海上コンテナがシャシーから落下し、死傷者が出る事故が相次いでいますが、これらの事故は、いずれもツイストロックが十分でなく、スピードやハンドル操作も適切ではなかったと国土交通省の事故分析資料(自動車運送事業に係る交通事故要因分析報告書─平成21年度)で指摘されています。
① コンテナのツイストロックピンを完全にロックしてしない
ロックピンは前後4箇所あります。たとえ後部か前部2箇所のピンをロックしていても、他の2箇所をロックしていなかったために、コンテナが浮き上がり、ロックピンからコンテナが外れて落下する事故が多発しています。
2009年5月、名古屋市の事故では、コンテナピンの前部2箇所がアンロック状態で、カーブが連続する場所で、ハンドルを切り返した際にコンテナが横転・落下し並走していた乗用車の乗員2名が死亡しました。
また、同じく2009年5月の大阪市におけるコンテナ落下事故は、後部2箇所のピンがアンロック状態であったため、ブレーキの影響や上下振動、旋回時の遠心力等でコンテナが反対車線に落下し、乗用車の乗員など6名が重軽傷を負いました。
② カーブ等での安全速度を理解していない
コンテナ等を搭載したトレーラが横転する事故では、カーブや交差点での旋回速度が速すぎて、曲がりきれずに横転するケースが目立っています。
2009年2月、東京都内で40フィート背高コンテナが横転し運転者が死亡した事故では、運転者が過去に運転していたのは低床トレーラで、重心高が高い海上コンテナが横転しやすい車であることを十分に理解していなかったと推定されています。
この事故では制限速度50km/h の場所を約70km/h のスピードで運行し横転しています。
また、前述の名古屋市の事故では制限速度60km/h を下回る47km/h で走行していましたが、アンロック状態では横転限界速度がかなり低下するとともに、強風などの影響で横転リスクが高まっていたことを運転者が理解していませんでした。
③ S字カーブでのハンドル操作が適切でない
名古屋の横転事故では、左カーブから右カーブに切り変わる地点で、急ハンドルで切り返し操作を行った結果、揺り返し現象が発生し、横転限界速度がさらに低下したと推察されています。
海上コンテナの横転事故は最近10年間で少なくとも149件の事故が起き、13人が亡くなっています。横転・落下事故を防ぐために、特にコンテナ輸送の事業者では以下の点を徹底しましょう。
●ロックピンの確認の徹底
コンテナヤードを出る前に、コンテナ緊締装置を全てロックしていることを確認し、乗務日報等に完全にロックした旨を記載するよう徹底しましょう。
●安全速度を遵守
特に重心の高いコンテナを積んだトレーラでは、カーブや旋回時の安全速度が低くなることを運転者に理解してもらう必要があります。
●S字カーブのハンドル操作
S字カーブなどカーブが続く場所で、ハンドル切り返し操作が横転につながる可能性があることを理解し、ゆるやかなハンドル操作を行うよう指導しましょう。
詳しくは、国土交通省のホームページ掲載の「自動車運送事業に係る交通事故要因分析報告書(第3分冊」を参照してください。
(2010年7月20日更新)