令和5年9月2日(土)、岡山市のマイクロメイト岡山株式会社の「交通安全まなびのば」において、第15回の「飲酒実験」が行われました。
同社では、これまで毎年「飲酒実験」を行っていましたが、コロナ禍の影響もあって4年ぶりの開催になりました。
また、学術分析責任者として「NPO法人安全と安心心のまなびば」の金光義弘理事長(川崎医療福祉大学名誉教授)、ドクターサポートとして小橋勇二医師(ハーヴィスクリニック院長)が参加しました。
今回の実験では、20歳代から70歳代までの男女27名が参加し、「呼気が0になるまで挑戦する」というテーマで実験が行われました。
午前10時から、飲酒前の呼気検査や運転適性検査、動体認知測定、視野検査(対象者のみ)、片足閉眼検査を行い、午前11時30分から飲酒実験がスタートしました。
お酒は、ビール、日本酒、焼酎、酎ハイ、ウイスキー、梅酒が用意されており、参加者は午後1時30分までの2時間、好きなアルコールを好きなだけ飲むことができますが、アルコールは1単位で用意されていますので(写真参照)、参加者が「何単位飲んだか」はすぐにわかるようになっています。
参加者は、酒に強い人やあまり強くない人など様々で、1単位しか飲んでない人や7単位も飲んだ人もいました。
飲酒を終了した人は、直後に呼気検査、運転適性検査、動体認知測定、視野検査(対象者のみ)、片足閉眼検査を行い、その後1時間経過した時点で呼気検査だけを実施し、2時間を経過した時点で飲酒直後に実施した検査すべてを実施しました。
この検査サイクルを繰り返し、呼気検査でアルコールがゼロになった人は、尿検査を実施して終了になります。
一般的に言って、飲酒量が少なければそれだけ早く呼気中アルコールがゼロになりますが、今回の実験でも1~2単位しか飲まなかった人ほど早くゼロになっていました。
ただ、これまで実施してきた飲酒実験では、呼気中アルコールがゼロになっても、尿の中にはアルコールが残っている人も相当数いたということでした。
少量しか飲まなかった人は、比較的早く呼気中アルコールがゼロになりましたが、4単位以上飲んだ人は、ある程度は下がったものの、それ以下にはなかなか下がらなかったり、1時間経過しても前回の数値とほとんど同じであったり、長時間アルコールが抜けなかった人が結構いました。
ちなみに、最後に呼気中アルコールがゼロになった人は、午後10時までかかりました。
個人の当日の体調であったり、日頃の飲酒習慣であったり、といろいろな要因があると思います。アルコールが抜けるまでの時間的経緯は、個人差が大きいことを改めて痛感させられました。
今回の飲酒実験では、参加者のなかから6名を選んで視野検査を実施しました。
過去の実験で、アルコールの影響で視神経細胞の感度低下を引き起こすことがわかっており、呼気中アルコールがゼロになっても、視神経細胞の一部に感度の低下が見られる人がいました。
今回の参加者のなかにも、呼気中アルコールが残っていなくても、視神経細胞には何らかの影響がある人もいるものと思われます。
突然飛び出してくる車や人を、いかに早く正確に発見できるかを検査する「視標突発課題(衝動性眼球運動検査)」も実施されました。
この検査は、大きいサイズのモニターに視力検査に使う丸の一部が切れた○と、切れていない○がいろんな所に出てきますが、丸が切れていない○が出てきたらボタンを押すという検査です。
この検査は、検査の前半2回と後半2回に分けてエラー反応を測定できるようになっていますので、検査後半に集中力が切れるとエラー反応が増えたりする傾向を見ることができます。
また、この検査では画面を9分割にした部位ごとに動体認知率を測定できるようになっていますので、右側の上などに認知率が低い箇所があれば、その部分がとくに運転するうえで注意が必要な部分ということになります。
マイクロメイト岡山㈱では、地元の岡山操山ライオンズクラブなどと協力して、全国でも例のない大規模な飲酒実験をこれまで15回も実施してきました。
今回実施された各種の検査結果については、現在解析作業を進められており、完了次第、今後は学会などに発表される予定です。
今回得られた貴重なデータは、広く社会に開示され『飲酒運転根絶』に向かって大きな力となると思われます。
【第15回飲酒実験データ】
<日時>
令和5年9月2日(土)10:00~22:00
<場所>
マイクロメイト岡山㈱交通安全まなびのば
<主催>
マイクロメイト岡山㈱
NPO法人安心と安全 心のまなびば
岡山操山ライオンズクラブ
<学術分析>
川崎医療福祉大学 金光義弘名誉教授
<医師サポート>
ハーヴィスクリニック院長 小橋勇二医師
<視覚機能検査>
川島眼科医院 滝本典紀
<実験統括>
マイクロメイト岡山株式会社 木村憙從会長