全国で1日約150件発生している子どもの交通事故──本書は、心理学の観点から子どもの発達段階に応じた交通安全教育の内容や手法を考案。また交通安全教育の実践例毎に、実施しやすい取り組みかどうかや、現時点での効果の検証結果から解説を行う交通安全教育の必携書です。
本書は、子どもを対象にした交通安全教育がより効果的に実施され、1人でも多くの子どもが自他の命と安全を大切にできるようになることを目的として、日本交通心理学会学校・家庭部会における2005年から2013年までの9年間にわたる活動成果を図書という形にまとめたものです。
本書は、第I部の「基確編」と第Ⅱ部の「実践編」から構成されています。第I部の基礎編では、効果的な交通安全教育を実施するための心理学的な理論に基づく考え方、さらには、子どもの発達とそれに応じた教育内容や手法について論述しています。
続く第Ⅱ部の実践編では、保育園・幼稚園、小学校、中学校以降別に、日本交通心理学会学校・家庭部会に関係する執筆者がこれまで実践してきた事例を紹介し、実施に際しての課題や教育の効果の点から、各事例の特徴を示しています。
子どもの交通安全教育に携わっている、あるいはこれから携わろうとしている皆様には是非とも本書を読んでいただき、子どもの交通安全教育活動にお役立ていただければ幸いです。また、本書では子どもの交通安全教育を対象にしていますが、例えば、若年者や高齢者、さらには、職業ドライバーを対象にした安全教育に従事している方々にも有益な資料となる内容が含まれています。さらに、交通安全だけではなく、防犯などを含む生活安全や災害安全の活動に従事されている皆様にも、参考になるものと考えています。
編者・執筆者一同が望むのは、本図書を通じて、読者の皆様とコミュニケーションを図り、本図書を参考にして実践した取組みの感想や、成果の有無、改善点のご指描、さらには一層有効な実践例などを頂戴することです。 そうしたお声を次のステップに反映させて、教育現場のニーズに一層応えられるような内容に充実させていきたいと考えています。同時に、交通安全教育に対して、良き社会人教育という意味をも込めた書物として発展することを期待しています。
輝かしい未来のある子どもたちが、安全を確保しつつ、他者との良好な関係を築きながら人間として一層成長するために本書が少しでもお役に立てることを編者・執筆者一同心より願っています。
NP0法人 安全と安心心のまなびば
代表 金光義弘
第Ⅰ部 基礎編
第1章 効果的な交通安全教育のために
第2章 子どもの発達と交通安全教育
第3章 学校安全の観点から見た交通安全教育の課題と方向性
第4章 教育担当者について
第Ⅱ部 実践編
[事例1]ももたろうクラブ
[事例2]人形劇による横断行動の観察学習
[事例3]キッズバイククラブ
[事例4]交通安全マップづくり
[事例5]役割演技法を用いた高学年向け安全教育
[事例6]社会性(公共マナー)育成の安全教育
[事例7]交通公園における小学生対象の交通安全教育
[事例8]中学年児童対象の自転車安全教育
[事例9]中学生による交通安全実践教育:みどりの林檎
[事例10]自動車教習所における交通安全教育
[事例11]家庭における継続的安全教育の個別事例
[事例12]小学生児童対象の自転車安全教育
[事例13]地域住民による交通安全教育
大谷 亮(おおたに あきら)
2002 年 中京大学文学研究科心理学専攻博士後期課程満期退学
2012 年 博士(心理学)(中京大学)
現在 一般財団法人日本自動車研究所安全研究部主任研究員
金光 義弘(かねみつ よしひろ)
1969 年 京都大学文学研究科心理学専攻博士課程満期退学
1993 年 文学博士(京都大学)
現在 川崎医療福祉大学名誉教授・客員教授
谷口 俊治(たにぐち しゅんじ)
1985 年 名古屋大学大学院文学研究科後期博士課程満期退学
1981 年 文学修士
現在 椙山女学園大学文化情報学部メディア情報学科教授
向井 希宏(むかい まれひろ)
1985 年 大阪大学人間科学研究科行動学専攻博士後期課程満期退学
1980 年 学術修士
現在 中京大学心理学部教授
小川 和久(おがわ かずひさ)
1990 年 大阪大学大学院人間科学研究科行動学専攻博士後期課程退学
1988 年 学術修士
現在 東北工業大学教職課程センター教授
山口 直範(やまぐち ただのり)
2003 年 追手門学院大学文学研究科心理学専攻修士課程修了
2003 年 修士(心理学)
現在 大阪国際大学人間科学部人間健康科学科准教授
◆コード 7001
◆仕 様 B5判/80ページ
◆価 格 2,200円(税込・送料実費)
◆価格説明 団体様のお申込みなど、多部数のご購入の際には別途お見積りいたします。
◆発 刊 2016年1月
◆発行所 株式会社ナカニシヤ出版