12月に入り、年末年始にかけては飲酒の機会が増えるため、事業所から飲酒運転する者を出さないように注意しなければなりません。
そのためには、アルコールチェックをはじめとする、厳正な点呼を確実に実施することが重要です。そして、飲酒運転は絶対に許さないという強い意志で、厳しい態度で臨みましょう。
また、健康面では、飲酒習慣の把握して、適正な飲酒に努めましょう。アルコール依存症に対する理解も深めてください。
12月の安全運転目標
漫然運転に陥らない
ように注意しよう
12月の重点管理目標
アルコールチェックは
確実に実施しよう
12月の健康管理目標
健康に配慮した飲酒を
心がけよう
■その他の管理指導項目 ■運行管理者の皆さんへ ■12月の安全運転管理ごよみ
●漫然運転に陥らないように注意しよう
12月は交通事故多発月です
12月は師走と言われるように、誰もが慌しくなる時期であり、交通事故がもっとも多く発生する月でもあります。
業務が立て込んできたり、交通渋滞に巻き込まれたりすると、疲労感からついボーっとしてしまったり、運転以外のことに気を取られるようになります。
しかし、そうした状態に陥ってしまうと、前方や周囲への注意が疎かになり、事故を起こしてしまう危険があります。
同様に、急ぎ・焦りの状態に陥ると、普段は実行している安全行動を怠ったり、安全確認などが不完全なまま行動して、ミスを起こしやすくなります。
慌しい時期だからこそ、運転に集中して、事故を起こさないという気持ちで運転業務に臨みましょう。
★下の項目をチェックし、すべてハイとなることを目指してください
・発進前には、どんなに周りに何もないと感じても必ず前を確認する
・年末年始に忙しいと感じたら、気持ちの余裕を失わないように努める
・仕事がたてこんできたら、逆に少し休憩して、気持ちを安定させる
・「年末までに何とかして」と言われても、安易に無理な話を引き受けない
・年末年始は、歩行者や自転車も「急いでいる」と考えて行動を確認する
・車から降りる時は、急いでいても駐車ブレーキなどを念入りに確認する
・「自分が急いでいる」と感じるときには、深呼吸して冷静さを保つ
・焦って事故を起こす危険をイメージし、「急がば回れ」と言い聞かせる
ハイ・イイエ
ハイ・イイエ
ハイ・イイエ
ハイ・イイエ
ハイ・イイエ
ハイ・イイエ
ハイ・イイエ
ハイ・イイエ
●アルコールチェックを確実に実施しよう
原則は対面での確認・検知
道路交通法改正により、安全運転管理者を選任する事業所でのアルコール検知器によるチェックが義務づけられてから1年が経ちました。皆さんの事業所では、しっかりと実施されていますか。
酒気帯び確認は、対面によるチェックが原則です。運転者と相対して、顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等で飲酒の有無を確認するとともに、アルコール検知器での計測も行わなければなりません。
毎朝・毎夕の酒気帯びチェックは手間がかかるので、運転者を信頼している事業所では自己チェックを促し、管理者が調べたことにしようと考えることもあるでしょう。
しかし、過去には、酒気帯びの事実を隠すために検知器を他の運転者が成りすましで使用し、虚偽の申告を行ったケースもありますので、「アルコールチェックは企業の責任」と考え、確実に実施してください。
●健康に配慮した飲酒を心がけよう
適正な飲酒を心がけよう
これから年末・年始にむけては、忘年会に新年会と、飲酒の機会が増える時期です。
なかには、毎日飲み会、という人もいるかもしれませんが、皆さんは、健康に配慮したお酒の飲み方ができていますか?
アルコールが身体に与える影響は、年齢や性別、体質等によってことなります。また、その日の体調にも左右されます。
厚生労働省は「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」において、1日あたり純アルコールで約20g程度、週150g以上の量の飲酒を続けると健康リスクが高まるというデータも示していますので、1つの目安にしてください。
また、
・一時多量飲酒(一気飲み) ・他人への飲酒の強要 ・不安、不眠を解消するための飲酒
・病気療養中や服薬後の飲酒 ・飲酒中、飲酒後の運動や入浴
といった飲酒行動は、危険なため避けましょう。
このほか、自分自身や参加者の中に、翌日に運転する人がいる場合などには、あらかじめ量や時間を決めて飲酒するなどの配慮も必要です。
※この記事は、以下のサイトを参照しました。
●厚生労働省 「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」
令和4年の12月20日から24日にかけて、日本海側を中心に平年を大きく上回る積雪となった影響で、全国の幹線道路・高速道路などで車の立ち往生や通行止めが相次ぎ、交通が混乱しました。
寒波が予想される際には気象情報をこまめにチェックして、場合によっては運行の延期などを検討しましょう。
また、寒冷地に出かける従業員に対しては、出発前には非常用食料や飲料水の搭載など万全の準備をするように指導しましょう。
国土交通省は、自動車運送事業者に対する行政処分基準を改正し、令和6年10月1日に施行しました。
今回の改正では、酒酔い・酒気帯び運転に係る行政処分基準の強化(トラック、バス、タクシーが対象)として、新たに「指導監督義務違反」についての量定が定められ、酒酔い・酒気帯び運行が行われた場合において、飲酒が身体に与える影響、飲酒運転、酒気帯び運転の禁止に関わる指導が未実施の場合は、初違反で100日車、再違反で200日車の処分が課されます。
さらに、「点呼の実施違反」としての処分量定も新設され、酒酔い・酒気帯び運行が行われた場合において点呼が未実施の場合、初違反で100日車、再違反で200日車の処分となっています。
飲酒の増えるこの機会を機に、改めて飲酒に関わる指導を実施するとともに、厳正な点呼を実施してください。
アルコール依存症は、気づかないうちに進行し、飲酒量がコントロールできなくなる病気です。
アルコール依存症のサイン
このような症状が当てはまる場合、アルコール依存症の疑いがあります。
普段から、運転者の様子や飲酒習慣にも気を配り、事業所ぐるみで飲酒運転を行う運転者を出さないようにしてください。
安全管理、指導に関するチェックを
徹底しましょう
国土交通省では毎年、輸送機関に対して自主点検等を通じた安全性の向上を呼びかける総点検運動を実施しています(今年度は、2024年12月10日~2025年1月10日)。
自動車運送事業者はもちろん、鉄道、船舶を含めた全輸送機関に対して、災害や事故、テロや伝染病の流行などに備えた自主点検等を通じて安全性の向上を呼びかけています。
とくに事業用自動車の事業所においては以下の点を重点的にチェックしましょう。
なお、大型自動車を使用する事業所では、自主点検を実施した後、2025年2月上旬頃までに管轄の運輸支局まで結果を送付しましょう。
詳しくは、同省のWEBサイトを参照してください。
●安全総点検期間における自動車局の推奨する主な重点点検事項
・軽井沢スキーバス事故を踏まえた貸切バスの安全対策
・健康管理体制の状況(ドライバーの健康管理マニュアルなどの活用)
・運転者に過労運転を行わせないための安全対策の実施状況
・運転者に飲酒運転や薬物運転等を行わせないための安全対策
・車両の日常点検整備、定期点検整備等(特に大型自動車の脱輪事故防止対策及びスペアタイヤの定期点検)
・大雪に対する輸送の安全確保の実施状況
・点呼の実施、運転者に対する指導・監督の実施状況
・コンテナ輸送における安全対策の実施状況
・バスターミナル及び自動車道の保守点検の実施状況
・自然災害、事故等発生時の乗客等の安全確保のための通報・連絡・指示体制の整備・構築状況
・テロ防止のための警戒体制の整備状況や乗客等の安心確保のための取組、テロ発生時の通報・連絡・
指示体制の整備状況及びテロ発生を想定した訓練の実施状況
・新型インフルエンザ等感染症の対応マニュアル、事業継続計画の策定状況、対策に必要な物資等の備蓄
状況及び職場における感染防止対策の周知・徹底状況などの感染症対策の実施状況
──これらの重点項目を実施するほか、実施状況等を自主点検するよう要請を受けています。
※詳しくは国土交通省のWEBサイトを参照してください。
●タイヤ交換後、1か月以内に多くが脱落
昨年10月1日より、車両総重量8トン以上の大型車で車輪脱落事故を起こした事業者に対する行政処分が強化され、(公社)全日本トラック協会なども啓発活動を強化しています。
ホイールボルトの折損、ホイールナットの脱落などに起因する車輪脱落事故を起こした場合、事業者は車両の使用停止処分=20日車停止=を受けます。
さらに、3年以内に再び大型車の車輪脱落事故を起こした事業者は(再違反)、40日車の車両使用停止処分となり、整備管理者は解任命令を受けます。
解任された整備管理者は、選任資格要件が2年間なくなります。
冬場は、スタッドレスタイヤへの履替えなどでタイヤ交換を実施した際のミスや脱着後の増し締めなどを怠ることなどから、走行中に車輪を脱落させる事故が多発していますので、車輪脱落事故防止に向け、整備管理規程などの見直しをすすめましょう。
国土交通省の点検整備に関するwebサイトには、「整備管理規程の例」や「整備管理者制度の運用一部改正について(令和5年10月)」などが掲載されていますので、参考にしてください。
日本自動車工業会が「防ごう!大型車の脱輪事故」特性サイトを作成して、啓蒙資料を掲載しています。こちらも、参考にしてください。
●大型車車輪脱落事故防止啓発動画 (ショート)/日本自動車工業会作成
日 付 | 行 事 等 |
1日(日)~ 2025年4月30日 |
・令和6年度 安全衛生教育促進運動──中央労働災害防止協会(中災防)が提唱し展開する活動。年間計画を定めて、雇入れ時教育、特別教育などの義務付けを踏まえ安全衛生教育の確実な実施を促しています。従来の集合型研修に加えて新たにオンラインや動画視聴による研修、VRを利用した安全衛生教育の導入、活用を訴えています。 |
1日(日)~ 31日(火) |
・大気汚染防止推進月間(環境省) ──12月は、自動車交通量の増加、ビルや家庭の暖房ほか気象条件などの影響により、大気汚染物質の濃度が高くなる傾向にあります。このため、環境省では、「エコドライブの実践」など、広報活動を通じて大気汚染物質の削減を呼びかけています。 (→ 詳しくは同省のWEBサイトを参照)。 |
1日(日)~ 1月31日(金) |
・陸上貨物運送事業「年末・年始労働災害防止強調運動」 ──陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)の主唱する労災防止運動です(2025年1月31日まで)。 スローガン「健康診断 受診はスタート 向き合いましょう 健診結果」 交通災害や荷役作業時における墜落・転落災害などの防止を推進します。詳しく陸災防のWEBサイトを参照してください。 |
1日(日)~ 1月15日(水) |
・令和6年度「建設業年末年始労働災害防止強調期間」 ──建設業労働災害防止協会が、災害の多い年末年始に積極的な災害防止運動を展開します。交通労災としては、現場送迎時の事故防止、路面凍結等によるスリップ事故の防止などを強調しています。 スローガン「無事故の歳末 明るい正月」 |
1日(金)~ 1月15日(月) |
・令和6年度 年末年始無災害運動 ──中央労働災害防止協会が主唱する 安全運動。今年で54回目を迎えます。今年の共通標語は、 「今年もやります! 基本作業の徹底 年末年始も無災害」 (※詳しくは、中災防のWEBサイトを参照してください) |
2日(月) |
・一般社団法人交通科学研究会 2024年度研究発表会 日時:10:30~17:00(受付開始10:15) 於:大阪公立大学文化交流センターホール(大阪駅前第2ビル6階) ※オンライン(zoom)での参加も可能です。 会場とも事前登録が必要。参加希望の方は、研究会webサイトから 11月25日(月)までに参加登録を。詳しくは、同研究会WEBサイト を参照してください。 |
3日(火) |
・個人タクシーの日──東京都において40~50歳で3年間無事故無違反の優良運転手173人に個人タクシーの免許が許可された日を記念して、1959(昭和34)年に制定されました。 |
3日(火)~ 9日(月) |
・障害者週間──障害者基本法では、12月3日から9日までを「障害者週間」と定めています。障害者の自立と社会参加を実現していくためのフォーラムやセミナーなどが行われます。 |
7日(土) |
・大雪 |
9日(月)~令和 6年1月15日(水) |
・令和6年度第2回運行管理者試験申請開始──書面での申請はできません。再受験を含めてインターネット申請のみとなっています。 試験日程──CBT試験:令和7年2月15日(土)~3月16日(日) 詳しくは、(財)運行管理者試験センターのwebサイトを御覧ください。 |
10日(火)~
1月10日(金) |
・年末年始の輸送等に関する安全総点検 ──国土交通省が主唱する輸送機関等における事故やテロの防止対策実施状況等の点検です。詳しくは、同省のWEBサイトを参照。 |
10日(火) |
・12月の製品安全点検日
──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
12日(木) |
・バッテリーの日──電池工業会が設定。野球のバッテリーの守備位置数字が1、2であることから。(※自動車バッテリーの基礎知識については同会のWEBサイトを参照してください) |
15日(日) |
・観光バス記念日──1925年(大正14年)のこの日、東京で初の遊覧乗合自動車(観光バス)が登場しました。 |
16日(月)~ 1月15日(水) |
・年末年始 港湾無災害強調期間 ── 港湾貨物運送事業労働災害防止協会による年末年始の事故防止活動。 今年のスローガン 「健康と安全で 幸せつなぐ年末年始」 |
20日(金)
|
・道路交通法施行記念日 ──1960年(昭和35年)のこの日道路交通法が施行されました。それまで交通行政は1947年制定の「道路交通取締法」によって行われ、各都道府県の行政処分基準などにはバラつきがありましたが、全国で統一した法制となりました。 |
21日(土) |
・冬至 |
25日(水) | ・クリスマス |
25日(水) |
・広島市鉄板落下死亡事故から12年── 2012年12月25日午前11時頃、広島県広島市の国道432号のゆるいカーブを走行中のトレーラ荷台から鉄板30枚(1枚80kg)のうち15枚が落下し、対向車線の乗用車を直撃、乗用車に乗っていた2人の男性が死亡しました。 原因はトレーラ運転者の固縛作業における手抜きにあり、鉄板はワイヤーロープ1本で固定されていただけで、走行中の振動摩耗によりロープが切断され、鉄板が落下したことがわかりました。 |
27日(金) | ・官庁仕事納め |
29日(日) |
・津市国道の激突4人死亡事故から6年 ── 2018年12月29日午後10時ごろ、三重県津市の国道上を乗用車が時速146キロで走行して、道路を横切ろうとしたタクシーに激突、乗客ら4人が死亡しました。 刑事裁判では危険運転致死傷罪の成立が争われましたが、裁判長は「制御困難な高速度だったが事故の危険性の認識があったとまでは言えない」と判断し、過失運転致死傷罪で懲役7年の判決を言い渡しました(2020年6月16日 津地裁判決)。 |
31日(火) |
・大晦日 |
11月16日~ 1月10日(金) |
・第64回「正しい運転・明るい輸送運動」 全日本トラック協会主催──詳しくは、全ト協のWEBサイトを参照してください 。 |
12月中旬 | ・2024年10月末までの交通事故発生状況発表(警察庁) |
12月下旬 |
・2024年10月分 トラック輸送情報(国土交通省) |
◆12月の日没時刻 (国立天文台 暦計算室による)
1日(日) |
福岡 17:10 |
大阪 16:47 |
東京 16:28 |
札幌 16:01 |
15日(日) |
福岡 17:12 |
大阪 16:49 |
東京 16:29 |
札幌 16:00 |
31日(火) |
福岡 17:21 |
大阪 16:57 |
東京 16:38 |
札幌 16:09 |
12月は1年でも最も日が短い冬至がある月です。毎年、21日か22日前後は北半球で太陽の位置が1年で最も低くなり、日照時間が最も短くなります。
12月は早い地方では4時をすぎれば日没です。周囲はあっと言う間に暗闇に包まれてしまいます。会社に戻る前に薄暮となり、マイカー通勤車両は夜間運転になることを意識して、早めに点灯しましょう。
夜が長くなると歩行者や自転車を見落とす危険が増し、夜間事故が増加します。
あなたが点灯することで歩行者や自転車などからもあなたのクルマが確認しやすくなります。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。
JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。
※詳しくは JAF Safety Light
のサイトを参照してください