──中央労働災害防止協会(中災防)が提唱し展開する活動。年間計画を定めて、雇入れ時教育、特別教育などの義務付けを踏まえ安全衛生教育の確実な実施を促しています。特にコロナ禍で安全衛生教育が十分行えなかった状況の改善を求めています。 |
12月1日~ 1月15日(土) |
・令和3年度「建設業年末年始労働災害防止強調期間」 ──建設業労働災害防止協会が、災害の多い年末年始に積極的な災害防止運動を展開します。交通労災としては、現場送迎時の事故防止、路面凍結等によるスリップ事故の防止などを強調しています。 スローガン「無事故の歳末 明るい正月」 |
12月1日~ 1月15日(土) |
・令和3年度 年末年始無災害運動 ──中央労働災害防止協会が主唱する安全運動。今年で51回目を迎えます。今年の共通標語は、 「年末年始も 安全作業 あなたが無事故の キーパーソン」 (※詳しくは、中災防のWEBサイトを参照してください) |
12月16日~ 1月15日(土) |
・年末年始 港湾無災害強調期間 ──港湾貨物運送事業労働災害防止協会による年末年始の事故防止活動。安全・衛生活動の「見える化」など、創意工夫をこらした活動を推進します。 今年のスローガン 「年末年始も 安全作業 あなたが無事故の キーパーソン」 |
11日(火) |
・1月の製品安全点検日 ──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
15日(土) |
・軽井沢町スキーバス転落事故から6年──2016年の1月15日午前2時、長野県軽井沢町において41名を乗せた大型スキーバスが路外に転落、乗客・乗員計15人が死亡し、25人が重軽傷を負いました。この事故を契機に貸切バスへの安全規制対策が強化され、多くの法令が改正されました。 また、運行会社の社長と当時の運行管理者だった元社員は業務上過失致死傷の罪で2021年に在宅起訴されています。 |
15日(土)~ 21日(金) |
・防災とボランティア週間──「阪神・淡路大震災」を踏まえ、平成8年より設けられました。 |
17日(月) |
・防災とボランティアの日──1995年の当日発生した阪神・淡路大震災を契機として災害時におけるボランティア活動および自主的な防災活動への認識を深める目的で制定されました。 |
20日(木) |
・大寒 |
24日(月) |
・法律扶助の日 ──1952年(昭和27年)のこの日、法律扶助協会が設立されたこと記念して制定。同協会は2006年に改組され「日本司法支援センター(法テラス)」となり、経済援助を含めた法的支援を行う中心的な機関として活動しています |
25日(火) |
・日本最低気温の日──1902年(明治35年)に、北海道の旭川地方気象台で -41.0℃という日本の最低気温を記録したことによります。上空の強い寒気の通過と放射冷却現象によるものと考えられています。 |
26日(水) |
・パーキングメーターの日──1959年(昭和34年)に東京都が日比谷と丸の内に日本初のパーキングメーターを設置したことによります。料金は15分単位で10円でした。当時は割高感があり、あまり利用されませんでした。 |
~31日(月) |
・令和4年使用 交通安全ポスターデザイン応募締め切り 詳しくは、毎日新聞社のWEBサイトを参照。 |
12月1日~ 1月31日(月) |
・陸上貨物運送事業 年末、年始労働災害防止強調運動 ──陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)の主唱する労災防止運動。交通災害や荷役作業時における墜落・転落災害などの防止を推進します。詳しく陸災防のWEBサイトを参照してください。 |
~3月 |
・貸切バス、観光バスを対象とした街頭監査 毎年、年末年始にかけては貸切バス発着場等における街頭監査が実施されます。平成28年度より街頭監査に関係する処分は強化されています。また貸切バスについては平成29年度より覆面添乗調査も実施されています。 |
1月中旬 | ・2021年11月末までの交通事故発生状況発表(警察庁) |
1月下旬 |
・2021年11月分 トラック輸送情報(国土交通省) |
◆1月の日没時刻 (国立天文台 暦計算室による)
1日(土) | 福岡 17:21 |
大阪 16:58 |
東京 16:38 | 札幌 16:10 |
15日(土) |
福岡 17:33 |
大阪 17:10 |
東京 16:51 |
札幌 16:25 |
31日(月) | 福岡 17:48 |
大阪 17:26 |
東京 17:07 |
札幌 16:45 |
1月は、冬至の時期にくらべて少し日没が遅くなってきますが、冬型の気圧配置によって夕方にしぐれたり、雪が降ることが多く、あっという間に周囲が暗くなります。引き続き、早めのライト点灯が重要です。
自車からは見えると感じても、歩行者・自転車のためにライト点灯を実践してください。
あなたが点灯することで歩行者や自転車などからもあなたのクルマが確認しやすくなります。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。
※詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください
JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。
※詳しくは JAF Safety Light
のサイトを参照してください