【毎年100件以上の事故が発生】
国土交通省の調査によると、トラック・バスなど 大型自動車の車輪脱落事故が依然として多発しています。
脱落は大事故に繋がりかねない大変危険なものであるため、同省では関係機関と連携し、大型車のタイヤ交換作業の徹底に係る周知・啓発活動や、街頭検査においてホイール・ナットの緩みの確認を行う等、各種事故防止対策に取り組んできました。
しかし、大型車の車輪脱落事故は依然として多数発生しており、10年間で約12倍に急増して令和2年度は131件、令和3年度は令和4年1月末までに107件(速報値)の発生が報告されています。
脱落事故は冬期(11月~3月)に集中しますのでまだまだ発生する恐れがあるとして、同省では今年に入っても、繰り返しトラック協会やバス協会などを通じて通知を出し、事業者に注意を呼びかけています。
【タイヤ脱着時の清掃など措置が不適切】
「自動車の点検及び整備に関する手引き」では、大型車のタイヤ脱着時のホイール・ナットの清掃や潤滑剤の塗布、さらにはホイール・ナットが円滑に回るかの確認等について規定されていますが、最近の大型車の車輪脱落事故では、これらの点検・整備が適切に行われていない事案がみられるということです。
錆などのため円滑に回らないホイール・ナットを使用してタイヤを取り付けると、ナットが本来あるべき位置まで締まらず、十分な締結力が得られないため、走行中にナットが緩み車輪が脱落するおそれがあります。
このため、大型車のタイヤを脱着する際は、ホイール・ナットを清掃した上で、ナットとワッシャーの間を含めて適切に潤滑剤を塗布するとともに、劣化したホイール・ナットは必ず交換することが重要です。
また、整備管理者は、大型自動車のタイヤ交換の有無と増締めなどをチェックできるタイヤ交換作業管理表を作成して、車両ごとに確認してください。
※詳しくは、国土交通省のWEBサイトを参照してください。啓発用チラシなど資料がダウンロードできます。また、タイヤ交換作業管理表・日常点検表はこちらからダウンロードできます。
*図・グラフ等は国土交通省の資料より
なお、同省の調査によると車輪脱落位置の大半(約95%)が左後輪に集中しています。
なぜ、左後輪に多いのかは、同省と自工会で調査中ですが、推定原因について次のポイントがあげられています。
これらの状況を踏まえ、同省では(一社)日本自動車工業会に協力を要請し啓発用チラシなどを配布して、以下の項目についての徹底を呼びかけています。
1.ホイール・ナットの規定トルクでの確実な締付け
2.タイヤ交換後、50~100km走行後の増締めの実施
3.日常=運行前=点検における確認(特に左側後輪チェックは念入りに)
4.ホイールに適合したボルト及びナットの使用
5.著しく錆びたワッシャー、ホイールボルト、ナットは交換する
【関連記事】
★参考ページ★
→ タイヤの点検を徹底していますか? (当サイト)
→ ホイール・ボルト折損による大型車の車輪脱落事故 (国土交通省)
→ 大型車の車輪脱落事故が増加!特に左後輪に注意! (国土交通省)
→ ホイール・ボルト折損等による大型自動車等の車輪脱落事故防止について(国土交通省)
→ 大型トラック・大型バスのスペアタイヤの点検が義務化されます(国土交通省)
→ 車輪脱落事故防止リーフレット「走行中のタイヤ脱落事故急増」(全日本トラック協会)
■2017年3月12日改正指針に準拠
「運行管理者のためのドライバー教育ツール(part4)」は、運転者に指導する際の資料として、「運転者用資料」を多数収録した運行管理者のための指導教材です。
言葉だけでは伝わりにくい安全運転のポイントを漫画とイラストで具体的に解説し、3つのキーワードで印象づける内容です。
点呼時やドライバーミーティングなどの短い時間でも、運行上の危険や安全運転ポイントを指導することができます。
2017年3月に改正されたトラック運送事業者のための指導及び監督の指針12項目に準拠し、初任運転者の社内指導用記録簿用紙も添付しています。
管理者向けの指導・監督資料については → こちらを参照
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