行楽に適した季節となってきました。マイカーでレジャーに出かける人が増える季節です。
余裕のあるスケジュールを指導するとともに、高速道路などを利用する車両が増えますので、多発している事故パターンに注意を向けさせましょう。
特に、本線上の停止車両への衝突は大きな被害が発生しますので、危険予測意識を喚起してください。
また、一般道路でも交通量の増加による渋滞などが発生しやすい時期です。
わき見・漫然運転による追突事故の多発にも注意しましょう。運転者にわき見運転に陥りやすい危険を自覚させることも大切です。
追突の危険を意識しよう
交通事故の3件に1件は追突事故です。
平成28年の交通事故統計でも、
1位 追突事故 (人身事故の37.0%)
2位 出会い頭事故(〃24.2%)
3位 右左折時衝突(〃12.3%)※
となっています。
追突事故防止には車間距離を十分にとることも重要ですが、もっとも大切なことは、わき見や漫然運転をしないということです。
■わき見しやすい傾向をチェックしよう
前を見て運転しているつもりでいて、長い時間走行していると、誰でも誘惑に負けてわき見をしてしまいがちです。
しかし、自分がどんな物(こと)に気をひかれてわき見してしまいがちであるかを意識して運転していると、わき見による追突を防ぐことができます。
次のようなチェックリストを使って、自分がどのようなときにわき見運転をしやすいかに気づいて、追突事故を防止しましょう。
車外の事象に「わき見」しやすい傾向チェック | は い | いいえ | |
1 | 案内標識など目的地を探すときに長時間見てしまう癖がある | ||
2 | 違反取締りや事故現場に出会うと、ついじっと見てしまう | ||
3 | きれいな景色や人目をひく看板などに目を奪われがちになる | ||
4 | 無茶な運転をする車がいると、運転者の顔を見ようとしてしまう | ||
5 | 友人や同僚の車に出会ったとき、そちらを長時間見てしまう |
車内の物に「わき見」しやすい傾向チェック | は い | いいえ | |
1 | 運転中でも、ときどき携帯電話を使用することがある | ||
2 | 走行中にカーナビやカーステレオの操作をすることがある | ||
3 | 運転しているときにタバコを吸うことがある | ||
4 | 運転中に伝票や地図などを確認することがある | ||
5 | 助手席に置いた荷物が気になってわき見をすることある |
(※事故統計は、警察庁「平成28年における交通事故の発生状況」より)
高速道路事故の防止指導を徹底
■停止車両の存在を予測させよう
高速道路上で停止した車や本線上にいた歩行者に衝突する事故が依然として多発しています。
今月は行楽シーズンに入って、渋滞による本線上の車列への追突事故や長距離走行に慣れない車のガス欠や整備不良による停車、本線上での歩行などが増えると予測されますので、運転者への指導を徹底しましょう。
朝礼や点呼のときには、高速道路でも停止車両や歩行者がいることを予測して運転するように繰り返し指導してください。
■緊急時には道路外に避難する
なお、自分自身が交通事故やエンストなどで本線上に停止した場合の緊急措置について、運転者に指導しておきましょう。
高速道路における非常時には、三角停止表示板など非常停止器材で後続車に危険を知らせる措置をした後、速やかにガードレールの外など、安全な場所に避難する必要があります。
自車のなかで救援を待ったり、停止した車両の近くにいるのは非常に危険であることを教えておきましょう。
緊急措置については、こちらも参照してください。
→ 政府広報オンライン・高速道路運転中にまさかの事故!
五月病に気をつけよう
■環境変化は心身のバランスを崩しやしい
ゴールデンウィーク開けに多いと言われているのが、俗に言う「五月病」。急に、やる気が出なくなったり、病気でもないのに、「体調が悪いので休みます」という人が増えたり……。
とくに新社会人や、この春に異動・転勤のあった人は要注意です。
五月病は身の回りの環境変化に伴う心身の負担や、人間関係のストレスが主な原因と言われています。
症状が軽いうちに、友達や家族に相談して、悩みを溜め込まないことが重要です。
ストレスに負けないためには、生活習慣を規則正しくすることも大切です。朝が忙しいからといって朝食を抜いたりせずに、きちんと3食をなるべく決まった時間に食べて、夜は早めに就寝する習慣をつけることが大切です。
また、食事を一人でとっていると心理的に落ち込むことが多くなります。
今まで家族と食事をしていた人が就職して急に「孤食」になると、精神的に参ってしまいやすいので、この時期はなるべく友人などと食事をする機会を増やしましょう。
■良質な睡眠を早めにとることが大切
良質の睡眠をとることは、心身のバランスを保つ力となります。
新しい配置先などで張り切る気持ちを持つことは大切ですが、張り切りすぎて夜更かしして睡眠を削ると、五月病のリスクが高まりますので、早寝早起きが何より大切です。
夜の20時から深夜2時までは睡眠ホルモンであるメラトニンが一番活発になる時間帯と言われています。この時間帯に睡眠を取ることで、1日の心身の疲労を癒すことができます。
睡眠の質が良いと、昼間の活動が活発になり、セロトニンというホルモンの分泌が活発になります。セロトニンは精神の安定に寄与していると言われ、活発に分泌されることで、メラトニンなど睡眠ホルモンの分泌もうまくいきます。
■運転中の禁煙を徹底しましょう
今月の31日の世界禁煙デーを契機に禁煙週間が実施されます。
運転中にタバコを吸うのはわき見運転に結びつきやすいだけでなく、ポイ捨てなどが運転者のマナーを悪くするので、運転中は禁煙と指導する企業が増えています。明確な指導をしていない事業所では、運転中の禁煙を推進しましょう。
最近は、職場の受動喫煙を防止するため建屋内で喫煙できる場所が激減していますから、運転中は数少ない喫煙機会となりつつあります。
しかし、健康のためにもドライバーの禁煙を推進するのが管理者の役割です。喫煙は、サービスエリアやコンビニエンスストア等の喫煙指定場所で停車中にするように徹底するとともに、禁煙治療の方法などを紹介し、運転者がタバコ自体をやめられるように、指導しましょう。
→ ※厚生労働省「禁煙治療」情報WEBサイト → ※日本禁煙学会のWEBサイト
ドライバーの労働時間削減に努めよう
■時代の要請に応じた労働条件の改善を
長時間労働の是正を図るため、国会で労働基準法改正が審議されています。
また、政府の働き方改革実現会議の計画に基づき、国土交通省は自動車運送事業における運転者の時間外労働についても、改正法施行後5年の猶予期間を設けて、月80時間以内の特例措置を目指す方針です。
トラックやバスの運行管理者の皆さんは、現状の「改善基準告示」を守らせることでも実は大変な仕事をされていると思いますが、さらに、労働時間を短縮するために今から努力する必要があります。
具体的には、以下の点を社内・社外にアピールしていく姿勢が重要です。
■下請取引改善、旅行請負契約改善など取引条件の適正化
運行管理者は、運行や運転の実態を知る立場から、取引条件が目に余る場合は「安全性の確保ができない」と主張して取引条件の改善を求めましょう。
■運転労働の生産性を向上させる
コストパフォーマンスの悪い売上至上主義的な運行を受注しないように、安全を見守る立場から、営業の無理な運行受注にクレームをつけましょう。短時間勤務でも利益が出るように、現場で運転者の生産性向上を工夫するとともに、受注ルールの改善を提案しましょう。
■荷待ち時間、客待ち時間の削減に向けて、アピールする
荷主や旅行業者等から不当な待ち時間を要求されたり経路の直前変更などを求められ、「下請だから仕方がない」と黙っていると増長されます。
荷主等の協力を得るために、ドライバーの立場に立って現場から積極的に要請しましょう。
バス事業者の行政処分基準改正に注意(主に貸切バス)
平成28年度には、バス事業者の安全確保を確実にするため改正道路運送法などが施行されました。
国土交通省はとくに貸切バスを中心に、行政処分の実効性向上を図るため、行政処分基準等についても度々改正を実施してきましたが、法改正も踏まえて、平成29年3月21日からさらに新たな改正を行いました。
本来こうした処分基準に抵触しないようにすることは事業者の責任ですが、運行管理者も『点呼の実施』や『監査時の管理書類のすみやかな提示』等については「知らなかった」ではすまない面がありますので、もう一度チェックしておきましょう。
【主な改正ポイント】
1 道路運送法の改正関係(平成28年12月20日施行分に対して)
貸切バス事業者に対し適正化機関への負担金等納付命令の制度が創設されたことから | ||
■適正化機関への 負担金等納付命令違反 |
■命令違反(初違反) 60日車 |
■命令違反(再違反) 事業許可の取消し |
2 旅客自動車運送事業運輸規則の改正関係(平成28年12月1日施行分に対して)
夜間・長距離運転の貸切バス運転者に対する乗務途中点呼実施が義務づけられたことから | ||
■乗務途中点呼の 実施義務違反 |
■未実施(初違反) 40日車 |
■未実施(再違反) 80日車等 |
※その他 点呼の不適切、軽微な点呼違反については乗務前後点呼と同じ量定
運行管理者・補助者の選任、解任に際して国への届出が義務づけられたことから(貸切のみ) | ||
■管理者・補助者選任 解任の届出義務違反 |
■未届出(初違反) 警 告 |
■未届出(再違反) 10日車 |
■管理者・補助者選任 解任の虚偽届出 |
■虚偽届出(初違反) 60日車 |
■虚偽届出(再違反) 120日車 |
貸切バス事業者が公表している安全情報を国へ報告することを義務づけたことから | ||
■輸送の安全情報の 報告義務違反 |
■未報告(初違反) 警 告 |
■未報告(再違反) 10日車 |
■輸送の安全情報の 報告義務違反(虚偽) |
■虚偽報告(初違反) 60日車 |
■虚偽報告(再違反) 120日車 |
監査時に運行管理書類を速やかに提示できるように義務づけたことから (全ての旅客運送事業者) | ||
■書類の管理義務違反 一種類の管理不適切 |
■一種類(初違反) 警 告 |
■一種類(再違反) 10日車 |
■書類の管理義務違反 複数の管理不適切 |
■複数種類(初違反) 20日車 |
■複数種類(再違反) 40日車 |
日 付 | 行 事 等 |
1日(月)~ 31日(水) |
・消費者月間──5月は「消費者月間」。事業者、行政が一体となって消費者問題に関する啓発・教育等の各種事業を集中的に行っています。消費者安全法に基づく報告義務のある重大事故は消費者庁ホームページで毎週、公表されています。乗合バスやタクシーの乗客被害、自動車の火災なども含まれます。 |
1日(月) |
・メーデー |
3日(水) |
・憲法記念日 |
4日(木) |
・みどりの日 |
5日(金) | ・子どもの日 |
8日(月) |
・世界赤十字デー(World Red Cross Red Crescent Day)──赤十字 を創設したアンリ・デュナンの誕生日を記念して制定されました。 |
9日(火) | ・5月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
11日(木)~ 13日(土) |
・第90回 日本産業衛生学会──産業保健に関する様々な実践報告・学術 発表が行われる。於:東京ビッグサイトTFTビル 「過重労働対策の新たな展開」「働く人の健康増進」「交替制勤務者 の健康支援」など、演題多数。 ──詳しくは、同学会WEBサイトを参照。 |
12日(金) |
・自転車重過失事故(大阪)から6年──2011年5月12日、大阪市浪速区の国道25号線で、車2台の前を強引に横切った危険な自転車の行動により歩道上の歩行者2名が死亡しました。車の運転者は不起訴となり、自転車乗用者が重過失致死罪で禁錮2年の実刑判決を受けています。 |
14日(日) | ・母の日(第2日曜日) |
19日(金) |
・運行管理者試験(2017年度第1回)の申請期間 ──インターネットによる申請は6月20日(火曜)まで ──試験日2017年8月27日(日) ──詳しくは、運行管理者試験センターwebを参照) |
24日(水)~ 26日(金)
|
・自動車技術会 学術講演会春季大会 ・人とくるまのテクノロジー展 2017 ──於:パシフィコ横浜(横浜市西区みなとみらい1-1-1) ※詳しくは同会のWEBサイトを参照してください。 |
24日(水)~ 26日(金) |
・運輸 交通システムEXPO 2017──事業用自動車ドライバーの安全運転、事故防止、省エネ運行、健康管理のためのシステムや製品、技術を集めて紹介/主催は、運輸・交通システムEXPO実行委員会 ──於:東京ビッグサイト 西ホール (大阪開催は6月) ※詳しくは、イベントのWEBサイトを参照してください。 |
29日(月) |
・ダム湖転落5人死亡事故(大阪)から1年──2016年5月29日、大阪府河内長野市の府道で、26歳のドライバーが眠気に襲われてたままワンボックス車の運転を続け、居眠り状態で滝畑ダムに転落。同乗の5人が死亡する事故が発生しました。運転者は「睡眠不足だったと思う」と述べて罪を認め、禁錮4年6か月の判決受けています。 |
31日(水) |
・世界禁煙デー ── 禁煙週間は6月6日月曜日まで。詳しくは厚生労働省のWEBサイトを参照してください。 |
5月上旬 |
・平成28年度自動車アセスメント結果の発表(国土交通省) |
5月中旬 | ・平成29年4月末までの交通事故発生状況発表(警察庁) |
5月下旬 |
・平成29年2月分 トラック輸送情報(国土交通省) |
◆5月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(月) | 福岡 19:01 |
大阪 18:43 |
東京 18:27 |
15日(月) |
福岡 19:12 | 大阪 18:54 | 東京 18:39 |
31日(水) | 福岡 19:23 |
大阪 19:05 |
東京 18:51 |
早めに点灯するあなたの配慮が交通事故を減らすことに結びつきます。遅くても日没の30分前にはぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどを警戒して運転してください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください