国土交通省は、2024年4月から「貸切バスの安全性向上のための取組み」として規制を強化したことに伴い、その取組みの一環として、貸切バスの実技指導に関して指導例を紹介する動画を作成して公表しています。
貸切バスの初任運転者や事故惹起運転者に対する実技指導については、法令で20時間以上添乗で実施することが定められています。
歴史のあるバス事業者であれば、添乗指導などに長年の教育経験があり、社内で指導者を養成しているでしょうが、新規参入の多い貸切バス事業者では、教育内容にばらつきがあると言われています。
動画(31分)の構成は以下の通りです。
【一般道における実技指導の例】
【夜間走行における実技指導の例】
【都市高速走行における実技指導の例】
【高速道路走行における実技指導の例】
【上り坂走行時における実技指導の例】
【下り坂走行時における実技指導の例】
【乗客の方へのお願いのアナウンスの例】
【車両の死角に関する指導の例】
【バックアイカメラに関する指導の例】
【内輪差・オーバーハングに関する指導例】
【ギアの特性に関する指導の例】
国土交通省の動画より
特に、2022年10月に富士山麓で発生した観光バスの横転事故を踏まえて、カーブの多い山道の上りや長い下り走行におけるブレーキ操作などについて、詳しく具体的に解説しています。
*バスの安全運転実技指導に関する法的な根拠については、下の枠内の文言があるだけです。
(「旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」告示より)
*なお、国土交通省が作成する「指導及び監督の実施マニュアル」が2024年4月に改訂され、新た
に「貸切バスの添乗指導」の章が追加され、実技指導のポイントについて解説しています。実際の
バス事業者で実践している指導体制や技能教習チェック表の実例なども紹介していますので、参考
にしてください。 → 実施マニュアルは、同省のWEBサイトからダウンロードできます。
初任運転者・事故惹起運転者に対する特別な指導の内容及び時間 | |
①~⑥ (省 略) | |
⑦ 安全運転の実技 |
実際に運行する可能性のある経路(高速道路、坂道、隘路、市街地等)にお いて、道路、交通及び旅客の状況並びに時間帯を踏まえ、当該運転者が実際 に運転する事業用自動車と同一の車種区分の自動車を運転させ、安全な運転 方法を添乗等(貸切バスの運転者にあっては、添乗)により指導する。 |
※貸切バス以外の一般旅客自動車運送事業の事業用自動車は、⑦については可能な限り実施する ことが望ましい。貸切バスの運転者に対しては、⑦について20時間以上実施すること。 |
(傍線は編集部)
※イラストは「バス安全運転教本」(シンク出版株式会社)より
●貸切バス事業者は初任運転者の指導内容をネット公表する義務がある
国土交通省の通達改正により、貸切バス事業者がインターネット等で公表すべき安全に係る取組内容として、 初任運転者に対して行う「安全運転の実技指導」が追加されました。 (令和6年4月1日以降に報告を行うものから適用されます)
→ 初任運転者に対して行う、20時間以上の実技指導 (添乗付き)について、実施ルートや時
期、車種区分、指導の具体内容、添乗者の指導歴等をホームページに掲載。
下り坂走行時における実技指導の例
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