2022年(令和4年)1月6日に改正道路交通法施行令が公布されたことに伴い、大型自動車免許や第二種免許の運転資格取得の特例が実施され、19歳でも大型バスなどの運転免許が5月13日から取得可能になります。
また、自動車への積載制限が緩和されることになりました。
免許取得の特例については、2020年6月10日に公布された改正道路交通法の中に盛り込まれていましたが、政令を整備して公布後2年以内に施行されることになっていました。
下に述べる一定の教習を修了した者について、大型・中型自動車免許、第二種免許等の受験資格を19歳以上かつ普通自動車免許等保有1年以上に引き下げる等の特例が実施されます。
2022年5月13日に施行されます。
施行令改正に伴い国家公安委員会規則が整備され、19歳以上で免許申請できる条件として以下の教習の受講が定められます(大型自動車免許の欠格事由等の特例に係る教習の課程の指定に関する規則)。
【運転者としての資質向上や大型車等の運転に必要な適性に関して】
・年齢要件に関する特例を受けるための教習
──適性検査に基づく個別指導を含めて「7時限以上」
・経験年数要件に関する特例を受けるための教習
①自動車の構造を踏まえた各装置等の運転に関する操作
②交差点の通行、横断歩道・踏切・坂道・鋭角なコースの通過、転回など
③交通法規・道路状況に応じた走行
④時間的な余裕がない場合の安全な運転
⑤危険予測など安全運転に必要な技能に基づく走行
などについて実技を含み「27時限以上」
さらに「危険予測などの必要な知識に関する教習」2時限を追加し「計29時限以上」
合計で36時限以上と規定されました(*1時限は50分以上の教習)。
なお、安全水準を担保するため、特例教習を受けて免許を取得した19歳以上の運転者が若年運転者期間(※)に行った違反の点数が累計で3点以上となったとき(1回の違反で3点の違反をした場合を除く。この場合はもう1回違反して4点以上となったとき)、若年運転者講習を受ける義務が発生します。
この講習は、特例教習のカリキュラムのうち、主として「適切な運転行動にかかる判断に必要な自己制御能力」の養成に資すると考えられるものを抽出し、9時間と設定されました。
やむを得ない理由がなく講習を受講しなかったり、講習終了後の若年運転者期間中に再び累計3点以上の違反をすると「特例免許」取消処分となります。運行管理者は、運転者に対する違反点数の管理を徹底し、講習の未受講がないように気をつける必要があります。
【※若年運転者期間とは、大型免許・第2種免許取得年齢の21歳(中型免許は20歳)に達するまでの期間】
【編集部注】
施行は5月13日ですが、実際に特例教習が始まる時期は都道府県によって差があります。施行と同時に教習所の指定を行った都道府県公安委員会がある一方で、指定が7月ごろとなり教習が始められるのが早くても秋以降となる県もあるようです。
特例教習の実施ができる教習所は、順次、各都道府県警察本部のホームページで公表される予定ですが、対象となる19歳以上の運転者がいる場合は地元の警察本部に問い合わせましょう。
自動車の積載制限として、現行では積載物の長さは自動車の車長の1.1倍まで、幅については車幅までとされていました。
これが、改正後は車長の1.2倍、車幅についても1.2倍までに緩和され、この範囲を超えなければ制限外積載許可の申請をする必要がなくなります。
なお、自動車の左右1.1倍を超えてはみ出すことは禁止されます。長さについても前後いずれかで1.1倍を超えることはできません。それぞれ、1.2倍の規制を超える場合は制限外許可申請が必要となります。
警察庁では、住宅建築関係団体や物流関係の要望を踏まえて、周囲の交通に与える影響がない範囲で規制を緩和できないか、検討していました。
警察庁では、サイドミラーなどの効用等を失わせることなく、自動車の車体からはみ出して積載可能な長さまたは幅を確認するための走行実験を実施し、自動車の走行安定性等が確保されること、周囲の交通に与える影響がほとんどないこと等を確認したとしています。