【デリバリー業界などで、軽ワゴン車の活用を促す】
政府は、令和4年6月7日に閣議決定した「規制改革実施計画」に基づき、貨物軽自動車運送事業で使用できる車両に軽乗用車を含める規制緩和策を定め、令和4年10月27日から施行することを決定しました。
国土交通省の関連通達である「貨物軽自動車運送事業の経営届出等の取扱いについて」の規定に基づき、今まで最大積載量の記載のある車(軽トラ)に限って適用を認めてきました。今後は上記緩和策を踏まえて届出の受理取扱いを見直し、軽乗用車であっても受理できるようにします。
なお、軽乗用車を運送事業に使用する場合も、軽貨物車使用と同様に、最寄りの運輸支局に貨物軽自動車運送事業の経営届出を行った上で、軽自動車検査協会において事業用車両のナンバープレート(黒ナンバー)の発行を受ける必要があります。
現在、軽貨物運送で使われている軽トラックは30万台程度と言われていますが、軽乗用車は全国で2,300万台以上が保有されています。軽乗用車の構造変更などが必要なくなり、後部座席を残したままで事業用に使用できるようになるため、同省では、この改正を期に車両の選択肢が広がることで、デリバリーサービス事業者などの利便性向上につなげることを狙いとしています。
【導入後の安全管理対策が重要】
ただし、自転車などでフードデリバリーをしていた人が、今後、個人事業主として参入することが予想されます。規制緩和を進めると、安易な配送による安全上の問題が生じる恐れもあり、同省では、軽貨物車による配送と同様に運送事業者としての安全管理や運転者指導が重要であることに注意を呼びかけています。
ちなみに、営業用貨物車の事故件数の推移をみると、2018年~19年は減少傾向にあり、20年、21年は横ばいで推移していますが、事故件数の内訳では、一般貨物運送は減少しているのに対して、軽貨物運送の事故は増加しています。
国土交通省によると、事故件数は少ないものの、軽貨物の2021年の死亡・重傷事故件数は2016年と比べて5年間で約8割増加し(199件から365件)、追突や交差点での出会い頭事故が急増していると警鐘を鳴らしています。
【軽乗用車の最大積載量は165kgまで】
なお、軽乗用車による配送業務では、最大積載量が軽トラックの半分以下に制限されています。
軽トラックの場合は道路交通法により最大350㎏までの積載が可能ですが、軽乗用車では貨物の積載を想定して設計されていないことを踏まえ、ドライバー1人が乗車する分を除いた「3人×55㎏=165㎏」とされています。
これは、道路運送車両法が軽自動車の総重量を車両本体の重量に乗車定員「4人×55㎏=220㎏」と最大積載量を合わせた重量としていることに準じています。
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★参考ページ★
●貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用について (国土交通省WEBサイト)
■2017年3月12日改正指針に準拠
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